命名「豆肌」
私達(生豆屋とニュージーランド姉妹店の焙煎担当スタッフ達)が焙煎するとき、この「豆肌」という言葉が飛び交っています。
「豆肌どう?」
「もう少し豆肌のばしたい」
「豆肌が伸びたら、また色が薄くなるから」など。
豆肌は、コーヒー豆の表面のことです。
私が名づけました。豆の肌なので、豆肌。
この言葉は、豆がどのくらい縮れてシワシワしているか、つや加減がどうか、を見るときに使います。
焙煎を習い始めた日に知るべき、とても大事な言葉です。
もちろん、豆を見ないで焙煎する場合(自動で焙煎する場合)は、その大切さに気付かないかも知れませんね。
手動で焙煎するなら豆との対話(状況によって臨機応変に対応すること)が大事ですし、それが焙煎の醍醐味とも言えるでしょう。
豆肌が語ること
コーヒー豆の中までしっかり均一に火が通っていないと、豆肌のツヤが無く縮れたままになります。このような豆を挽くと青臭かったり、コーヒーが本来もっている香りが出なかったりします。
新鮮な豆なのに香り無いと、挽いた瞬間にがっかりしてしまいますね。
シワシワ加減は、豆の産地だけでなく精製方法が水洗式(ウォッシュド)か、自然乾燥式(ナチュラル)かなどによっても異なります。
そのため、どんな加減だと良いか?は一概には言えません。
様々な条件で何度も焙煎して、最適な加減を見つけ出すのが大事です。
また豆肌が縮んだままでいると、その分焼き色が濃く見えることもあります。
「あれ?焙煎が深いかも?」と思っても単に縮れて濃くみえてただけで、焙煎がすすんでふっくらすると、また薄くなったりします。
ということで、焙煎するときには、色だけで無く「豆肌がどういう状態か?」をよく見る必要があります。
そして豆肌を伸ばすため(ふっくら焙煎するため)には、どのように火を入れたらよいかも、大きなポイントです。
ずっと同じ強さの火で焙煎し続けるよりも、強弱があった方がふっくらする場合も多々あるからです。
この火力の影響について、ご自宅で手焙煎されている方は、すでに気付いている方も多いのではないでしょうか。
豆肌をしっかり見るには
豆肌をしっかりチェックできるよう、自宅焙煎には網状の「ぎんなん炒り」をお勧めしています。
さらに、多少チャフ(薄皮)が散らかっても、ぎんなん炒りの「フタを開けたまま」焙煎すると、よく観察できて良いです。
そして、照明も大事です。
もし焙煎する場所が暗いようなら、別にライトを用意しましょう。ライトは「昼光色」か「昼白色」がおすすめです。
「電球色」だと暖色系でオレンジっぽくなるため、色を正確に見るのが難しく、あまりおすすめできません。
とりあえず大事なのは、いつも同じライトを使って、色と豆肌をよく覚えることです。
豆の状態と、抽出後の味わい・香りがリンクできれば、自在に味わいの違いを楽しむことができますね。
上の写真は、私が今日焙煎したコロンビアの「(1)焙煎開始後のシワシワ豆→(2)豆肌が伸びて色が薄くなった豆→(3)焙煎終了時の豆」を撮ったものです。
最初のシワシワ豆の方が色が濃く見え、焙煎がすすむとふっくらして色が少しだけ薄くなり豆肌が伸びているのが分かると思います。
この(2)の状態で終了すると、香り少なめ・酸味が強いコロンビアになります。胃が丈夫で酸味・浅煎りが大好きな方用になります。
胃へ負担をかけずコロンビアの豊かな香り・コク・かすかな酸味を楽しみたいなら(3)の焙煎加減(当店推奨)がお勧めです。