焙煎時に大事なポイント1「豆肌」

命名「豆肌」

(1)豆肌シワシワ色濃い目→(2)豆肌が伸びて色薄め。→(3)焙煎終了

私達(生豆屋とニュージーランド姉妹店の焙煎担当スタッフ達)が焙煎するとき、この「豆肌」という言葉が飛び交っています。

「豆肌どう?」
「もう少し豆肌のばしたい」
「豆肌が伸びたら、また色が薄くなるから」など。

豆肌は、コーヒー豆の表面のことです。
私が名づけました。豆の肌なので、豆肌。
この言葉は、豆がどのくらい縮れてシワシワしているか、つや加減がどうか、を見るときに使います。
焙煎を習い始めた日に知るべき、とても大事な言葉です。

もちろん、豆を見ないで焙煎する場合(自動で焙煎する場合)は、その大切さに気付かないかも知れませんね。
手動で焙煎するなら豆との対話(状況によって臨機応変に対応すること)が大事ですし、それが焙煎の醍醐味とも言えるでしょう。

豆肌が語ること

コーヒー豆の中までしっかり均一に火が通っていないと、豆肌のツヤが無く縮れたままになります。このような豆を挽くと青臭かったり、コーヒーが本来もっている香りが出なかったりします。
新鮮な豆なのに香り無いと、挽いた瞬間にがっかりしてしまいますね。

シワシワ加減は、豆の産地だけでなく精製方法が水洗式(ウォッシュド)か、自然乾燥式(ナチュラル)かなどによっても異なります。
そのため、どんな加減だと良いか?は一概には言えません。
様々な条件で何度も焙煎して、最適な加減を見つけ出すのが大事です。

また豆肌が縮んだままでいると、その分焼き色が濃く見えることもあります。
「あれ?焙煎が深いかも?」と思っても単に縮れて濃くみえてただけで、焙煎がすすんでふっくらすると、また薄くなったりします。

ということで、焙煎するときには、色だけで無く「豆肌がどういう状態か?」をよく見る必要があります。
そして豆肌を伸ばすため(ふっくら焙煎するため)には、どのように火を入れたらよいかも、大きなポイントです。
ずっと同じ強さの火で焙煎し続けるよりも、強弱があった方がふっくらする場合も多々あるからです。
この火力の影響について、ご自宅で手焙煎されている方は、すでに気付いている方も多いのではないでしょうか。

豆肌をしっかり見るには

豆肌をしっかりチェックできるよう、自宅焙煎には網状の「ぎんなん炒り」をお勧めしています。
さらに、多少チャフ(薄皮)が散らかっても、ぎんなん炒りの「フタを開けたまま」焙煎すると、よく観察できて良いです。

そして、照明も大事です。
もし焙煎する場所が暗いようなら、別にライトを用意しましょう。ライトは「昼光色」か「昼白色」がおすすめです。
「電球色」だと暖色系でオレンジっぽくなるため、色を正確に見るのが難しく、あまりおすすめできません。
とりあえず大事なのは、いつも同じライトを使って、色と豆肌をよく覚えることです。
豆の状態と、抽出後の味わい・香りがリンクできれば、自在に味わいの違いを楽しむことができますね。

上の写真は、私が今日焙煎したコロンビアの「(1)焙煎開始後のシワシワ豆→(2)豆肌が伸びて色が薄くなった豆→(3)焙煎終了時の豆」を撮ったものです。
最初のシワシワ豆の方が色が濃く見え、焙煎がすすむとふっくらして色が少しだけ薄くなり豆肌が伸びているのが分かると思います。
この(2)の状態で終了すると、香り少なめ・酸味が強いコロンビアになります。胃が丈夫で酸味・浅煎りが大好きな方用になります。
胃へ負担をかけずコロンビアの豊かな香り・コク・かすかな酸味を楽しみたいなら(3)の焙煎加減(当店推奨)がお勧めです。

きまめや
生豆屋(きまめや)

モカの時間

自作モカチーノ。エスプレッソ&チョコパウダーにフォームミルクを注ぎ、チョコパウダーを上からかけます。

モカ=コーヒーの代名詞だった

コーヒーの名前は、産地(原産国)で呼ばれることが多いです。
例えば、コロンビア、ブラジル、メキシコ、ペルー、エクアドル等々。

でも「モカ」という国はありませんね。
「モカ」はどこの国のコーヒー豆を指すのでしょうか?

昔コーヒー豆はイエメンの港町「モカ」から積み出されていました。そのため、「モカ」近辺(エチオピア、イエメン)でとれるコーヒー豆をまとめて、「モカ」と呼ぶようになったそうです。

エチオピアがコーヒーの原産地なので、モカはコーヒー発祥の地ということになりますね。
当時はモカ経由のコーヒーしかなかったため、人々がコーヒーのことをモカと呼んでいたそうです。

大変栄えたモカ港は、1869年のスエズ運河開通とともに、港としての役割を終えました。
150年前に閉鎖された港の名前が、今なおコーヒー豆の呼び名として使われているのは感慨深いですね。

ちなみに弊社姉妹店があるニュージーランドでは、モカといえば「モカチーノ」のこと。
エスプレッソ&チョコレートにフワフワミルクを混ぜ込んだ、ほろ苦くて甘いコーヒーで大人気です。
そしてエチオピア産のコーヒー豆はモカではなく、そのまま「エチオピア」と呼ばれています。

入手困難な時期も

覚えている方もいらっしゃるかも知れませんが・・・
2008年に日本で、エチオピア産コーヒー生豆から基準値を超える農薬成分が検出、
輸入が規制され、日本国内では非常に手に入りにくくなりました。(エチオピア産コーヒー豆の有機塩素系殺虫剤残留について

安全なオーガニック・モカは一気に希少価値が高まり、価格が高騰し過ぎて、当店でも販売を断念した時期がありました。
あの時は、モカ好きのお客様のご要望にお応えできず、本当に辛かったです。
未だにオーガニック・モカは大変貴重ですが、2020年3月31日現在当店では販売しております(モカ・ナチュラル)。

モカの時間

実は今ご覧いただいているウェブサイトは、コーヒーを楽しみながらゆっくり読んでいただけることを目指して作ったものです。
タイトルは「モカの時間」。モカ=コーヒーとすると、「コーヒーの時間」ですね。

なぜわざわざモカにしたかというと・・・

昭和の純喫茶時代の懐かしい響き
モカチーノのほろ苦さと優しい甘さ
モカを浅めに焙煎した時の、特有のフルーティな香り
モカを深めに焙煎した時の、甘い香りとコク・・・

そんな印象が全部混ざり、私の中では「モカ」という響きが特別なものになっているから、かも知れません。

これからどんどん記事を増やしていきますので、ぜひまたお越し下さい。

きまめや
生豆屋(きまめや)

コーヒー豆屋を始めた理由

コーヒー嫌いだった

珈琲豆屋をやっていると「コーヒーが大好きだったから始めたの?」とよく聞かれます。全くそんなことはありません。むしろ、コーヒー豆屋を始める前は、コーヒー嫌いでした。
香りは好きでしたが、飲むと苦くて酸っぱくて全然美味しく無くて・・・
どんなにミルクやクリームで薄めても、胃が痛くなったからです。

ドリップしたてのコーヒーなら大丈夫では?
挽きたてなら大丈夫では?
店を変えたら大丈夫では?

・・・と色々なお店のコーヒー豆を試しましたが、やっぱり胃が痛くなりました。
多少、賞味期限切れのものを食べても大丈夫な胃腸なのに、コーヒーだけはダメ。
コーヒー大好きな人達を見て、「実は、やせ我慢しているのでは?」と思ったことも。
だから喫茶店では、いつも紅茶を注文していました。
それでは、なぜコーヒー豆屋を始めようと思ったのでしょう?

きっかけは、私が環境問題に大変興味を持っていたことでした。
農薬やダイオキシンについて一所懸命勉強していたところ、恐るべき事実を知ってしまったのです。

農薬使用 食品では世界1位だったコーヒー豆

当時(1990年代)、世界の農作物で最も農薬が使われていたのは、

1位 綿(コットン)
2位 タバコ
3位 コーヒー豆

・・・と、言われていました(※)。
飲食する農作物としては、コーヒーがダントツ1位。
綿とタバコもビックリでしたが、コーヒー豆も?

ブロッカというコーヒー豆の中に住む虫を殺すために、かなり強い農薬を使います。
農薬を散布する農園の人々の健康だけでなく、大気汚染・土壌汚染、それによる水質汚染等々。
その地域全体の問題となってきているという事実。
そして、コーヒー豆に含まれている残留農薬の問題など。

真実を広めるために

知っていて飲むなら、それは個人の自由なので問題無いと思いました。
でも、もし知らない人が殆どだとしたら、真実を広めなければ。誰もやらないなら、私が広めなければ・・・!

まだ20代の頃のお話です。
若かったので、怖いもの無しでしたね・・・。
建築士として働いていたけど、脱サラして一気に走り出しました。

このときの強い気持ちが、弊社(生豆屋)の経営理念の原点となっています。生豆屋がある限り、この理念が変わることは絶対に無いでしょう。

近いうちに、コーヒー嫌いだった私がどのように「本物のコーヒー」と出会い、なぜコーヒー大好きになったか。
・・・についてお話ししたいと思います。

コーヒーの木。実の中にコーヒー(種子)が入っています。


(※)2015年時点で、コーヒー生産大国のブラジルでは、1位コットン、2位柑橘系、3位大豆、4位コーヒー豆、5位米、の順でした。
参考元:THE DEVELOPING WORLD IS AWASH IN PESTICIDES. DOES IT HAVE TO BE?

 
生豆屋(きまめや)店長の紹介

きまめや
生豆屋(きまめや)

抽出後のコーヒー(珈琲かす)を食べてみた

ドリップ後のコーヒーかす再利用いろいろ

以前お話ししましたが、ドリップ後に残ったコーヒー豆(かす)は、乾燥させて消臭剤として使ったり、ピンクッションの中身に使ったりがお勧めです。
特に消臭効果は抜群で、下手な消臭剤よりもよく効きます。
乾燥していなくても効果があり、生ゴミの中に使用後のコーヒー豆(粉)を捨てるだけで臭いが激減するのでよく分かりますね。
またピンクッションでは、コーヒーかすに含まれる油分が針の錆を防ぎ、布すべりも良くなります。

ところで、再利用で食べるのはどうでしょうか?
あるお客様から「炒って食べてみた」という話を聞き、早速試してみました。

「コーヒーかす」を食べてみる

まず、抽出直後の湿ったコーヒーかすを食べてみました。
「ジャリ、ジャリ・・・」
うーん。苦くて口に残り、飲み込むのが辛い感じの味わいです。

次に、フライパンで炒る方法を試してみました。
乾炒り(からいり)するので、テフロンではなく鉄のフライパンを使用。
抽出後の湿ったコーヒーかすを入れて、焦げないように気をつけながら水分を飛ばしました。

食べてみると・・・・
湿っている時よりもサラサラしていて、少し食べやすくなりました。
もちろん、挽きたてのコーヒー粉に比べると香りもありませんし、パリパリ感もありません。
そのため、チョコレートやクッキーに混ぜ込むのは大丈夫かとは思いますが、そのままアイスクリーム等に混ぜて食べるのは・・・どうでしょう?

では乾煎りコーヒーかすの特徴をまとめてみましょう。

【良い点】
サラサラした食感で、湿っている時よりも食べやすい。
コーヒー液抽出後なので、カフェインが減っている(カフェインが気になる方向け)
苦味が残っているので、チョコレートなど強い甘味と合う(はず、たぶん)。

【残念な点】
挽きたてコーヒー粉のパリパリ感に比べると、食感が劣る。
香りが殆ど無い。

——–
以前お話しした通り、オーガニックのコーヒー豆なら丸ごと食べても大丈夫です。
ただ私だったら、チョコレートや焼き菓子に混ぜるとしても、「かす」ではなく「挽きたてのコーヒー粉」の方を使うと思います。
香りが全然違いますし、どうせお菓子を作るなら美味しく出来上がった方が嬉しいので。

「いやいや、勿体ないからコーヒーかすも全部消費したい!」という方は、ぜひお試し下さい。

<参考>
実験!挽き豆を炒る

きまめや
生豆屋(きまめや)

悪魔の飲み物 缶コーヒー

なぜ悪魔の飲みもの?

「悪魔の飲み物・缶コーヒー」。
このすごい呼び名は、牧田 善二著「医者が教える食事術 最強の教科書」から来ているそうです。なぜ悪魔の飲みものかというと・・・

(1)缶コーヒーには糖質(糖類)が多く含まれている。それを飲むと、
(2)あっという間に胃を通過し小腸で吸収され「血糖値の急上昇」が起こる
(3)ドーパミン等が分泌されて、一時的に「元気」な状態になる(ハイな気分・快感)
(4)血糖値を下げるため、膵臓が大量のインスリンを分泌する
(5)血糖値が急激に低下し「イライラ、眠気、吐き気、ふるえ、動悸、めまい等」が起こる(不快感)
(6)不快感を消すために、また缶コーヒーを飲む。以降、繰り返し。

このように、血糖値が乱高下することを「血糖値スパイク」と言います。
そして、(3)の快感を味わうために何度も繰り返す状態を、「糖質中毒(砂糖中毒)」と呼びます。
この中毒性は意外に高く、抜け出すのは結構大変です。
自称「コーヒー中毒」の人の中には、もしかするとこの「糖質中毒」の人が紛れ込んでいるかも知れません。

仮に血糖値を高い状態に保ち(ハイな気分を楽しみ)続けると、生活習慣病への近道となってしまいます。
具体的には、肥満、老化、皮膚のトラブル、2型糖尿病、がん、脳梗塞、心筋梗塞のほか、脳へのダメージ(認知症)など

これは缶コーヒーに限ったことではありません。
その他の清涼飲料水(一般的にジュースと呼ばれるもの)にも沢山糖質(炭水化物)が入っていますね。
それを水代わりに飲んでいる方は、糖質中毒患者になっている可能性があります。

もちろん「私の楽しみを取らないで!」というお気持ちも、大変よく分かります。嗜好品ですからね。
どうしても缶コーヒー(糖質たっぷりのコーヒー)が飲みたいなら、食物繊維たっぷりの食事と一緒にいかがでしょう?
一緒に吸収されれば、急激な血糖値の上昇は抑えられるはずです。

ちなみに、ごはんやパン、麺類にも糖質が多く含まれていますが、食物繊維も含んでいるため血糖値の上がり方は緩やかになります。
玄米や雑穀米、全粒粉のパンなど、「白くない糖質」を摂ると、さらに緩やかに。
健康のために「白い糖質」を卒業するのも、とても良いことだと思います。

カフェインと糖質の最凶コンビ

話は脱線しますが。
以前ローマへ行ったとき、イタリア人が結構な頻度でエスプレッソ(砂糖たっぷり)を飲むのをみて「みんな糖質中毒では?!」と思ったことがあります。
高濃度カフェイン(エスプレッソ)と砂糖(糖質)の組み合わせは、血糖値を上げるのに最強(最凶)の組み合わせだと聞いていたからです。

確かエナジードリンク(栄養ドリンク)も高濃度カフェインと大量の糖質の組み合わせでしたね。血糖値がぐんぐん上がって、力がみなぎる訳です(その後、急降下してフラフラになりますが)。
そういう意味では、糖質たっぷり缶コーヒーも「カフェイン+糖質」の最凶コンビと言えるかも知れません。

どんなに「コーヒーは成人予防に効果的!」と言っても・・・
「糖質たっぷりのコーヒー飲料」は、もはやコーヒー成分の恩恵にあずかることはないでしょう。特に成人病適齢期の方は、くれぐれもお気を付け下さい。

天使の飲み物になることも

悪魔の飲み物と呼ばれても。
猛暑で熱中症になりかけている時には、自動販売機の冷たい缶コーヒーが「天使の飲み物」になるかも知れません。とりあえず、脱水症状を回避することができるからです。

ということで、一刻を争う事態なら迷わず水分補給をしましょう。命には代えられませんからね。特に暑い時期は、熱中症・脱水症状にはお気を付け下さい。

<参考>
缶コーヒーの原価は?

きまめや
生豆屋(きまめや)

コーヒー豆に住む害虫の秘密

害虫ブロッカの生息地

2015年9月現在、ネパールとパプアニューギニア以外の全てのコーヒー生産国で生息していると言われる害虫ブロッカ(スペイン語名:Broca、英語名:Coffee Berry Borer)。
この2~3mmの小さな害虫のおかげで、世界中でどれだけの経済的な損失と農薬による環境汚染が広まったのか・・・計り知れません。

私が2008年にハワイ島コナへ行ったときには、まだブロッカは上陸していませんでした。しかし、現在は残念ながら生息地となっています。
当時、ハワイコナ農園主が「コナではどこの農園も、農薬は不要」と言っていたのが遠い昔のことのようです。

ところで、なぜブロッカは強いコーヒー豆のカフェインにも負けずに繁殖を続ける事ができるのでしょうか?
実はブロッカ以外の虫は、カフェインが強すぎてコーヒー豆の中で成長することができません
この「カフェインに負けない理由」が、最近の研究から明らかになりました。

コーヒー豆のカフェインに負けない虫の秘密

The Lawrence Barkeley国立研究所の Javier Ceja-Navarro が、ブロッカの腸内に「カフェインを無毒化する細菌」が存在することを発見しました。
この細菌のおかげで、ブロッカはカフェインを分解することができるという訳です。

これは、抗生物質をブロッカに投与して腸内細菌を殺した際に、そのブロッカがカフェインを分解できなくなったことから判明しました。
カフェインを分解できないブロッカは、生き残っても繁殖することが出来なかったということです。

さて、今回の発見から各国のブロッカ対策はどのように変わっていくのでしょうか?
「抗生物質をコーヒー農園で大量に蒔く」という恐ろしいこと(※)が起こらないと良いのですが。

※細菌感染症から人類を救った抗生物質は、現在の医療等ではその使用量が度を超しているために、抗生剤の耐性菌を生み出し、また使用過多による体内の有益菌までも死滅させることがあると言われています。

【本レポートの参照元】
Gut microbiota mediate caffeine detoxification in the primary insect pest of coffee(NATURE COMMUNICATIONS)
抗生物質の多用で、薬物耐性菌の数・死亡者数が増加(THE WALL STREET JOURNAL)
抗生物質が効かなくなったらどうすればよいのか(TED)

<参考>
コーヒー豆屋を始めた理由(コーヒー嫌いだったのに)

きまめや
生豆屋(きまめや)

デカフェ(カフェインレス)とは?

どうやってカフェインを除去するの?

デカフェ(Decaf, Decaffeinated coffee)は、本来カフェインが入っているコーヒー豆からカフェインを取り除いたものです。カフェインレス・コーヒー、ディカフェ、カフェインフリー・コーヒーと呼ばれることもあります。

実用化されているカフェイン除去法は、大きくわけて次の4種類。

(1)直接有機溶剤に入れて除去(The Direct-Solvent Based Process)

(2)間接的に有機溶剤を使って除去(The Indirect-Solvent Based Process)

(3)カーボンフィルターで除去(The Swiss Water Process)

(4)超臨界二酸化炭素で除去(Carbon Dioxide Process)

は、塩化メチレン(methylene chloride)や酢酸エチル(Ethyl acetate)といった有機溶剤を使ってカフェインを除去する方法で、比較的安価でできますが溶剤の残留が心配されています。

は、スイスウォータープロセスと呼ばれる方法で化学物質を一切使わずにカフェインを除去することができるため、オーガニックコーヒーのデカフェにもよく使われます。
または超臨界流体と呼ばれる状態にした二酸化炭素でカフェインを除去する方法で、こちらも1、2に比べて安全性が高いと言われています。
※当店が扱っていたフェアトレード・デカフェブレンドは、のスイスウォータープロセスによるもので、その製造工程はオーガニックの認証を受けています。

※よく「Water process(ウォータープロセス)」「Natural process(ナチュラルプロセス)」「European process(ヨーロピアンプロセス)」という用語を耳にしますが、これらはカフェイン除去時に化学物質が使われていて、上記分類ですと、またはに該当するそうです。

デカフェの定義

EUの基準では、99.9%以上カフェインを除去した場合に限り「デカフェ」と呼べます。
でも日本では特に基準がありません。あまり含有率にこだわらないのは、欧米と比べてそれほど需要が無いのが一因かも知れません。

でも長年コーヒー豆専門店をやっていると「デカフェありますか?」「カフェインレスコーヒーはどれですか?」といった質問を何度も受けました。
そのたびに「オーガニックの認証を受けた美味しいデカフェが無いので、まだ扱っておりません。大変申し訳ございません。」とお詫びしました。
オーガニック(有機無農薬)コーヒー豆をお好みのお客様で、さらにデカフェが欲しいという方は、結構多いのかも知れませんね。

お問い合わせがあるたびに「なぜカフェインを避けたいのですか?」と質問させていただいたのですが・・・
そのお答えで一番多かったのは「夕食時にカフェインをとると夜眠れなくなるから」という過敏症によるもの。
次に「持病のため医師からコーヒーを飲むなと言われた」というお答えも多かったです。また「妊娠中(または授乳中)だからカフェインを摂るのが心配」という回答もありました。

私は寝る前にコーヒーを飲んでも全然問題無い体質ですが、なかには過敏な方もいらっしゃるのですね。
もちろんそういう方は、コーヒーだけでなく紅茶やカフェイン添加された栄養ドリンク・コーラなどのソフトドリンクも避けていらっしゃると思います。
お茶にも含まれていますので、完全にカフェインを除去するのは大変ですね。

ちなみに、抽出されたカフェインは精製して医薬・工業用途等に用いられるそうです。そういえば風邪薬にもカフェインが入ってましたね。
もしかして栄養ドリンクやソフトドリンクに入っているカフェインもコーヒー由来でしょうか?もしご存知の方がいらっしゃったら、ぜひ教えて下さい。

<参考>
要注意!コーヒーのカビ毒
カビ豆ってどんな豆?(デカフェがカビやすい理由)

きまめや
生豆屋(きまめや)

エスプレッソと栄養ドリンク

イタリア人はなぜ立ち飲みしてまでエスプレッソを飲みたいのでしょう?
その理由を探るべく・・・まずは日本で「立ち飲みエスプレッソ」に似ているものを探してみました。

「立ち飲みしてまで飲みたい!」・・・その理由は?

理由は、単に「カウンターで、お気に入りのバリスタさんと楽しい会話をしたい」だけかも知れません。他にも、「その方が美味しいから」とか「立ち飲みだと安いから」など、理由は色々考えられます。
しかし、今日はあえて「エスプレッソの効能」という観点から考察したいと思います。

エスプレッソに似たもの・・・例えば「栄養ドリンク」はどうでしょう?バールで「クイッ」と飲むエスプレッソは、効能だけで考えると栄養ドリンクに近いかも知れません。
※もちろん、味わいや飲むときの雰囲気等は全然違いますので、あくまで体内に吸収される際の効能・・・ということでご了承下さい。

—-
まず「栄養ドリンク」に含まれている「カフェイン」について考えてみましょう。
覚醒作用がある「無水カフェイン(人工的に精製されたもの)」は、多いものではコーヒー数杯分も含まれている場合があるそうです。
さらに、糖分が加わって血糖値が上がり「元気が出る」「疲労回復」となります。
#もちろんビタミンや生薬等の有効成分も入っていますが、カフェインほどの即効性は期待できないそうです。

次に「エスプレッソ」の「カフェイン」を考えてみましょう。
エスプレッソのカフェインは、ドリップしたコーヒーよりも高濃度になりますが、少量しか飲まないので総量はむしろ少ないかも知れません。
しかし高濃度カフェイン&砂糖といった組み合わせで、血糖値が上がりやすくなり、結果として栄養ドリンクに似た効果が得られるのでは?
・・・と推測してみました。
ちょっと飲んで元気を出したい時、疲れた時に立ち寄って飲みたいエスプレッソは、まさに天然の栄養ドリンクなのかなと。

もちろん少量で、かつ天然の成分なので、栄養ドリンクよりもずっと緩やかな効能だと思います。
その分、効能が切れた時の反動も緩やかなので、むしろ安心かも知れませんね。

ちなみに「エスプレッソは深煎り豆を使うから、カフェインが少なくなる」という意見もありますが、実際には焙煎加減による違いは殆どありません。その点については、下記ページからご覧下さい。
深煎りと浅煎り、カフェイン量は同じ?」

食後のエスプレッソは「コーヒー」

日本で「立ち飲み」は殆ど見かけませんが、「立ち食いソバ」は駅でよく見かけます。 でもソバは、お腹が空いたから必要に迫られて食べるはず。 では、エスプレッソの必要性は? ・・・そんな素朴な疑問から強引に理由を探してみましたが、いかがでしたでしょうか。
ちなみに、食後に飲むエスプレッソは当然ながら「栄養ドリンク」の役割は果たしていないと思われます。 食後で十分栄養が取れているので、また別の需要がある訳ですね。 これは、私達が「食後にコーヒーを飲みたい!」と思うのと、同じ感覚だと思いました。イタリアは、コーヒー=エスプレッソですからね。

きまめや
生豆屋(きまめや)

エスプレッソ・レポート(7)「日本人とエスプレッソ」

そもそもエスプレッソって日本人好み?

「どちらかと言えば日本人好みではない」と思います。特にカフェで提供するには不向きかと・・・。
もちろん日本人にも色々な人が居るので、ひとくくりに言うのは適切ではありませんね。濃いコーヒーが大好きな方は、カフェでエスプレッソを注文して「すごく美味しい!」と感じるかも知れません。

でも、もし当店が豆を卸している全国のカフェ・レストラン様から「イタリアのバール形式にしようと思うけど?」とご相談いただいたら、たぶん「やめておいた方が無難です」とお答えするでしょう。
その理由は・・・

まず「一気にクィッと飲むべきエスプレッソ」は、ゆっくりまったりとお茶を飲むのが好きな日本人には合わないと思います。
その証拠に、日本ではセルフサービスのカフェでも「一気に飲んで早々に立ち去るお客さん」は、殆ど見かけません。
これは「カフェでコーヒーを飲む」ということは、そこで休んだり、本を読んだり、同席の人と話したり・・・という目的も含まれているからではないかと思います。
その場所代金も含まれているので、同じエスプレッソ(セルフサービス)でも日本の方が高い値段に設定されているような気がしました。

かくゆう私もカフェでエスプレッソを頼むときは、一緒にカプチーノやカフェラテなどを注文しています。
もちろん研究のためでもありますが、エスプレッソだけだとすぐに飲み終わってしまい物足らない、ゆっくり飲みながら一休みしたい、といった理由もあるからです。エスプレッソは、本当に2~3口で飲み終わってしまいますからね。


濃いコーヒーは好き?キライ?

次に、コーヒーの「濃さ」が日本人に合うか?という問題です。
以前ハワイ島のコーヒー農園巡りをした時、「日本人?それなら濃い珈琲をいれますね。」と言われ続けたことがありました。
どうやら日本人は、アメリカ人と比べると「濃い珈琲が好き」な傾向があるようです。

「濃い珈琲が好きな日本人」・・・イタリアへ行くまでは、私もそう思っていました。
しかしエスプレッソの本場へ行って、もっと濃い珈琲が普通に飲まれていることを実感しました(もちろん濃くても量が少ないので、コーヒー成分量は変わらないかも知れません)。
この濃さが、果たして日本で一般的に好まれるか?ちょっと難しいと思いました。慣れれば大丈夫だと思いますが・・・。

イタリアへ行く前、ローマ在住の知人(日本人)から「深煎りじゃない豆を、できるだけ沢山持ってきて!いくらでも買うから!」と頼まれて驚いたのを覚えています。これは「ローマでドリップ用の中煎り豆が売っていないから」だそうです。
確かにどこに行ってもエスプレッソが基本なので、中煎りの(日本では普通の)ドリップコーヒーが恋しくなる訳ですね。
私もローマで毎日エスプレッソを飲み歩き、コンドミニアムでもマキネッタで入れていたので、持参したドリップコーヒーが妙に美味しく感じたのを覚えています。


ミルクと合わせて日本人好み

その日本人好みとは言い難いエスプレッソも、ミルクと合わせると急に日本人好みの味わいになります。
ミルクたっぷりのカプチーノやカフェラテは、ゆっくり飲んで冷めても味わいの変化が少ないです。つまり温かいうちに飲む必要がありません。

また濃い味わいのエスプレッソが入っていても、殆どがミルクなので大変飲みやすいです。それはコーヒーというよりも、コーヒー風味のミルクと言った方がピッタリかも知れません。
飲みやすさで言えば、ミルクとコーヒーを半々で入れるカフェオレよりも上ではないでしょうか。

そういう訳で、前回お話ししたような「エスプレッソが滅多に注文されないシアトル系カフェ」が日本に定着したのかな・・・と思った次第です。
ちなみにシアトル系カフェは、私も概ね入るのが好きです。だけど、使い捨てカップ(コップ?)だけは勘弁して欲しい、というのが正直なところ。
カプチーノやカフェラテを陶磁器のカップで飲まないなんて「信じられない!」と思ってしまう私は、保守的なのかも知れませんね。

—–
以上、たった一週間しか滞在していないので、あまり的確な考察ではなかったかも知れません。
また何か現地エスプレッソ事情等ご存知でしたら、ぜひ教えていただければ嬉しいです。どうぞよろしくお願い致します。

きまめや
生豆屋(きまめや)

エスプレッソ・レポート(6)「本場エスプレッソの味わいは?」

本場エスプレッソの味わいは・・・

「どうだったの?」ということは、まず日本のカフェ、それもエスプレッソが飲めるシアトル系カフェと比較した方が良いですね。
答えは、当たり前ですが「バールによる」です。
日本でも、美味しいカフェもあれば「あれ?」な味わいのカフェもありますね。それはローマでも全く同じだと思います。
ただ全体的な印象としては、やはり本場の方が一枚上手で「エスプレッソ」そのものの味わいを楽しめる、と感じました。

まず日本では、「ミルクたっぷり入りエスプレッソ」が基本なので、「エスプレッソ」単品で注文する人は少ないですね。店内を見回しても、小さなデミタスカップで「エスプレッソ」を飲んでいる人は殆ど見かけません(少なくとも私は見たことがありません)。

そもそも「エスプレッソ」がメニューにない場合もあり、「エスプレッソできます?」と聞くと「え?!」と動揺する店員さんもいました(某最大手シアトル系カフェにて)。
このことから、カフェの方も滅多に「エスプレッソ」単品で出さないのだろう、ということが想像できます。

一方、ローマのバールでは「コーヒー=エスプレッソ」で、客も当たり前のように「エスプレッソ」を注文します。バール内を見回しても、デミタスカップを持っている人が多く、日本のカフェとは全然違う光景でした。 バリスタさんも「エスプレッソ」の味わいに自信を持って作ってくれるので、安心して楽しむことができました。
その辺の技術や意識の違いが、「一枚上手」という印象を引き出しているのかも知れません。


自分がいれるエスプレッソと比べると?(個人的な感想)

私はコーヒー豆屋なので、どうしても「クレマの下のエスプレッソ液の味わい」を最優先でチェックしてしまいます。さらにルール違反を承知で「砂糖無し」で飲むので、私の意見はあまり参考にならないかも知れません。

ただ、今回の旅行で大収穫があったのは確かです。
それは、手前味噌で大変恐縮ですが「当店の豆でいれたエスプレッソ」より右に出る味わいは無かった、ということです。
本当にずうずうしい発言ですが、これが判ったことが一番の収穫でした。むしろこれを調べるためにイタリアへ行った、といっても過言ではありません。
帰国後、エスプレッソ用の豆をご入り用のお客様に、自信を持ってオススメすることができるようになりました。自信を持てる、ということは私にとってとても大切なことなのです。

エスプレッソの味わいを決める要素は沢山あります。それは高性能のミルだったり、立派なエスプレッソマシーン、抽出技術、厚いクレマ、素敵なデミタスカップ、お店の雰囲気、そしてバリスタさんとの楽しいお話だったり・・・。
でも「クレマの下のエスプレッソ液の味わい」だけは、コーヒー豆次第です。
豆の鮮度(焙煎後・挽いた後の経過時間)と品質が一発で判る「エスプレッソ」。ミルクで誤魔化せないからこそ、違いが分かって魅力的なのかも知れませんね。


大規模店舗の規制に守られて

ところで、「ローマにシアトル系カフェがあったか?」というと、全然ありませんでした。
シアトル系カフェのようなチェーン店は全然見あたらないし、デパート等の大規模店舗もありません。
これは、イタリアでは大規模店舗参入に対する政治的抵抗が非常に強く、小さな店舗が優遇されているから、ということでした。

観光地なのに、見慣れた店が無いなんて・・・と最初はビックリしましたが、少しずつ馴染みの店を開拓していくうちにその方が良いことに気付きました。
だから市場に人が集まるし、小さな雑貨店やバールが繁盛するし、町全体が活気付くのだな、と。
日本の商店街にしてみれば、羨ましい限りですね。
でも、なぜかマクドナルドはありました。どうしてマクドナルドだけOK??

私としては、イタリアのバールは均一化されないまま、個性的なままで居て欲しいなと思います。
世界に一つだけしかないお気に入りのバールって、良いですよね。
日本でも、そんな素敵なカフェが増えて欲しいです。

きまめや
生豆屋(きまめや)