焙煎時に大事なポイント1「豆肌」

命名「豆肌」

(1)豆肌シワシワ色濃い目→(2)豆肌が伸びて色薄め。→(3)焙煎終了

私達(生豆屋とニュージーランド姉妹店の焙煎担当スタッフ達)が焙煎するとき、この「豆肌」という言葉が飛び交っています。

「豆肌どう?」
「もう少し豆肌のばしたい」
「豆肌が伸びたら、また色が薄くなるから」など。

豆肌は、コーヒー豆の表面のことです。
私が名づけました。豆の肌なので、豆肌。
この言葉は、豆がどのくらい縮れてシワシワしているか、つや加減がどうか、を見るときに使います。
焙煎を習い始めた日に知るべき、とても大事な言葉です。

もちろん、豆を見ないで焙煎する場合(自動で焙煎する場合)は、その大切さに気付かないかも知れませんね。
手動で焙煎するなら豆との対話(状況によって臨機応変に対応すること)が大事ですし、それが焙煎の醍醐味とも言えるでしょう。

豆肌が語ること

コーヒー豆の中までしっかり均一に火が通っていないと、豆肌のツヤが無く縮れたままになります。このような豆を挽くと青臭かったり、コーヒーが本来もっている香りが出なかったりします。
新鮮な豆なのに香り無いと、挽いた瞬間にがっかりしてしまいますね。

シワシワ加減は、豆の産地だけでなく精製方法が水洗式(ウォッシュド)か、自然乾燥式(ナチュラル)かなどによっても異なります。
そのため、どんな加減だと良いか?は一概には言えません。
様々な条件で何度も焙煎して、最適な加減を見つけ出すのが大事です。

また豆肌が縮んだままでいると、その分焼き色が濃く見えることもあります。
「あれ?焙煎が深いかも?」と思っても単に縮れて濃くみえてただけで、焙煎がすすんでふっくらすると、また薄くなったりします。

ということで、焙煎するときには、色だけで無く「豆肌がどういう状態か?」をよく見る必要があります。
そして豆肌を伸ばすため(ふっくら焙煎するため)には、どのように火を入れたらよいかも、大きなポイントです。
ずっと同じ強さの火で焙煎し続けるよりも、強弱があった方がふっくらする場合も多々あるからです。
この火力の影響について、ご自宅で手焙煎されている方は、すでに気付いている方も多いのではないでしょうか。

豆肌をしっかり見るには

豆肌をしっかりチェックできるよう、自宅焙煎には網状の「ぎんなん炒り」をお勧めしています。
さらに、多少チャフ(薄皮)が散らかっても、ぎんなん炒りの「フタを開けたまま」焙煎すると、よく観察できて良いです。

そして、照明も大事です。
もし焙煎する場所が暗いようなら、別にライトを用意しましょう。ライトは「昼光色」か「昼白色」がおすすめです。
「電球色」だと暖色系でオレンジっぽくなるため、色を正確に見るのが難しく、あまりおすすめできません。
とりあえず大事なのは、いつも同じライトを使って、色と豆肌をよく覚えることです。
豆の状態と、抽出後の味わい・香りがリンクできれば、自在に味わいの違いを楽しむことができますね。

上の写真は、私が今日焙煎したコロンビアの「(1)焙煎開始後のシワシワ豆→(2)豆肌が伸びて色が薄くなった豆→(3)焙煎終了時の豆」を撮ったものです。
最初のシワシワ豆の方が色が濃く見え、焙煎がすすむとふっくらして色が少しだけ薄くなり豆肌が伸びているのが分かると思います。
この(2)の状態で終了すると、香り少なめ・酸味が強いコロンビアになります。胃が丈夫で酸味・浅煎りが大好きな方用になります。
胃へ負担をかけずコロンビアの豊かな香り・コク・かすかな酸味を楽しみたいなら(3)の焙煎加減(当店推奨)がお勧めです。

きまめや
生豆屋(きまめや)

実験!オーブン焙煎に挑戦

以前から気になっていた「オーブンでコーヒー生豆を焼くこと」。
名づけて「オーブン焙煎」。
なんとなくムラ焼けしそうな気がして躊躇していたら、10年も経ってしまいました。
そして、とうとう「挑戦してみよう!」と思い立ち、自宅のガスオーブンで焙煎してみました。

すると意外にも・・・おいしい!
これならもっと早くやっておけば良かった、と思いました。

焙煎は面倒だけど、焼きたての新鮮なコーヒーを飲んでみたい方、
一度に多めに焼きたい方、
下記の要領で、ぜひ一度お試し下さい。


<オーブン焙煎の方法>

これからご紹介するのは、オーブン温度200℃中煎りコースです。深煎りは途中から210~220℃に変更します。
自宅にあるガスオーブン(大きめ)を使用し、室温は22~24℃でした。

(1)オーブンを200℃に温める。
※温めが足らないと、時間がかかります。

(2)天板に、できるだけ重ならないようにコーヒー生豆(今回は有機栽培コロンビア260g)を並べる。
※生豆同士がくっついても大丈夫です。
生豆を並べる


(3)(2)をオーブンに入れて焼く。

※中煎りで30分が目安です。深め中煎り~ごく深煎りが良い場合は、さらに様子を見ながら焼いて下さい。

10分経過。焙煎特有の甘い香りが漂い、豆が薄茶色になってきます。
10分経過

20分経過。浅めで酸味が強い状態です。
ほろ苦さを前面に出すなら、様子を見ながらさらに焼きましょう。
20分経過

30分経過。20分と殆ど色が変わらないですが、中まで火が通ってきました。かすかな酸味の中煎りがお好きな方は、ここで終了して下さい。
さらに苦みを前面に出すなら、温度を210℃に変更して続けて焼きましょう。
30分経過


40分経過。やや深めの焙煎になりました。
もっと苦くしたい方は、220℃に変更して続けて焼いてみましょう。
40分経過


50分経過。フレンチロースト程度で終了します。
50分経過


(4)
お好みの焙煎加減になったらオーブンから出し、完全に冷めたら手でモミモミして豆の薄皮を外します。
それをザルに入れて、うちわで仰いで薄皮を飛ばせば出来上がり!

写真は、40分焼いて「やや深煎り」にしたコロンビアです。
写真左は、薄皮が付いた状態。写真右は、うちわで仰いで薄皮を飛ばした後の状態。
薄皮付きの、やや深煎りのコロンビア やや深煎りコロンビアの薄皮無しの状態

<ポイント>
●上記の方法は、ガスオーブンを使用した場合の目安です。お使いのオーブンや、室温によっても火の通り方が全く違ってくると思いますので、適当に時間・温度を調整して下さい。
※途中経過では上記の写真を目安にし、色合いが異なる場合は調整してみましょう。
※オーブンによっては、天板の場所によってムラ焼けする場合があります。オーブンの特徴をつかむまでは、こまめに焙煎のすすみ具合をチェックし、焦がしすぎないように注意しましょう。

●焙煎が足らないと、酸味が強い、または青臭く感じることがあります。その場合は、再度オーブンで焼いてみて下さい。

●温度が低いと、さらに時間がかります。高いと、早く終了します。お使いのオーブンでは、どのくらいの時間をかけるとベストか、色々と研究をしてみましょう。
※自宅オーブンで180℃だと、中煎りまでに1時間以上かかりました・・・。

●(4)の手でモミモミ・・・・は、シジミを水洗いする要領でやってみて下さい。簡単に豆表面の薄皮がはがれます。
なお、うちわで仰ぐと周囲が薄皮で散らかりますので、予めご了承下さい。
※薄皮が気にならない方は、(4)はやらなくてもOKです。

●部屋中に、焙煎の香り(臭い?)が充満します。しばらく独特の香りが漂い続けますので、予めご了承下さい。
※ガスオーブンをご使用の際は、必ず換気をしましょう。

●生豆は、カビ豆などの欠点豆・異物があったら焙煎前に取り除いておいて下さい。
※当店の生豆でしたら、カビ豆などの欠点豆・異物等を除去してから袋詰めされていますので、そのままご使用いただけます!

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オーブンや室温によって火の通り方が全然違うと思いますので、自分好みの味わいを研究してみるのも楽しいですね。
ぜひお試し下さい。

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生豆屋(きまめや)