コーヒーの健康効果(海外の研究から)

成人病リスクを減らす効果

Harvard Medical Schoolの科学者Dr. Frank Huが、1976年から20年間、約21万人の人々を対象にコーヒーが人体に与える影響について研究しました。
その結果、心臓血管病や神経変性疾患(筋萎縮性側索硬化症 ALS、パーキンソン症候群、アルツハイマー病など)だけでなく、自殺行為のリスクを減らす効果があることを発見しました。

「コーヒーはとても複雑な飲み物。何百何千もの生理活性化合物を含んでおり、それぞれの化合物や化学物質がどう影響しているかを見つけるのは、ほぼ不可能でしょう。
コーヒーの健康効果は、いくつかの化合物からだけ引き出されるのではなく、沢山の化合物やミネラル、抗酸化物質の”相乗効果”によるものと思われます。
そしてコーヒーと言えばカフェインですが、デカフェ(カフェインレス、カフェイン抜き)コーヒーでも血液疾患や糖尿病についてはカフェインを含むレギュラーコーヒーと同じ効果が見られました。」

一方で、Hu教授はコーヒーと健康に関する研究の難しさも指摘しています。
「コーヒーを常飲する人のうち、沢山の人がタバコを吸っています。そして、タバコを吸わない人だけのグループではさらに明白に健康効果が見られました。
つまり喫煙は、コーヒーの潜在的な健康効果を消してしまうので、コーヒーと喫煙は分けて考察する必要があります」

さらにHu教授の新しい研究では、上記疾患の他、肝臓ガンを含む肝疾患や鬱病のリスク減少、血糖の新陳代謝を助けインシュリンの感受性を改善し、炎症も抑える働きもしてくれることが分かっています。

Hu教授は、全員に同じようにコーヒーの効果が現れる訳では無いとし、自分の健康状態に合わせて適度にコーヒーを飲むことを勧めています。

日本の研究結果と類似

上記の記事を読んだとき、日本で行われた研究結果と類似していると思いました。
コーヒーと様々な病気予防については、沢山お知らせしましたね。詳しくは秘蔵!コーヒー豆知識の「コーヒーと健康・・・病気の予防やダイエット効果など」にまとめて掲載されておりますので、興味のある方は是非ご覧下さい。

なおALSと鬱病・自殺予防については、私も知りませんでした。
また何か研究結果を見つけたら、お知らせしたいと思います。

<参考>
BUSINESS INSIDER VIDEO(Nov. 25, 2015)
A Harvard scientist who’s studied coffee for 20 years explains why the drink is amazing

きまめや
生豆屋(きまめや)

長寿ブレンドの作り方

コーヒーの成人病予防効果について再確認!

まずは最近注目されている成人病予防効果が期待できる成分について、サッと復習してみましょう。

1)浅煎りであるほど含まれる有効成分(深煎りには含まれない):クロロゲン酸・・・抗酸化作用(老化防止)、2型糖尿病の予防など

2)深煎りであるほど含まれる有効成分(浅煎りには含まれない):ニコチン酸(タバコとは無関係です)・・・心筋梗塞や脳梗塞の予防など

3)どちらの焙煎でも含まれる有効成分:カフェイン・・・パーキンソン病や2型糖尿病の予防など。他成分との相乗効果アリ。
——-
他にも香りの成分など色々あるかと思いますが、とりあえず予防効果が評価されている代表的なものを書いてみました。

上記から、一番効果的にコーヒーを摂取するなら・・・
やはり「浅煎り&深煎りのブレンドが一番!」ではないかと考えました。

配合は、まず半分半分(50%ずつ)がお勧めです。そこから、もっと苦みを減らしたい(増やしたい)というお好みに合わせて微調整してみても良いですね。
※深煎りが多いと苦みが増えます。

もし予防したい病気が限定されているなら、それに合わせればOKです。
例えば脳梗塞などの血管に関する病気だったら深煎りの方を多くするのも良いですし、老化防止に期待したいなら浅煎り多くしてみてはいかがでしょうか。

長寿ブレンドを作るときの注意点

焙煎が浅すぎると、コーヒーの香りが無く酸味の強い(一般的に流通しているアラビカ種の場合)味わいになり、刺激も強く胃痛の原因にもなります。

また焙煎が深すぎると、炭のようにカラカラになりコーヒー本来の香りは消えて炭臭くなってしまいます。いくら成分を追求しても、コーヒーの豊かな香りと味わいが無くなってしまったら勿体ないですね。

だから配合する際は、「コーヒーを楽しめる焙煎加減の範囲内でブレンド」するようにしましょう。
せっかくのコーヒーを「不味い!」と言いながら無理してガブガブ飲むよりも、「美味しい!」と言いながら最高の一杯を飲む方が、ストレス解消効果も期待できますね。

焙煎加減以外でも、健康のために「カビ豆」などの欠点豆をしっかり除去すること、できるだけ回転の早いお店で新しい豆を入手することも大事です。

なお「そういう細かいことを考えるのが面倒!」
「とにかく美味しい長寿ブレンドを楽しみたい!」・・・と言う方は、当店の「有機(無農薬)栽培 長寿ブレンド」がお勧めです!
「成人病予防効果を追求、かつ香り豊かに美味しく仕上げること」をテーマに、丁寧に焙煎・配合しました。
よろしかったらお試し下さい。

※すでに持病がある方、お薬を飲んでいる方は、必ず担当の医師にコーヒーを飲んでも大丈夫か相談しましょう。現在服用している薬との相性もありますので、くれぐれもご注意下さい。

【関連記事】
長寿ブレンド秘話
手焙煎で健康コーヒー(病気予防に)

【参考記事】
コーヒー摂取による生活習慣病予防効果のメカニズム -アディポサイトカインを介した影響(愛知職域コホート)

アディポネクチンと糖尿病・心血管病の分子メカニズム(第128回日本医学会シンポジウム)

Niacin therapy in atherosclerosis(英文、Curr Opin Lipidol. 2004 Dec;15(6):659-65.)

血栓をつくりにくい?コーヒーの不思議な力。(社団法人全日本コーヒー協会)

Nicotinic acid in the management of dyslipidaemia associated with diabetes and metabolic syndrome: a position paper developed by a European Consensus Panel(英文、Current Medical Research and Opinion,?2005, Vol. 21, No. 5 : Pages 665-682)

脂質異常症の最新情報 ニコチン酸とHDL(ドクターサロン57巻7月号-6. 2013)

コーヒーのポリフェノール(秘蔵!コーヒー豆知識)

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成人病予防なら濁りコーヒーが一番?

成人病予防のためのコーヒーの条件

コーヒーを飲みたい理由は、いろいろありますね。美味しいから、香り豊かだから、だけではありません。気分転換のため、目を覚ますため、食後のひとときを楽しむため、口臭を消すため等々。
そして、日本では成人病予防のために飲んでいる方も多いのでは無いでしょうか。

なぜ日本では・・・と書いたかというと、一つは成人病予防効果に関する研究が積極的に行われ発表されていること。
そして歴史ある「お茶文化」を持つのため、ブラック(砂糖を入れない)で飲む人が多いことがあげられます。 やはり成人病予防ですから・・・イタリア人がエスプレッソを飲む時のようにドバドバ砂糖を入れてしまうと効果が半減してしまう恐れがあるのはご理解いただけるかと思います。

さらに「ブラックで美味しく飲める環境」が他国に比べて整っていることも重要なポイントです。
新鮮な焼きたてコーヒー豆店がご近所に無くても、通信販売で簡単に購入することができます。
当店の場合でしたら、離島以外なら「焙煎日の翌々日」までにはお届けできるシステムになっており、これは宅配網が充実しているおかげと言えるでしょう。
また自宅で焙煎する方も年々増えており、十数年前に比べると鮮度に対する意識が格段に向上してきました。
これだけの環境・意識があれば「日本は世界一美味しい・体に良いコーヒーが飲める国」と言っても過言では無いでしょう。

なおブラックで美味しく飲むためには、「鮮度や品質」が大事なのは言うまでもありません。なぜなら、それらを満たしていないとブラックで飲んでも胃が痛くなるだけだからです。
もちろん「胃が頑丈だから鮮度や品質なんか気にしない!」という人や「胃が痛くなって食欲減退→ダイエットできる!」のが目的な人なら問題無いですね。

「濁りコーヒー」は、成人病予防の味方?

さて。成人病予防効果について様々な研究が行われていますが、皆さまご存知でしょうか。主な研究結果については秘蔵!コーヒー豆知識「コーヒーと健康・・・病気の予防やダイエット効果を検証」でも紹介しておりますので、よろしかったらご覧下さい。

ところで成人病予防には、コーヒー豆のどの成分が貢献しているのでしょう?
実際にはハッキリと分かっていないのですが、恐らくコーヒーポリフェノール「クロロゲン酸」がその一つだろうと言われています。
そして、その「クロロゲン酸」が「浅め~中煎り豆(深煎りではない豆)」に多く入っていること、コーヒー豆を挽いたときの微粉に沢山含まれていることも、以前お話しした通りです。

そこで、微粉ごと一緒に飲んでしまう「濁りコーヒー」は、実は一番効果的なのでは?と気付きました。
ペーパーフィルターで濾さないと透明感も無いし、深煎りじゃないと渋みも感じやすくなるけど、その渋みがまさに「クロロゲン酸」の正体!だったら、丸ごと一緒に飲んでしまっても良いでは?

もちろん味の好みは十人十色なので、無理して慣れない「濁りコーヒー」を飲む必要はありません。ペーパーフィルターで濾しても渋みを感じることはできます。
コーヒーは、やはり「美味しい!」と感じることが一番大切ですから・・・。
せっかくストレス解消できる機会なのに、嫌いな抽出方法でストレスためたら勿体ないですね。

【注意】医師からコーヒーを控えるように言われている場合は、その指示に必ず従って下さい。処方されている薬の成分との相性もありますので、くれぐれもご注意下さい。

【参考】
心筋梗塞&脳梗塞予防にコーヒー
深煎りコーヒーに含まれる成人病予防成分について
長寿ブレンド秘話

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コーヒーと糖尿病 その3

以前、コーヒーは2型糖尿病(以下、糖尿病と略します)の予防に効果的、というお話をしました。
今日は、糖尿病を「すでに発症している人」はコーヒーとどう付き合ったら良いかについて、提案したいと思います。
※2型糖尿病:遺伝的な要素に、過食や運動不足、ストレスなどの生活習慣が加わって発病するタイプの糖尿病。

「予防」と「発症後」の違い

糖尿病の「予防」として、コーヒーを飲むのは効果的であるという研究結果がいくつか発表されています。

その理由として、コーヒーに含まれるカフェインが、脂肪の燃焼を助けて体重増加を防ぐからとか。
または、コーヒー成分のクロロゲン酸が作用して間接的に血糖値をコントロールしているのでは? 等々いろいろな説がありますが、まだハッキリとは解明されていません。

一方、「予防」ではなく「すでに発症している人」は、どうでしょう?
色々調べたところ、コーヒーを「たっぷり飲む」のは控えた方が無難のようです。
大量にコーヒーの「カフェイン」を摂取すると、炭水化物の利用効率が悪くなり血糖値が高くなる恐れがあるからです。

予防で沢山飲んでOKでも、発症したら要注意とは・・・
コーヒーの成分が複雑に影響しているため、なかなか難しい所のようですね。

糖尿病発症後のコーヒーの飲み方

発症すると、食後の血糖値コントロールがとても大事になります。
コーヒーのカフェインによる影響を抑えるため、発症している人は食事中や食後のコーヒーは控えた方が良いでしょう。
#コーヒーだけでなく紅茶や緑茶、清涼飲料に含まれるカフェインも要注意です。

「でも、やっぱりコーヒーが飲みたい!」
そんな時は、空腹時・食間に飲むことをオススメします。嬉しいことに、空腹時にコーヒーを飲んでも血糖値の変動は殆ど見られないそうです。

さらに、アラビカ種の豆を選び、できれば抽出はアメリカン(薄め)で。そうすればカフェイン量も減り、より安心ですね。
※当店でお取り扱い中の豆はすべてアラビカ種ですので、ご安心下さい。

もちろん、服用中の薬や体質との相性もあるかと思います。コーヒーを飲むときは、必ずかかりつけの医師に相談してからにしましょう。

アラビカ種:カフェイン量がロブスタ種の半分。

<参考>
コーヒーと糖尿病1(色々な研究結果)
コーヒーと糖尿病2(予防と使用上の注意)
アメリカンコーヒーの作り方

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コーヒーと糖尿病 その2

1日10杯で8割減?!

「コーヒーを1日数杯飲む人は、糖尿病のリスクが3割近く下がる」という調査結果を、フィンランドの研究機関が発表しました。(※)
35~64歳の約1万4600人を調査した結果、1日3~4杯のコーヒーを飲んだ場合、飲まない人に比べ女性で29%、男性で27%糖尿病にかかる率が減少。
1日10杯以上飲んだ場合、女性で79%、男性で55%の減少となったそうです。

しかし。いくら効果的と言っても「1日10杯以上」はなかなか難しいですね。どうやって10杯以上飲む人を集めたんだろう? と疑問に思った所・・・
フィンランドの「コーヒー豆の1人当たり年間消費量」は世界一で、何と約11kg! 
1日9杯飲むのが平均だというから驚きです。なるほど。だからコーヒーに対する意識も高く、調査報告も多い訳ですね。

アメリカなどでも最近、同じような研究報告がされていますが、どうしてコーヒーが効果的なのかは未だに判明していないそうです。

※フィンランド国立公衆保健研究所が、2004年3月10日発行の米医師会誌(JAMA)に発表しました。

無理しないように注意

ここで知っておいていただきたいのは、どの研究機関も「あくまで適量を飲むこと」をすすめている、ということです。
「そうか!効果的なのか!」と言いながら、無理してガブガブ飲まないよう、お気を付け下さい。

私が思うに「あー、コーヒーが飲みたい!」と思った時に、新鮮で体に優しいコーヒーを飲むのが一番ではないでしょうか。
飲みたいときに美味しいコーヒーを飲むと、体にスッと入っていきますし、胃ももたれません。
しみじみ美味しくて、幸せな気持ちになれます。
当店のお客様でも「コーヒータイムがストレス解消!」という方がとても多いです。

あと、お砂糖&ミルクをたっぷり入れて1日何杯も飲むと逆効果の恐れもありますので、ご注意下さい。
また「コーヒーなら何でもいいかな」と「糖分タップリ缶コーヒー」を何本も飲んだりしないように、くれぐれもお気を付け下さい。

<参考>
コーヒーと糖尿病1(色々な研究結果)
コーヒーと糖尿病3(予防と発症後の違い)
悪魔の飲み物「缶コーヒー」

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コーヒーと糖尿病 その1

糖尿病に効果あり?

オランダの研究では、1日に7杯以上コーヒーを飲む人は2杯以下の人に比べて、2型糖尿病(※)を発症する率(7年間調査)が約半分だったそうです。
※2型糖尿病:遺伝的な要素に過食や運動不足、ストレスなどの、体に負担となる生活習慣が加わり発病するタイプの糖尿病。

これは、コーヒーに含まれるクロロゲン酸やマグネシウムなどの成分が、糖尿病の発病を防ぐためだと推定しています。(Lancet2002.11.9号より)。

また、日本の研究でも、東京大病院と朝日生命糖尿病研究所の調査から、コーヒーの成分によって糖尿病の予防や治療につながる可能性があるとしています。
#紅茶や緑茶、ウーロン茶では、血糖値への効果はみられなかったそうです。
(毎日新聞2003.3.10夕刊より)

予防できる可能性大

一方、フィンランドの研究では、20年近く追跡調査した結果、コーヒーを飲む量と2型糖尿病の発症率とには何の関係もみられなかったそうです。

コーヒーの効果は人種によって違うものなのか、調査方法の違いなのか。はっきりとした結果は出ていません。
そして、一体何の成分が効いているのかについても、まだまだ研究の余地があります。

とりあえず「コーヒーを飲んでも悪影響は無い→むしろ予防になる」ということだけは確かのようですね。
#もちろん、砂糖やクリームをたっぷり入れれば、悪影響を及ぼしかねません。くれぐれもご注意下さい。

平成14年に厚生労働省が発表した調査結果によると、「20歳以上の6人に1人は、糖尿病か予備軍」。
そして日本人の糖尿病は、ほとんどが2型糖尿病だそうです。
その予防としてコーヒーを飲むのも一法ですが、普段の食生活に気をつけたり、適度な運動をすることが最も大事とのことです。

ちなみに、健康な人が「糖尿病の人向けの食事」をすると、どうなるかご存じでしょうか?
もっと健康になるそうです。
この機会に、欧米型の食生活を見直すのも良いですね。

<参考1>1型糖尿病とは
インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が破壊されて発病するタイプの糖尿病。
日本人に多い2型糖尿病と異なり、生活習慣と関係なく発病する。体外からインスリンを補わないと生命を維持できない場合が多く、小児・若年期に発病することが多い。
#1日1回~数回インスリンの注射を打つ必要があるそうです。自分で注射を打っている人を見かけても、ビックリしないで下さいね。

<参考2>
コーヒーと糖尿病2(予防と使用上の注意)
コーヒーと糖尿病3(予防と発症後の違い)

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