ペーパーフィルターの湯通し効果

あれ・・・紙臭い?

新入荷のコーヒー豆の焙煎加減を決めるために、いろいろな焙煎加減を試していた時のこと。
スタッフ達と浅めの焙煎加減を試飲したら、なぜか違和感がありました。
「あれ・・・紙臭い?」

私が抽出すると紙臭さが気にならないのですが、某スタッフが入れたコーヒーは何故か気になりました。 (※口うるさい店長で恐縮です)
早速抽出方法について確認したところ、湯通しに使う湯の量が少ないことが判りました。でも今まで気にならなかったのに、なぜ突然紙臭く感じたのでしょう?

焙煎加減で違いがわかる

浅い焙煎加減で紙臭かったということは・・・。
「焙煎加減によって、感じ方が違うのかも?」と思いつき、さっそく実験してみました。
以下は、湯通し無しのペーパーと、十分湯通ししたペーパーの味わいの違いについての結果です。
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1)中煎り豆(ミディアムロースト)使用の場合
湯通し無し:かすかに紙臭さがあり、酸味・苦味が強く感じられた。
湯通し有り:豆本来の香りで、まろやかな酸味・苦味が感じられた。

2)ごく深煎り豆(イタリアンロースト)使用の場合
湯通し無し:苦味が強く、紙の臭いは無し。
湯通し有り:苦味が強いが、比較的まろやかな口当たり。紙の臭いは無し。
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以上のことから、紙臭さは浅めの焙煎の方が感じやすいことが分かりました。
深煎り豆は強い苦味・コクが前面に出て濃い味わいになるので、紙臭さを感じにくくするようです。
ちなみに、ごく深煎り豆の場合でも、サーバに残ったコーヒー液の香りを調べたら・・・湯通し無しの方は「これは紙臭い!」という意見で一致しました。冷めると、深煎りでも紙臭さが感じられるようです。
※湯通し有りの方は両方とも、冷めても紙臭さはありませんでした。

あと、意外なことも判明しました。
それは「十分湯通しすると、まろやかな味わいになる」ということです。
その理由はよく分かりませんが、湯通しすることでペーパーの繊維が膨張し、よりまろやかな口当たりになるのかも・・・知れません。
この味わいの違いについて、また何か分かりましたらお知らせしたいと思います。

<実験の条件>
・中煎り豆、ごく深煎り豆 各48g(細め中挽き)で、それぞれ4人分抽出(1人分は120cc)。
・抽出時の蒸らし時間は1分間。湯温は90℃とした。
・ハリオドリッパー&無漂白ペーパーフィルター(円錐形)使用。
・「湯通し有り」は、約600ccの熱湯で行い、1分間湯気を蒸発させた後にコーヒー粉を入れて抽出開始した。
・「湯通し無し」は、ドリッパーを湯で温める時もペーパーを外し、抽出開始まで一切湯がかからないように注意した。

湯通しをしているところ。

<参考>
ペーパーフィルターの紙臭さを消す方法
ペーパーフィルターの無漂白と酸素漂白、どちらが良い?


きまめや
生豆屋(きまめや)