素朴な疑問(ペーパードリップ編)

ドリッパー断面。中央(A)の方が、ペーパーフィルターの近く(B)よりずっとコーヒー粉の層が厚いですね。一番厚いところで注いでコクを出しましょう。

質問1:ドリッパーにお湯を注ぐとき、円を描くようにグルグル注ぐの?

答え:円を描く必要はありません。
細口ポットなら、蒸らす時だけ中心から円を描くように注いで全体を湿らせても良いです。
ヤカンの場合は、ちょんちょんと湯を少しずつ落として、全体が湿るように蒸らして下さい。無理に円を描くと、ドバッとお湯が出てしまい上手に蒸らせません。要は、全体が湿ればOKなのです。

蒸らしている時に、注ぎすぎたお湯が下からポタポタ落ちたりしますね。このコーヒー液は、コクも無いし香りも少なく、あまりオススメの味わいではありません。 でも「ポタポタ」がコーヒー全体が湿った証拠でもありますので、数滴落ちるくらいを目安に挑戦してみましょう。

30秒から1分間くらい蒸らし終わったら、中心部分(ドリッパーの穴が空いている部分)だけに注ぎ続ければ大丈夫です。下からコーヒー液が落ちる量と、注ぐ湯の量を同じくらいにすれば、コクのある味わいに仕上がります。
※ドリッパーは、中心部分(上図 A)が一番コーヒー粉の層が厚くなるように設計されています。ペーパーフィルタ近く(上図 B)は層が薄くなりコクが出ないので、円を描くのではなく「円の中心で注ぐ」のが正解です
もしどうしても気になるなら、時々ペーパーフィルター近くも注いでOKです。

質問2:ペーパーフィルターはあらかじめ湯通しする?

答え:ペーパー臭を消すため、十分に湯通しして下さい。
ペーパーがお湯で濡れると独特の臭いが出るため、以前はできるだけ濡れたペーパーとの接触時間が短くなるよう湯通ししない方法をおすすめしておりました。
しかし、その後の実験で「たっぷりのお湯」を使って湯通しすれば、臭いが殆ど消えることが分かりました。
具体的な臭い対策については、ペーパーフィルターの臭い対策をご覧下さい。

質問3:ペーパーの臭いなんて分からないけど?

答え:ネル(布)ドリップと比べていただければ、良く分かると思います。また、ペーパーを湯通ししたときに落ちる、お湯の臭いを確認してみてください。独特の紙の臭いが分かります。
「一度臭いが分かってからは、どうしても気になってしまう!」という方もいらっしゃいます。これからも湯通しをせずにペーパーを使い続ける予定なら、どんな臭いか知らない方が良いのかも知れません・・・。

< 参考 >
秘伝!おいしいコーヒーの作り方
実験! 蒸らしの極意

きまめや
生豆屋(きまめや)

ペーパーフィルターの湯通し効果

あれ・・・紙臭い?

新入荷のコーヒー豆の焙煎加減を決めるために、いろいろな焙煎加減を試していた時のこと。
スタッフ達と浅めの焙煎加減を試飲したら、なぜか違和感がありました。
「あれ・・・紙臭い?」

私が抽出すると紙臭さが気にならないのですが、某スタッフが入れたコーヒーは何故か気になりました。 (※口うるさい店長で恐縮です)
早速抽出方法について確認したところ、湯通しに使う湯の量が少ないことが判りました。でも今まで気にならなかったのに、なぜ突然紙臭く感じたのでしょう?

焙煎加減で違いがわかる

浅い焙煎加減で紙臭かったということは・・・。
「焙煎加減によって、感じ方が違うのかも?」と思いつき、さっそく実験してみました。
以下は、湯通し無しのペーパーと、十分湯通ししたペーパーの味わいの違いについての結果です。
——
1)中煎り豆(ミディアムロースト)使用の場合
湯通し無し:かすかに紙臭さがあり、酸味・苦味が強く感じられた。
湯通し有り:豆本来の香りで、まろやかな酸味・苦味が感じられた。

2)ごく深煎り豆(イタリアンロースト)使用の場合
湯通し無し:苦味が強く、紙の臭いは無し。
湯通し有り:苦味が強いが、比較的まろやかな口当たり。紙の臭いは無し。
——
以上のことから、紙臭さは浅めの焙煎の方が感じやすいことが分かりました。
深煎り豆は強い苦味・コクが前面に出て濃い味わいになるので、紙臭さを感じにくくするようです。
ちなみに、ごく深煎り豆の場合でも、サーバに残ったコーヒー液の香りを調べたら・・・湯通し無しの方は「これは紙臭い!」という意見で一致しました。冷めると、深煎りでも紙臭さが感じられるようです。
※湯通し有りの方は両方とも、冷めても紙臭さはありませんでした。

あと、意外なことも判明しました。
それは「十分湯通しすると、まろやかな味わいになる」ということです。
その理由はよく分かりませんが、湯通しすることでペーパーの繊維が膨張し、よりまろやかな口当たりになるのかも・・・知れません。
この味わいの違いについて、また何か分かりましたらお知らせしたいと思います。

<実験の条件>
・中煎り豆、ごく深煎り豆 各48g(細め中挽き)で、それぞれ4人分抽出(1人分は120cc)。
・抽出時の蒸らし時間は1分間。湯温は90℃とした。
・ハリオドリッパー&無漂白ペーパーフィルター(円錐形)使用。
・「湯通し有り」は、約600ccの熱湯で行い、1分間湯気を蒸発させた後にコーヒー粉を入れて抽出開始した。
・「湯通し無し」は、ドリッパーを湯で温める時もペーパーを外し、抽出開始まで一切湯がかからないように注意した。

湯通しをしているところ。

<参考>
ペーパーフィルターの紙臭さを消す方法
ペーパーフィルターの無漂白と酸素漂白、どちらが良い?


きまめや
生豆屋(きまめや)

ペーパーフィルターの紙臭さを消す方法

ペーパーフィルターの臭い消し
ペーパーフィルターの紙臭さを消す方法

紙臭いペーパーフィルターは?

「ペーパーフィルターの臭いが気になる。どのメーカーのものが良い?」というお問い合わせがありました。
各メーカーで長所・短所があるようですが、多少紙の臭いが出てしまうのは仕方がないですね。
とりあえず、無漂白のペーパー(茶色)の方が、酸素漂白(白色)のものよりも「紙臭い」ようです。じゃあ、酸素漂白の方が体に良いか?と聞かれると・・・
漂白の方法が企業秘密になっているため、判断できませんでした。ペーパーフィルターのメーカーさんには、製造過程で何の薬品をどのように使用しているのか、ぜひ公開していただきたいものです。

簡単!紙の臭いを消す方法

ペーパーフィルターを使う時は、次の方法を試してみてください。
1)購入後、袋から出して保管する。
簡単なことですが、かなり効果はあります。袋から出して、できれば少し広げて(干す感じで)置くと早く臭いが飛びます。

2)ドリッパーに敷いたペーパーフィルターへ、2~3回湯通しする。
袋から開けてすぐに使いたい時や、念入りに臭いを消したい時は、たっ ぷりお湯を沸かして湯通しします。できれば、1回にカップ2杯程度の湯を通し、少し待ってからまた同じことを繰り返す、という方法がおすすめです。
※念入りにやりすぎて、紙が破れないようにご注意下さい。

他にも何か、良い方法があるかも知れません。また見つかりましたら、お知らせしたいと思います。
有機栽培製ネルをペーパーフィルター代わりに使うことも、この機会にご検討下さい。

<参考>
ペーパーフィルター無漂白・酸素漂白どちらが良い?

きまめや
生豆屋(きまめや)

ペーパーフィルター考

人気の理由

コーヒーをドリップする(抽出する)のに必要なものは?
まず、コーヒー粉に湯を注いでから濾す(コーヒー粉と液を分ける)ための道具が必要になります。その道具として、ペーパーフィルターが主流ですが、他にも布(ネル)や金属フィルタもあります。

でも、なぜペーパーが主流なのでしょう?
どこでも売っているし、使い捨てなので衛生的。後片づけもラクだからかも知れませんね。

当店で行ったアンケート調査でも、抽出時にペーパーを使用しているという方が圧倒的に多かったです。

選ぶときのポイント

ペーパーフィルターはどこのメーカーも同じ?
いえいえ。各メーカーによって微妙に性能が異なります。
早く落ちるもの、ゆっくり落ちるもの等色々ありますが、一番大事なポイントは「紙の臭いが少ないか?」だと思います。

たぶん、紙の臭いを感じたことが無い方がほとんどではないでしょうか。
コーヒーの味わいが濃いほど、また香りが強いほど、臭いは分かりにくいものです。

また、紙の臭いを「コーヒー特有の風味」だと思っている方も多いのではないでしょうか。
試しにネルで抽出したものと比べると、その風味が明らかに違うことに気づかされます。

ペーパーフィルターをドリッパーにセットし、コーヒー粉を入れずに湯だけを通すと・・・立ちのぼる紙の臭いに驚かされます。

とは言うものの・・・

忙しい時間に、後片づけが大変なネルや金属フィルタでいれるなんて無理!というお気持ちもよく分かりますし、私も同感です。
メーカーによって微妙に紙の臭いが異なりますので、色々と試してみるのも良いかも知れません。

もし、許せない臭い!のペーパーフィルターに当たってしまったら?
蒸らしの時間を減らす等、工夫してみると良いでしょう。

でも、もし時間がたっぷりある午後のコーヒータイムだったら・・・
体にも安心で、まろやかな味わいが楽しめる「ネルドリップ」を楽しんでみるのもステキですね。

追記(2020年4月19日)
ペーパーフィルターの臭いは、無漂白の方が強い傾向にあることが分かりました。詳しくは、ペーパーフィルター無漂白・酸素漂白どちらが良い?をご覧下さい。
また、湯通しすることで紙の臭いをだいぶ減らすことができます。詳しくは、ペーパーフィルターの紙臭さを消す方法をご覧下さい。

<参考>
茶こし(味噌こし)布ドリップ法

きまめや
生豆屋(きまめや)