いつも味が違う理由は?(ドリップコーヒーの盲点)

カップに直接抽出してOKなのは、一人分の時だけ。2人分以上作る時は?

いつも味が違うのはなぜ?

先日友人から「同じ豆で、同じ様にコーヒーをいれているのに、日によって味が全然違うのはなぜ?」という相談を受けました。

それはちょっとおかしいですね。
確かに焙煎後何日経ったかで微妙に味わいは変化していきますが、昨日と今日で全然違うということは無いはず・・・。
そう思いながら、とりあえずご近所だったので実演してもらいました。そして、抽出する前からその恐るべき(?)原因は明らかになったのでした!

高度な技が原因

原因は、ペーパードリップでカップに直接抽出していたことにありました。
彼女はいつも2人分コーヒーをいれるのですが・・・。
1つ目のカップが一杯になったら、2つ目のカップにドリッパーをサッと移動、引き続き抽出・・・という高度な技を使っていたのでした。

このような技を使うと、1つ目と2つ目では全く違った味わいになります。本当に同じ豆?!と言いたくなるくらい違うので、サッと移動するタイミングが微妙にずれれば、文字通りいつも違う味わいを楽しむ(?)ことができる訳です。
では、コーヒー専用のサーバー(受ける容器)が無いとちゃんと抽出できないかというと、そういう訳ではありません。
別に専用サーバ-が無くても、急須でも何でも代用できます。要は、人数分のコーヒーを温めた容器で受けて、コーヒー液が均一になるようにするのが大事ということです。適量の湯で抽出が終わったら、温めた各々のカップに注ぐようにしましょう。
※カップやサーバをよく温めておきましょう。冷たいままだと、コーヒーが冷めてしまいます。

本当にコーヒー豆の持つ独特の風味や味わいを堪能したかったら、やはり「均一」に「適量」抽出することが大切です。

<参考>
実験!前半と後半

きまめや
生豆屋(きまめや)

ブラジルで人気の有機栽培コーヒー農園

人気の秘密は?

ブラジルでは「有機栽培コーヒーの農園で働くこと」が大人気だと聞きました。どうして大人気なのでしょう?
理由は簡単。農薬を使わないからです。
農薬と聞いて、家庭菜園の農薬を思いつきますか?
いいえ、とてもそんなものではありません。かなり毒性の強いものを使うので、労働者達は重装備をしなくてはなりません。密閉度の高い防護服を着て、猛暑の中で農薬を散布するのです。

さて。ここで気になるのが「文盲率の低い国で、取り扱い説明書通りに防護服を身につける農夫が一体何%いるか?」ということです。農薬中毒で入院する農園労働者が沢山いることから、正しい使用方法で散布されていないことが容易に想像できます。

その倍率は?

では、この大人気の農園で働くことができるのは、何パーセントの労働者なのでしょうか。有機栽培の農園は、200,000軒といわれるブラジルのコーヒー農園のうち、200軒程度。つまり、たったの0.1%です。すごい倍率ですね。 これでは、大人気になる訳です。

化学肥料や農薬を一切使わない「有機栽培コーヒー農園」がもっと増えれば、働く人も安心だし、環境にも優しいし、私達の健康を脅かされる心配も無いし、おまけに美味しいコーヒーが飲めて・・・一石四鳥ですね。
全ての農園を有機栽培にするのは難しいのは分かりますが、せめて防護服をちゃんと着るように、農園の人々やその地域の人々が強い農薬で中毒にならないように、農薬メーカーには本当に気をつけて指導していただきたいと思います。

<参考>
ブラジルの農薬中毒事件

きまめや
生豆屋(きまめや)

コーヒー酒の楽しみ方

コーヒー酒&ミルク

< 材料 >
コーヒー酒…40ml
牛乳…100ml

< 作り方 >
(1)氷を入れたグラスにコーヒー酒を入れます。
(2)上から静かに牛乳を注いで出来上がり!

コーヒー牛乳のお酒版です。お酒が苦手な方でもコクコク飲めてしまうので、結構怖いかも知れません。でも、美味しかったです!
コーヒー酒にバニラビーンズをちょっと入れておいて、ミルクで割ると「カルーアミルク」のような味わいに。

※カルーアミルクとは?
イギリスのカルーア社のコーヒーリキュールと、ミルクと混ぜて作るカクテルのこと。

他にもいろいろ・・・

コーヒー酒を水割りやお湯割りにして、食後酒として楽しむのも良いそうです。
また、焼き菓子の生地に風味づけとして少量加えたり、ゼリーやクリームに加えたりしても。
1年を通じて簡単にできる「コーヒー酒」。よろしかったらお試しください。

きまめや
生豆屋(きまめや)

ストロングコーヒーって本当にストロング?

ストロングの定義

先日、お客様から「ストロングコーヒーが好きなんですけど、どんな豆が良い?」とご相談を受けました。

「ストロング(strong)って・・・どういう意味でしょうか?」と思わ
ず聞き返してしまいました。別に、英語が分からなかった訳ではないのです。
 
実は「ストロングコーヒー」の定義には、「一般的なもの」と「”世界
のコーヒー業界”共通のもの」があります。
普通、「ストロングコーヒー」を、「強い」→「苦い・濃いコーヒー」の意味で使いますね。
でもコーヒー業界(取り引きされる過程)では、「ブラジル産のコーヒー」を意味します。つまり、「ストロング」は味わいを意味するのではなく、ブラジルを中心とした産地の違いを区別する言葉になる訳です。
 

ストロング以外は?

それでは、ブラジル以外の国でとれた豆は何と呼ばれているのでしょう?
ガテマラ、コロンビア等、ブラジル以外は全部「マイルドコーヒー」です。

だからガテマラをごく深煎りにして、苦いコーヒーを作っても、やっぱり「マイルドコーヒー」です。

「マイルドコーヒー」を「まろやか・軽いコーヒー」の意味で使っている私達には、ちょっとなじみにくいですね。 

きまめや
生豆屋(きまめや)

コーヒー香料の必要性

コーヒー飲料やコーヒーゼリー等コーヒー加工食品のほとんどに、コーヒーの「香料」が入っていると考えて良いかと思います。でも、コーヒー本来の香りがあるのに、どうして香料が必要なのでしょう?
 

香料の必要性

ご自分で豆を挽いて抽出される方ならご存じかと思いますが、コーヒー本来の香りはとても繊細です。挽いた瞬間に半分の香りは飛ぶと言われ、挽いた後は時間の経過とともに香りがどんどん消えていきます。
まず、こんなにデリケートな香りが、加工食品として長持ちするはずがありませんね。

さらにコーヒー加工食品は流通経路が長い上に、長期間店に陳列されることになります。つまり、腐らないように殺菌が必要になります。殺菌は加熱殺菌が普通ですが、その加熱によってさらにコーヒーの香りが飛び、独特の臭いがついてしまうそうです。これを「香料」で補う必要があるわけです。

ここで「香料」を添加しないで販売することも可能ですが、味が悪くなるので売れません。売れないものをメーカー側が作る訳ないですね。
 

なぜ一括表示?

コーヒー本来の香りは、数百種類の化学物質から構成されていて、未だに解明されていない成分もあると言われています。

この複雑な香りを真似して「香料」を作るとなると、ただ一種類の成分で作ることはできません。数十ないし百数十種の合成香料を選んで調合するそうです。

そうなってくると、使用した香料すべてを表記するのは殆ど不可能になります。それで一括表示をして「香料」だけで良いですよ、ということになっているのです。

でも一括表示をしていると、許可されていない香料が使われていても全然消費者には分からないですね。香料から配合内容を調べることは無理ですし、問い合わせてみても企業秘密の壁でよく分からないのが現状です。

コーヒー本来の香り。
その命は短く、はかなく。そして決して真似の出来ないものだから、私達は魅了されるのかもしれません。

<参考>
コーヒークリームの話
コーヒークリーム(フレッシュ)の実態
カフェオレの話(コーヒー牛乳の着色)

きまめや
生豆屋(きまめや)

コーヒー酒の作り方

材料と作り方

コーヒーとお酒? 別々に飲んだ方が美味しいのでは?
・・・と考えたのは私だけでしょうか。
でも、このコーヒー酒。焙煎したての豆で作ると、香り高くてとっても美味しいそうです。コーヒーとお酒が好きな方、試してみてはいかがでしょう?

< 材料 >
(1)焙煎したてのコーヒー豆 100g(焙煎豆のまま)
(2)ホワイトリカー  1.8リットル
(3)好みで氷砂糖100g~200g

< 作り方>
清潔な容器にコーヒー豆とホワイトリカーを入れます。3日~3週間ほどで飲み頃になります。

注意事項

(1)コーヒー豆について
焙煎後3日以内程度の、深煎りでないコーヒー豆が良いそうです。深煎りを使うと、アルコールはしっかりとコーヒーを抽出するため、苦すぎてしまうとか。 あと、深煎り豆の表面に出てくる油分も気になるかもしれないですね。

(2)ホワイトリカー(35度 甲類焼酎)について
廃糖蜜から作った粗留アルコールを輸入・精製したもの。薬局で売られている消毒用エチルアルコールと同じですが、消毒用よりもアルコール度が低い(35度)です。
・・・え?! 消毒用アルコールと同じ?ちょっとビックリしました。ウチの梅酒も消毒用アルコールと仲間だったのか、と思うと複雑な心境です。
ちなみに、ウオッカやブランデーを使ってもOKです。

(3)氷砂糖について
入れなくてもOKです。あとで甘さを調節しながら入れるのも良いですね。

(4)作り方について
豆を漬けておく時間が3日~3週間と書きましたが、漬けたままにしておくのも良いそうです。ただ、長く漬けるほど味が濃くなってきて、雑味も出てくるという情報もあります。
その辺は、味見をしながら適当に調節していただければと思います。

よかったら、コーヒー酒の楽しみ方もご覧下さい。

きまめや
生豆屋(きまめや)

驚異!インスタントコーヒー再利用

先日の朝日新聞で、インスタントコーヒー最大手が在庫品を溶かし、原材料として再利用していることが取り上げられていました。
未開封で賞味期限内(3年間)の製品をお湯で戻し、新しいコーヒー抽出液に混ぜて再利用しているとか。

安全面では問題無い、とのことですが、新品だと思っている消費者にとってはかなりショックではないでしょうか。

この再利用が始まったのが60年代後半からということですから、今までよくバレなかったなぁ、という意味でも驚きです。
 

在庫品を捨てずに、素晴らしい(?)技術で再利用しよう!という心意気は見事です。無駄が無くて良いと思います。ただ、再利用していることを消費者に知らせないのはやっぱりいけないと思います。
「新品」と「新品同様」では、全く意味が異なりますよね。
 

しかし、お湯で溶き直すというのがちょっと・・・。
いかにも不味くなる製法のような気がします。
たとえば、そのまま熱風で消毒してから再利用した方がまだ良いのでは?
と思いました。こんな心配、大きなお世話ですね。

<参考>
インスタントコーヒーで胸焼け?

きまめや
生豆屋(きまめや)

カフェラテの話

カフェラテはエスプレッソ牛乳。

カフェ・オレとの違い

カフェオレとコーヒー牛乳の話の中で、「カフェオレ」は「コーヒー牛乳のフランス版」というお話をしましたね。
それでは「カフェ・ラテ」は、どういう意味でしょう?
イタリア語で、
カフェ→ 深煎り豆で抽出したエスプレッソ
ラテ → ミルク入りの
という意味だそうです。

カフェ・オレとの大きな違いは「普通にドリップしたコーヒー」ではなく「エスプレッソ」を使う所のようです。ですから「エスプレッソ牛乳」という呼び名が、ピッタリですね。

カプチーノとは?

よく似たもので「カプチーノ」もあります。
これは、「エスプレッソ牛乳」の上にふんわりと泡立てた牛乳をのせたものです。
その名前の由来は、「泡の形がイタリアのカプチン修道士がかぶる頭巾に似ているから」とか、「エスプレッソとミルクの混ざった色が、カプチン修道士の修道服の色と似ているから」と言った説があるようです。

ちなみに日本で命名されているカフェラテやカプチーノは、作る人(店)によって全然別物になっているようですね。調べれば調べるほど、頭が混乱してきました。
まぁ、イタリアの家庭で毎朝のように作られているものですから、家によっても味が違うのは当然ですね。日本の味噌汁も、家によって作り方や味わいが全然違いますし。

ということで、上記の区分はあくまで参考までに・・・。

追記(2020年4月16日)
エスプレッソマシンに付属しているスチームワンドでミルクを温めると、ミルクに泡が入りやすいです。ミルクを小鍋で温めるよりもクリーミーになるので、店によってはラテアートもできるのかなと思いました。

きまめや
生豆屋(きまめや)

カフェオレとコーヒー牛乳の話

ミルクとコーヒー、同時に注ぐのは本場っぽいけど大変。

カフェオレの意味

フランス語で、
カフェ → 深煎り豆(フレンチロースト)で抽出したコーヒー
オ・レ → ミルク入りの
という意味だそうです。
まぁ、コーヒー牛乳のフランス語版といった所でしょうか。

正式な飲み方は、コーヒーと牛乳を別々のポットに入れて、飲む前にカップに合わせるそうです。 もちろん、コーヒーが入っているカップに牛乳を注いでも、味に変わりはありません。
コーヒーと牛乳の割合は、半々という意見もあれば、1/3コーヒー、2/3牛乳、という意見もあり、この辺は好みの問題と解釈して良さそうです。

コーヒー牛乳の着色料

ところで、コーヒー牛乳といえば・・・・。
やけに茶色いコーヒー牛乳を、良く見かけますね。そのコーヒー色を演出するために使われる着色料は、カラメル色素が代表的です。
カラメル色素は、糖類から作られますが、製造方法によって4タイプに分けられます。
加熱処理だけのカラメル色素は1タイプだけで、それ以外は化学物質を加えて熱処理するため、毒性の疑いがあります。
具体的には、亜硫酸やアンモニウム化合物などの化学物質です。どれを加えたかで、危険度も違ってくるそうですが、表示はすべて「カラメル色素」。これじゃあ、判断に困りますね。
私はてっきりプリンのカラメルを作る時のように、糖分を加熱しているだけだとばかり思っていましたが・・・大違いでした。

しかし、新鮮な深煎り豆でいれたコーヒー牛乳(カフェオレ)の味を知ってしまうと、市販のコーヒー牛乳が飲めなくなりますね。
子供の頃は、ビン入りコーヒー牛乳が好きだったのですが・・・。

<参考>
コーヒークリームの話
コーヒー香料の必要性
コーヒークリーム(フレッシュ)の実態

きまめや
生豆屋(きまめや)

薄いコーヒーに合う豆

本来のアメリカンじゃダメ

薄いコーヒーの代名詞でもある「アメリカンコーヒー」は、浅めの焙煎豆 をたっぷりのお湯でいれたコーヒーのことですが・・・。
コーヒーを薄めて飲むなら、むしろ深めの焙煎豆を使った方がずっと美味しく出来上がります。だから、お客様から「薄いコーヒーが好きだけど、どの豆が良い?」と聞かれれば、「やや深めの焙煎」または「深煎り」をおすすめします。

そして、たっぷりのお湯で抽出するのではなく、定量で抽出してからお湯で割るのが美味しい薄いコーヒーの条件になります。
※詳細は、「お湯割り一つ!」をご覧下さい。

もし浅めの焙煎豆を薄めると・・・

日本はアメリカと違って、酸味の出やすい軟水が主流です。この軟水をたっぷり使って、酸味の強い「浅めの焙煎豆」を抽出するとどうなるでしょう?
本場アメリカで飲むよりもずっと酸味が強く出る上に、お湯をたっぷり入れるため浅煎り豆の「えぐみ」や「渋み」が出てきます。せっかく良質な豆を使っても、美味しくない「薄いコーヒー」になったら残念ですね。
そういう訳で、日本で浅めの焙煎豆を美味しく飲むなら、やはり粗めに挽いて普通~濃いめに抽出するのがおすすめです。
そして、日本の軟水で「薄いコーヒー」を入れるなら、迷わず「やや深め~深煎り豆」を選ぶようにしましょう。

きまめや
生豆屋(きまめや)