コーヒー豆量と湯量の関係

湯量の量が大切

「コーヒーを入れるたびに味が変わるのはどうして?」と聞かれることがあります。
原因はいろいろとありますが、その一つは豆の量と湯量の関係です。
例えば、私がコーヒーを入れる時は、必ずコーヒー豆の粉量に合った湯量を正確に注ぎます。多めに湯を注ぐと豆が持つ「渋み」など余計な味が出てきてしまうため、注ぎすぎはよくありません。もしドリッパーに湯を入れすぎてしまったら、適量に抽出した時点ですぐにコーヒーサーバーから外しましょう。
※ドリッパーは底に穴のあいた抽出器具、コーヒーサーバーはコーヒーを受けるガラス製容器のこと。

もしあなたがコーヒーサーバーでなくカップに直接コーヒーを抽出している場合、余程注意をしないと入れる度に誤差が生じてしまいます。
一度、1杯分当たりのお湯(小さめコーヒーカップなら120ccくらい)を注いでみて、印を付けたり、カップの模様で一杯分のラインを覚えたりしてから注いでみると良いですね。

薄いコーヒーが好きなら・・・

よく「普通にいれると濃すぎて飲めない」「薄いコーヒーが好き」という方がいっしゃいます。
そういう場合はちゃんと適量の豆を使って適量の湯で抽出してから、さらにお湯で薄めることをおすすめしています。
「豆がもったいないから多めのお湯で抽出する!」という考えでコーヒーをいれると、渋みや喉につまるような変な酸味が出てくる原因となり、「おいしい薄いコーヒー」は出来上がりません。

だから、おいしいコーヒーを飲もうと思ったら、たとえ電話が鳴っても、最後まで抽出を見届けてから受話器のところに走って行く! ぐらいの覚悟でいれることを、おすすめします。

きまめや
生豆屋(きまめや)

湯の「質」と「温度」

そのお湯大丈夫ですか?

コーヒー豆にこだわることは、もちろん大事です。美味しいコーヒー豆を使えば、相当下手な入れ方(失礼)をしても、そこそこ美味しいコーヒーが出来上がるからです。

でも、注ぐ「お湯」も実は大事です。一杯のコーヒーの殆どはお湯ですからね。
例えば、湯沸かし器で煮詰まったお湯を持ってきて「おいしいコーヒーいれてくれる?コーヒー豆屋でしょ?」って言われても困ります。豆の美味しさでカバーして「比較的おいしいコーヒー」ならいれることができますが。

マイルドで酸味のあるコーヒーをいれるならば軟水だ、苦いコーヒーを入れるならば硬水だ、どこそこの山でとれた水が最高だ・・・などとよく聞きます。しかし、一番大事なのは「湯冷ましでおいしく飲めるか」ということではないでしょうか。
「どこ産の水がおいしい!」と感じるかは、コーヒーの好みと同じで十人十色。とにかく、いつも使っている水を一度沸騰させ、ぬるま湯にしてから飲んでみましょう。
ぬるいと一番クセが出るから、味の善し悪しがすぐにわかります。それで美味しければ、とりあえずコーヒー抽出用の水として合格!ということになります。

ちなみに私がコーヒーを試飲する時は、水道水を濾過器に通した「純水に近い水」を使います。ほとんど純水なので無味無臭、ミネラルもありません。
そのかわり様々な有害物質も除去されていて、コーヒー豆だけの味をストレートに堪能できるので、私には好都合な水なのです。

湯の温度も大事・・・だけど面倒なら沸騰直後で。

ペーパードリップやネルドリップで抽出するときは、水から一度沸騰させて、ちょっと冷ましたくらいの湯加減(90℃前後)がおいしくいれられます。
なぜかというと、沸騰した湯でいれると、香りが飛びやすくなり、本来喜ばしく ない味(渋みやイヤな酸味)が出やすくなるからです。繊細な香りのコーヒーであればあるほど、この湯の温度が大事になってきます。
ただし、ちょっと冷ました湯加減でいれる場合は、ドリッパーやサーバー、 カップをあらかじめしっかりと温めておきましょう。そうでないと、恐怖の「ぬるいコーヒー」を飲む羽目になります。

「そんなこと面倒でやってられないよ!」と言う方は、沸騰したてのお湯で妥協しましょう。多少香りは飛びますが、温かいコーヒーを飲むことができる方が幸せが大きいのではないでしょうか。特に冬場は、すぐに冷めてしまいますからね。

あと、朝忙しい時に便利なコーヒーメーカーも、沸騰した湯で高温抽出する場合 が多いです。コーヒーメーカーはスイッチ一つで保温までしてくれる優れモノ。でも、同じ豆でもコーヒーメーカーでいれると、また違った味わいになるように思います。
「いつものコーヒー」と「ここぞ!というときのコーヒー」を分けるのも良いか もしれませんね。

きまめや
生豆屋(きまめや)

安全な燻蒸?(燻蒸その5)

姿を変えて残留する臭化メチル

燻蒸(くんじょう)で使われる臭化メチルは、食品に臭素として残留し、その残留 レベルは相当高いものであると言われています。 

またコーヒー豆の場合ですと、焙煎によって分解し、臭化水素などの 有毒で腐食性の物質を生じることがわかりました。 
調べれば調べるほどいろいろと出てきますが、これがオーガニック認証コーヒーをお勧めする理由の1つでもあります。
 

安全に燻蒸(くんじょう)する方法は?

こうなってくると「安全な燻蒸(くんじょう)方法は?」と聞きたくなりますね。 
オゾン層を破壊する物質としても指定されている、臭化メチル。 
これに頼らずに、燻蒸(くんじょう)する方法として「二酸化炭素燻蒸(くんじょう)」 の研究が現在すすめられています。 

我が国では、体にも環境にも優しい「二酸化炭素燻蒸(くんじょう)」が、世界に 先駆けて植物検疫処理法として採用されました。 

日本も結構やるなぁ、と思いきや。 
2000年10月現在、まだ一度も、輸入農産物が「二酸化炭素燻蒸(くんじょう)」されたことが無いそうです。 
つまり絵に描いた餅ということですね。 

なぜ、体にも環境にも優しい方法を使わないのでしょうか。 
実は、「燻蒸(くんじょう)」するのに14日間もかかるし、コストも3~5倍で、 おまけに特別な施設でしかできない、などの課題が山積みになっている のでした。 

一日も早く、より短時間・低コストの安全な燻蒸(くんじょう)方法が開発される ことを祈ります。 
輸入農産物に頼る私たちの健康だけでなく、燻蒸(くんじょう)業に携わる方々の 健康、そして環境保護を考えて。 

<参考>
燻蒸その1 コーヒー豆は植物だった
燻蒸その2 臭化メチルとは
燻蒸その3 残留基準は無し
燻蒸その4 臭化メチルに代わるもの
燻蒸その6 産地燻蒸の話
燻蒸ってどんなもの?
有機栽培(オーガニック)豆に害虫が見つかったら?

きまめや
生豆屋(きまめや)

臭化メチルに代わるもの(燻蒸その4)

リン化アルミニウム

これは、民間の燻蒸(くんじょう)(消毒)業者さんに直接伺った時のお話です。 
「コーヒー豆を燻蒸する時は、まず臭化メチルを使います。それでも 病害虫が死ななかった場合は、リン化アルミニウムでもう一度燻蒸します。 だから、絶対虫は生きてないから大丈夫!」 
・・・ということでした。 

リン化アルミニウムの特徴は、空気とほぼ同じ比重なので低い所にたまらず ガス抜きがしやすい、という点です。 
また、臭化メチルに比べて食品に与える薬害も少ないので、海外では多く 使用されています。 

しかし日本では、リン化アルミニウムの方が燻蒸に時間がかかって 
しまうため、あまり積極的に使われていないようです。 
 
 

リン化アルミニウムとは?

特定毒物に指定されている殺虫剤で、取り扱い注意です。 
大気中の水分と反応してきわめて毒性の強い「リン化水素ガス」を出します。 

具体的な中毒症状については、ここでは述べませんが、 臭化メチルよりも、はるかに毒性が高いことは確かです。 

リン化アルミニウムは、燻蒸(くんじょう)によって輸入農産物を化学変化させ、 成分を変質させたり、リン酸化合物として残留したりするそうですが、 残留基準はありません。 

何だか暗い話になってきましたが・・・。 
私が申し上げたいのは、こういう過程を経てきたコーヒー豆が店頭に並んでいる可能性もあるということなのです。 

それが、燻蒸の心配が無い「オーガニック認証コーヒー」を強くお勧めする理由の1つになっています。

<参考>
燻蒸その1 コーヒー豆は植物だった
燻蒸その2 臭化メチルとは
燻蒸その3 残留基準は無し
燻蒸その5 安全な燻蒸?
燻蒸その6 産地燻蒸の話
燻蒸ってどんなもの?
有機栽培(オーガニック)豆に害虫が見つかったら?

きまめや
生豆屋(きまめや)

燻蒸による残留基準は無し(燻蒸その3)

残留しててもフリーパス?

コーヒー豆の害虫を殺すために燻蒸(くんじょう)(消毒)する場合もある、という話を以前しましたね。
その燻蒸で使用される「臭化メチル」の残留基準は、残念ながらありません。
米と小麦についてだけは、燻蒸による臭素(有毒)残留を調べるために、無機臭素の基準が決められていますが・・・。
つまりコーヒー豆に関しては基準もなく、フリーパスで市場に出回っているのが現状のようです。

どんな形で残留するか

臭化メチルは気化しやすいので「作物中には残留しません」 と言われてきました。
しかし実際には、作物中の成分である水分やタンパク質と反応してしまい、別の物質として残留することが知られています。
ここで、コーヒー生豆の成分を調べると・・・・
水分‥‥‥‥12~15%程度、
タンパク質‥11%程度、を含んでいるそうです。

つまり、燻蒸されたコーヒー豆の中にも、臭化メチルが別の物質として残っている可能性が考えられます。具体的には、臭化メチルの「臭素」部分は、有機臭素塩として「メチル」部分は、メタノールやメチル化合物として残るそうです。

ところで、先進諸外国では「臭化メチル」は
農作物に薬害が出やすく、
発ガン性疑惑があり、
さらにオゾン層を破壊する物質であるために、
使用が激減しています。

日本でも、段階的に使用を減らしてはいますが、まだまだ食物検疫の消毒では 遅れをとっているのが現状です。

<参考>
燻蒸その1 コーヒー豆は植物だった
燻蒸その2 臭化メチルとは
燻蒸その4 臭化メチルに代わるもの
燻蒸その5 安全な燻蒸?
燻蒸その6 産地燻蒸の話
燻蒸ってどんなもの?
有機栽培(オーガニック)豆に害虫が見つかったら?

きまめや
生豆屋(きまめや)

臭化メチルとは(燻蒸その2)

臭化メチルって何?

別名「メチルブロマイド」。
殺虫剤でもあり、殺菌剤でもあります。常温で気体になるので、 
燻蒸(くんじょう)(消毒)する時に使われます。 

コーヒーのような輸入農作物だけでなく、米などの穀物の燻蒸(くんじょう)、 畑地やハウス栽培の土壌燻蒸(くんじょう)剤としても使われています。 

結構すごい毒性

急性毒性評価に基づく「毒劇法」による劇物指定を受けています。 
また、発ガン性の疑いもオランダ政府から報告されています。 

臭化メチルを使って倉庫燻蒸(くんじょう)や土壌燻蒸(くんじょう)を行う作業者に、 中毒死者や次のような症状を示す患者が見られます。 
悪心、嘔吐、めまい、頭痛、肺水腫、呼吸困難、チアノーゼ、 
四肢けいれん等。 
皮膚に直接触れた場合は、灼熱感や水疱を起こす等。

こういう薬剤で消毒されたものが、実は身近にゴロゴロしている可能性があることを知り、とても残念でした。

<参考>
燻蒸その1 コーヒー豆は植物だった
燻蒸その3 残留基準は無し
燻蒸その4 臭化メチルに代わるもの
燻蒸その5 安全な燻蒸?
燻蒸その6 産地燻蒸の話
燻蒸ってどんなもの?
有機栽培(オーガニック)豆に害虫が見つかったら?

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生豆屋(きまめや)

コーヒー豆は植物だった(燻蒸その1)

コーヒー生豆は植物扱い

コーヒー豆は生きている豆(生豆)として輸入されるのはご存じでしょうか? つまり、輸入する時点では「食品」ではなくて「植物」扱いになります。 

ここで、「あっそう」と納得してはいけません。 
「食品」であれば、輸入時に検疫を受けずに日本国内に入ることもありますが、「植物」であるために、サンプリング検査を受けなければなりません。 
この検査で日本に居ない有害な虫が見つかると、一体どうなるでしょう? 
 

こわい消毒

病害虫を殺すために、薬剤で消毒(くんじょう)することになります。 
消毒といっても「ケガしたから消毒しときましょうね」 というレベルのものではありません。 
コーヒー豆の中にいる病害虫を、じわりじわりと殺す・・・ 
これは消毒というよりも殺虫と言う方が正しいですね。 

ここで主に使用される薬剤は、「臭化メチル」というもの。
一体どんな薬で、どのようにくんじょうされるのでしょうか。

<参考>
燻蒸その2 臭化メチルとは
燻蒸その3 残留基準は無し
燻蒸その4 臭化メチルに代わるもの
燻蒸その5 安全な燻蒸?
燻蒸その6 産地燻蒸の話
燻蒸ってどんなもの?
有機栽培(オーガニック)豆に害虫が見つかったら?

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生豆屋(きまめや)