実験!チャフを飲む(2)

コーヒー豆中心部の線の所に入り込んでいるチャフ。

チャフ(chaff)を外す

高濃度で抽出すると「強い苦味を伴った漢方薬風の香り」がするチャフ。このチャフが薄まった状態でコーヒーに混ざると、味わいにどのように影響するのでしょうか。
今回は、自称「味にうるさい」友人5名に頼んで、味比べをしてもらいました。
実験に使った豆はコロンビア。酸味・苦みのバランスがある豆を選びました。

まず、豆を大きく砕いて、真ん中のセンターカットに挟まっているチャフを丁寧 に取り除きました。この作業が、と~っても大変。センターカットのチャフって豆に食い込んでいるので、なかなか外れないのです。
「本当にコーヒー好きな人は、これを丁寧に全部取るんだ!」とコスタリカに住む友人が言っていたのを思い出しました。
・・・が。正直、もうウンザリ!と言いたくなるくらい、大変な作業でした。

チャフ入りとチャフ無し、どっちが美味しい?

さて。苦労して「チャフ抜」きにした豆と、「チャフ入り」の豆では、どのように味が違うのでしょうか?
どちらが「チャフ入り」か分からないようにして、美味しい方を選んでもらいました。

その結果、驚いたことに・・・
5人中3人は、「チャフ入り」の方が美味しい!と答えました。
理由は、「味わい深くておいしい」「味に奥行きがある」というものでした。その3人は、絶対に自分は「チャフ抜き」の方を選んだ!と確信していたようです。実は反対だったと知ったときに、ビックリしていました。

残りの2人は、「チャフ無し」の方が美味しいと答えました。
「チャフ無し」の方は、「酸味が強く、個性が出てハッキリした味わい」 とのこと。この2人は、酸味が好きな友人達だったのです。

私も味見しましたが・・・「チャフ入り」の方が好きでした。どうしてそうなるの?と聞かれてもうまく説明できませんが。たぶん、チャフが自然に入っていることで「コーヒー」として完成した味わいに感じているのかもしれない、と思いました。
他の豆や焙煎条件の違う豆で実験すれば、また違った結果が出るかもしれません。

ただ一つ分かったことは、色々なところで「チャフは渋みを伴い、嫌な味わいになる」と説明されていますが、そうでは無い場合もありえるということです。
どうしてもチャフは嫌だ! という方は、挽いたコーヒー粉を揺すりながら、表面にあるチャフを軽く吹き飛ばす方法もあります。
よろしかったら、お試し下さい。

<参考>
実験!チャフを飲む(1)

きまめや
生豆屋(きまめや)

実験!チャフを飲む(1)

チャフ(chaff)って何?

英語で「もみ殻、刻みわら、廃物、くだらない物」の意味。これでは、さっぱりわからないですね。
他にも、「クズ、カス、燃え殻」の意味があります。コーヒーの抽出で問題になるチャフは、この「カス、燃え殻」あたりでしょうか。
コーヒー豆(種子)を包んでいる薄皮をシルバースキン(銀皮)と呼びますが、その大部分は精製過程で取り除かれます。
取り除かれないで、残ってしまうのは、コーヒー豆の真ん中にみえる白っぽい線のところ。あの線が、シルバースキンになります。

焙煎して挽くと、シルバースキンが白い粉になり「うわ、チャフだ!」と、いきなり嫌われてしまう訳です。でも、何でそんなに嫌われるのでしょうか。

チャフを飲む・・・ぐっ。

チャフは渋味をはじめとした雑味や、コーヒーの濁りの原因だと言われています。
本当かな?と思った私(店長)は、せっせとチャフを集めて飲んでみました。
まず1gのチャフで120cc抽出(ちゃんと1分間蒸らして)。1gだけ?って思うかもしれませんが、カップ半分くらいの量はあります。水洗式中煎りコーヒー豆で約500g~800g分からとれるチャフ量に相当します。
#チャフは軽いので、たった1gでも多いのです。

飲んだ感想は「ぐ・・苦い!」
「良薬口に苦し」という言葉がピッタリの味わい。スッキリした強い苦味で、液体も濁りが無く綺麗な紅茶色。「渋み」は思ったよりも、ずっと少なかったです。
そして、ドクダミと米ぬかを炒ったものを合わせたような、漢方薬風の香り。この香りだけは、コーヒーとはかけ離れていました。
漢方薬風の香りですから、決して美味しいものでは無いですね。やはりチャフだけで飲むのは無理があったようです。

さて。この「意外と渋みの少ない、強い苦味を伴った漢方薬風の香り」が、コーヒー豆とブレンドされた時に、どのように影響してくるのでしょうか。
さらに実験を続けていきたいと思いますので、お楽しみに!

<参考>
実験!チャフを飲む(2)

きまめや
生豆屋(きまめや)

簡単にアイスコーヒーをグッと美味しくする方法

ここでは、ホットコーヒーから簡単に作れる「美味しいアイスコーヒー」の作り方をご紹介します。
「究極のアイスコーヒー」ほどこだわるのは面倒。
「水出しコーヒー」ほど時間をかけたくない。
「朝ホットを飲んで、残りで美味しいアイスコーヒーを作りたい。」
・・・そんな欲張りな方々にオススメです。

作り方はとっても簡単。
「ホットコーヒーを作ってから、氷の中にぶち込む。終わり。」
だけど、この方法で美味しくするには、ちょっとコツが必要です。下記のルールを守って作れば、きっと美味しいアイスができあがります

氷はあらかじめ用意しておく

「コーヒーができたかな。じゃあ冷凍庫から氷を出して・・」なんてやっていたら、とても美味しいアイスコーヒーはできません。
コーヒーの香りを封じ込めるためにも、できるだけ早く冷やせるように大きめの氷をたっぷりサーバ(コーヒーを受ける耐熱容器)に用意しておきましょう。
サーバの代わりに、耐熱グラスにゴロゴロ氷を入れておくのも良いですね。氷めがけて熱々のコーヒーをジュッと注げば、1人分でも美味しいアイスができあがります。

やっぱり深煎り豆で

浅煎りや中煎りの豆でアイスを作ると、喉につまるような酸味が出てしまってとっても悲しいです。やっぱりここは、ちゃんと深煎り豆を選びましょう。
「深煎り豆」の中にも、深煎り~ごく深煎りまでありますので、お好みに合わせて選んで下さい。

例えば・・・
深煎り(フレンチロースト)  → きまめやブレンド深煎りやガテマラ深煎り等、まろやかな苦み・軽い口当たりのアイスが好きな方に。

ごく深煎り(イタリアンロースト)  →ヨーロピアンブレンド等、キリッとした強い苦みとコクのあるアイスが好きな方に。ミルクやクリームをたっぷり入れる方にも。

鮮度がとても大事

いつ焙煎したか、いつ挽いたか分からない豆で「さぁ、美味しいアイスコーヒーを作ってちょうだい!」と言われても・・・。
酸化した豆では、後味スッキリ・胃に優しいアイスはできません。これはホットコーヒーも同じですね。

新鮮な豆を使えば、透明感のある味わいでスッと飲める、体に優しいアイスコーヒーができあがります。

濃いめに抽出する

氷で急冷するため、どうしても薄まってしまいます。それを補うために、濃いめにコーヒーを抽出するのがポイントです。
豆は「細挽き~やや細挽き」にして、コーヒー粉の量も多めにしてみて下さい。また、冷蔵庫に保管する場合は、急冷させた後に残った氷は取り除いてください。氷が溶けると、だんだん薄まってしまうので。

以上、大まかなポイントを書いてみました。 美味しいアイスコーヒーを作りたい時に、是非おためしください!

きまめや
生豆屋(きまめや)

正統派ネルの保管方法

ネルドリップ
一般的なネルドリップ

今日は、本格ネルドリップにこだわる喫茶店の店長さんにご協力いただき、正統派のネル保管方法をご紹介したいと思います。

毎日煮て、冷蔵庫へ

「お店(喫茶)では、使用のたびにお湯洗い、水洗いをしています。使用前は、よく絞るだけでなく、タオルなどで挟んでたたき、水分をよく取り除きます。」

「閉店後は、ネルを20分程煮て、冷蔵庫で水につけて保存しています。まめに煮ると、衛生面だけでなく、目詰まりしにくいような気がします。」

なるほど。毎日閉店後に煮沸しているのはポイントですね。
お手入れや保管が大変なので、ネルを使っている喫茶店は意外と少ないです。毎日閉店後に煮沸しているところはさらに少ないのはないでしょうか。

茶こし布ドリップの「布」も、たまに煮沸してあげるとより長持ちするかもしれないですね。

冷凍保存も・・・

「自宅では、よく洗って、絞ったらジッパー付きの袋に入れて冷凍しています。使うときは、水かお湯をかけて解凍してから使っています。今のところ、冷凍庫臭くもならずに快適です。」

これは、冷蔵庫にいれて水を取り替える必要もなく、たまに使う方にも便利ですね!
干すよりも、冷凍庫へ入れた方が都合が良い方にもおすすめです。
#冷凍臭が付かないように、しっかりと密閉しましょう。

自分に合った方法を選ぶ

ネル(布)でドリップすると、ペーパー臭が無く、コクが出て美味しくできあがります。おまけに環境にも優しい!

保管方法も、今までご紹介した「干す」「水に浸す」「冷凍する」と色々な方法があります。
ぜひ自分にピッタリの保管方法を選んで、気軽にお試しいただければと思います。

初めて使う時は、布についたコーヒー粉を洗い落とす時に抵抗を感じるかもしれません。
でも、慣れれば大した手間ではありません。

落としたコーヒー粉は、よく乾燥させると脱臭剤にもなります。良かったらご活用下さい。

きまめや
生豆屋(きまめや)

茶こし布ドリップ

ネルのコクは?

ペーパードリップで1人分を美味しくいれるのって、意外と難しいです。
なぜかというと、コーヒー粉の層が薄くなってコクの足らないコーヒーになってしまうからです。

その点、ネルドリップだとコクが出やすいので、一人分でも結構美味しくできます。
でも、なぜネルドリップだとコクが出るのでしょう?
次のような理由が考えられます。

(1)ネルが湯をしっかり保って、よく蒸れるから。
(2)ペーパー用のドリッパーよりも径が小さく(小さい場合が多く)、コーヒー粉の層が厚くなるから。


・・・ということは、別にネルじゃなくても上記の理由をクリアすれば
少量でも美味しいコーヒーをいれることができるってことですね。
#「ネル」とは起毛した織物のこと。

茶こし布ドリップ

そこで、試行錯誤して考え出したのが「茶こし布ドリップ」!
必要なものは「茶こし」と「布」だけ。
一人分でも美味しくコーヒーをいれることができて、布は何度も使えます。
ペーパー独特の紙の臭いが付かないのも、嬉しいです。

私が見つけたのは、布は15cm角に切った綿100%のソフトデニム(生成り色)。薄手だけど目が細かく、起毛が無くても程良く蒸れて美味しくできます。おまけに、干すとすぐに乾いて衛生的。

茶こしは、普通の茶こしでOK。径7cmくらいの小さな「味噌こし」を使うと、コクが出やすくギリギリ2人分まで抽出できます。

<注意事項>
(1)布は、必ずたっぷりのお湯で20分ほど煮沸してから使い始めましょう。ちょっと面倒ですが、布に付着している薬品類をしっかり落とし、布の臭みを取ります。
2回目からは、お湯で洗うだけでOK。

(2)茶こし(味噌こし)は小さいので、こぼれないようにゆっくりとお湯を注ぎましょう。ゆっくりと注ぐことで、コクがでてきます。
蒸らしはちゃんと1分間!しっかり待ちましょう。

(3)味わいがあっさりしすぎの時は、もう少し厚手の(目の細かい)布を。
濃すぎる時は薄手の(目の粗い)布を選びましょう。布選びは、味わいの決め手になります。

「茶こし布ドリップ法」については、こちらをご覧下さい。
自宅やオフィスで、一人分だけ美味しくいれたい方におすすめ!
3人分以上だったら、普通の味噌こしで大きめに切った布を敷いて使っても良いですね。

<参考>
有機栽培製ネルのすすめ

きまめや
生豆屋(きまめや)

ネルドリップとは?

ネルって何?

ドリップコーヒーだったら、ネルドリップが一番おいしいと良く聞きますし、私もそう思います。ところで、ネルってなんでしょう?

「ネル」とは「フランネル」の略で、平織りまたは綾織りにして両面(または片面)に起毛した柔らかな織物のことです。
コーヒードリップ用には綿のネルで、片面起毛がよく使われていますね。

ネルドリップは、紙(ペーパー)ドリップに比べて紙の臭いが無く、ゴミも出ないので理想的な抽出方法と言えるでしょう。

噂の検証・起毛面の表と裏で味が違う?

ネルの起毛といえば。
起毛面を内側にするのと、外側にするのでは味わいが違う!という噂があったので、味にうるさい5人の方に実験してもらいました。
その結果、別に味も変わらなかったし、抽出速度も同じでした。

ただ内側にすると、コーヒー粉が目詰まりしやすいので外側の方が良いかもしれないですね。
メーカー側の説明書には内側にしてくださいと書いてあるものがあるそうです。
これはつまり、早く目詰まりして交換して欲しいからでしょうか・・・??

ネルのお手入れ

ネルドリップといえば、保管の面倒臭さが欠点としてあげられますね。
冷蔵庫に、ネル部分を水に漬けた状態で保存。さらに毎日水を取り替えましょう! とよく言われます。

喫茶店で一日何度も使う場合や、毎日ネルドリップをする人だったら良いかもしれません。
でも、いつもはペーパーで、たまにしかネル使わない場合は、冷蔵庫の肥やしになりやすいので要注意。

「もう1ヶ月もネルを漬けている水を取り替えていない」とか、「半年も保存容器のフタを開けていないから、一体どうなっているのか見るのが怖
いよ」とか。そんな話もよく聞きます。

なぜ水に漬けるかというと、「ネルにしみ込んだコーヒーの脂肪分が空気に触れて酸化し、嫌な臭いを発して味に悪影響を及ぼす」からだそうです。

なるほど。
でも最近「水に漬けっぱなしー」に疑問を持ち、干して使うようにしています。だって、冷蔵庫の中って他の食品の臭いだらけだし、ずっと水に漬けたままなんて・・・・逆に不潔じゃないですか?

お湯でよく洗ってコーヒーを落としてからから、できれば天日干しをしてみて下さい。
毎日水を取り替える必要も無し。
脂肪分の臭いも、お湯で良く洗えば大丈夫。
よく乾いたネルでも、使う前にお湯を通せば美味しく抽出できます。
毎日使わない方や、私みたいに面倒くさがり屋さんには、この方法がピッタリかも知れませんね。

きまめや
生豆屋(きまめや)

実験!古い豆でも蒸らすの?

無反応でも待つべき?

「プックリ膨らんで、ピキッと固まって、1分待つ!」が蒸らしの基本です。
※軽めの味わいなら30秒前後でもOK。

でも古い豆だと、お湯を注いでも膨らまず「シーン」としていて寂しいですね。
「こんなに無反応で、果たして1分間も待つ価値があるのだろうか?」
「1分間って、短いようで結構長いし。面倒くさいから、注いじゃえ!」・・・となる場合も、あるのではないでしょうか。そこで、古い豆を使って「蒸らし」の実験をしてみました。

実験結果

1ヶ月前に焙煎、ポリ袋(密閉度が低い)に入れて常温で保存した豆を挽いて、実験しました。豆は当店の「メキシコ・シエラモレーナ」です。
結果は・・・やっぱり違いました!
—————————————–
時間  味の特徴
—————————————–
 0秒 やや刺激的な、苦みと喉ごし。
60秒 やわらかな苦み、まろやかな口当たり。
120秒 苦み酸味が強く、バランスが崩れた感じ。
—————————————–
保存状態が悪かったため、酸化が進んでいて、喉ごし・甘み・香りはイマイチでした。
でも、ちゃんと1分蒸らせば「まろやかさ」は健在でした!これだったら「待つ価値あり」だと思います。

朝の1分は貴重ですが、砂時計を使うなり工夫すれば無駄な時間には なりません。豆が古くなってしまった時にも、あきらめず是非おためしください。
※美味しさと健康のためには、できるだけ新鮮な豆を使いましょう!

<参考>
実験!蒸らしの極意

きまめや
生豆屋(きまめや)

蒸らしで豆を知る

コーヒー豆の鮮度を知る

この豆は古いか? 新しいか?
鮮度を知る一つの目安に「蒸らし」があります。豆が新鮮なほど、蒸らしている時に「おまんじゅう」のようによく膨らむからです。
また、豆の焙煎度合いによっても膨らみ方が違ってきます。浅煎りよりも、深煎りにした方がよく膨らみます。

以前お話した通り、蒸らしは「プックリ膨らんで、1分間待つ!」が基本です。時間は「湯を注いだ後~蒸らし終了まで」を1分間としてください。膨らみ終わった所から1分だと、新鮮な豆なら1分20秒くらい経過してしまうので、要注意です。
※新鮮な豆ほど、膨らみ終わるまでに時間がかかります。

膨らまない原因

なんだか膨らまないなぁ・・・の原因として、次のような理由があげられます。
(1)挽き豆で購入している。
すでに挽いた状態で店頭販売している豆だと、この膨らみを体験することはかなり難しいです。
※購入時に「新鮮な豆」を挽いてもらえば、しばらくは大丈夫です。

(2)豆が古い。
古い豆だと、仮に購入時に挽いてもらっても全然膨らみません。心配な時は、お店の人に焙煎日を聞いてみましょう。

(3)湯の温度が低い。
お湯の温度が低いと、よく膨らみません。逆に、沸騰しているお湯を入れると、蒸らしている時にポコポコ泡が出てきて、香りが飛んでしまいます。
沸騰した湯をちょっと冷ました90℃くらいがベストです。
※やかんで沸騰させた湯を細口ポットに移したら、ちょうど良い加減になります。

「今日の豆はこんな感じかぁ。」なんて観察しながら抽出すると、コーヒーをいれるのが楽しくなります。
毎日プクッと蒸らすためには・・・・焙煎したての新鮮な豆を購入すること、もしくは自宅で焙煎して新鮮な豆を使うこと、そして、ミル(豆挽き)を入手することも大事ですね。

追記(2020年4月18日):
エスプレッソマシン専用の極細挽き(パウダー状)にすると、挽きたての豆でも膨らまない可能性があります。超微粒子になって、ガスが一気に抜けてしまうためです。

<参考>
実験!蒸らしの極意

きまめや
生豆屋(きまめや)

実験!蒸らしの極意

蒸らしとは?

コーヒー粉の表面を湯で湿らせて、しばらく置く状態のことです。主に、ペーパードリップやネルドリップで抽出し始める時に行います。
でも、早くコーヒーを飲みたいのに何でわざわざ蒸らすのでしょう?

1)全体を均一に湿らせることで、偏った湯の通り道を作らず、均一に抽出できるようになるため。
しっかり均一に蒸らすことができれば、抽出時に真ん中にだけお湯を注いでも、ちゃんと全体から抽出されます。

2)コーヒー粉が湿ることで膨張し、湯に触れる面積が増え、さらに湯が浸透しやすくなって成分がしっかりと抽出されるため。
抽出時間が短いと、軽くてコクの足らない薄っぺらな味わいに。逆に長すぎると、苦み・酸味が出過ぎてキツイ味わいになります。

最適な蒸らし時間

では、どのくらい蒸らすと一番美味しいのでしょうか?早速、焙煎後1日経過した豆で実験してみました。

—————————————–
時間  味の特徴
—————————————–
 0秒 軽くてコク・香りが少ない。
30秒 コクと香りが出てくるが、やや軽め。
60秒 コクと香りが出ていて、まろやかさと甘みあり。
90秒 コクと香りが出ていて、苦み酸味がハッキリ。
120秒 香りが少なく、味わいのバランスが崩れキツイ感じ。
—————————————–
私は「1分前後」が一番味わいとして完成度が高いように感じました。酸味・苦みのバランスも良く、それぞれの味が突出していません。甘みも一番強く感じられました。 そして、まろやかな口当たりで、喉ごしも雑味が残りません。
※上記時間は「湯を注いだ直後~蒸らし終了まで」を1分間としています。膨らみ終わった所から1分だと、新鮮な豆なら1分20秒くらい経過してしまうので、要注意です。
※新鮮な豆ほど、お湯を注いでから膨らみ終わるまでに時間がかかります。

ただ、あまり美味しくない豆で1分蒸らして「なんだ、美味しくないなぁ!」と怒らないでください。あくまでも、美味しい豆を「より」美味しくする手段であり、マズイ豆が美味しく変身!・・・という訳ではありません。
美味しい豆を入手した時、コーヒータイムを満喫したい時に是非やってみていただきたいと思います。

<参考>
実験!古い豆でも蒸らす?
蒸らしで豆を知る

きまめや
生豆屋(きまめや)

実験!前半と後半

前半と後半の違い

以前「いつも味が違う理由は?」で、抽出の前半と後半では全然味わいが違うというお話をしましたね。
それでは、ドリップしはじめ(前半)と、終わり頃(後半)では、ドリップされたコーヒー液の味わいはどのように違うのでしょうか?
当店のコロンビア(中挽き30g・抽出量360cc分)を、180ccずつに分けて実験してみました。

ドリップ前半(180cc):
苦み・酸味がしっかり出ていて、濃い味わい。
なめらかな口当たりでまったりとしたコク。
コロンビア特有の香りあり。

ドリップ後半(180cc):
味が薄く、酸味・苦みのメリハリが少ない。
かなり軽い感じ。
やや弱めの、コーヒーの香りあり。

ドリップの特性

この実験で、前半と後半の違いがハッキリしました。ドリップ前半で豆本来の香りやコク・味わいが濃く抽出、ドリップ後半で適度に薄められる・・・という流れになります。
このドリップの特性を利用すれば、コクのある濃い味わいが好きな方は、豆の量を増やすことで理想の味わいに近づくことができそうですね。

でも、濃いコーヒーは、胃が弱い方にはお勧めしません。なぜなら実験で抽出した前半(180cc)を全部飲んだとき、結構きつかったからです。
「豆量を増やした濃さ」というのは、「深煎り豆を適量抽出した濃さ」とは全然違いますね。
それは「コーヒー」ではなく、「コーヒーエキス」という言葉がピッタリかも知れません。
濃い味わいが好きな方、エスプレッソが好きな方は、ぜひお試しください。

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生豆屋(きまめや)