コーヒー成分クロロゲン酸と水の硬度

硬度によってクロロゲン酸量が変わる?

以前、水の硬度によってコーヒーの味わいがどうかわるかについて、実験・レポートしましたね。
実験結果から、硬度が高い(硬水)ほど苦味が強く、低い(軟水)ほど酸味やまろやかさが出る・・・ということでした。

今日は、「コーヒー成分のクロロゲン酸は、硬度によって抽出されやすくなるのか?」について考察したいと思います。
クロロゲン酸といえば・・・近年成人病予防に効果アリという研究結果が多く出ている、気になる成分ですね。

味わいの好みでコーヒーを選ぶ方だけでなく、病気予防のために・・・
という方もいらっしゃるかと思いますので、参考までにご報告させていただきます。

酸味とクロロゲン酸の関係

日本調理科学会誌で発表された論文(※)によると、クロロゲン酸量は硬水で抽出するよりも、軟水で抽出した方が多くなると報告されています。
さらに、酸味が強いとクロロゲン酸量も多くなる傾向があるということでした。

つまり同じコーヒー豆で抽出した場合では、軟水で抽出した方がクロロゲン酸が多く抽出されるということになります。
軟水は酸味が出やすいので、酸味と連動するクロロゲン酸が多くなるのは納得できますね。

それでは、硬水だとクロロゲン酸を摂取できないか?というと・・・
コロンビア産豆の実験でクロロゲン酸量が、硬水39mg/100mlに対して軟水41ml/100mlと、わずか2mgの違いとなっています。
他の豆の実験でも10mg/100mlも違わないので、あまり神経質になる必要は無いと思います。
強い苦味が好きならやっぱり硬水がおすすめですし、少し多めにコーヒーを飲めば同じ量を摂取できると考えられます。

ちなみに、日本の水道水は殆ど軟水なので、そのままご利用いただければクロロゲン酸が抽出されやすいということになります。
あと、コーヒー豆は焙煎が深くなるほどクロロゲン酸が減っていきますので、もし積極的に摂取したい場合は深煎りを避けた方が良いでしょう。

(※)日本調理科学会誌Vol.41 No.4 257~261(2008)
「コーヒーの味に及ぼす抽出条件およびクロロゲン酸量の影響」

<参考>
コーヒーのダイエット効果(血糖値を抑える)
心筋梗塞&脳梗塞予防にコーヒー

きまめや
生豆屋(きまめや)

ロイヤルミルク珈琲の作り方

ロイヤルミルクティーからロイヤルミルク珈琲

私は、牛乳と一緒に紅茶を煮て作る「ロイヤルミルクティー」が好きです。
この「ロイヤル」の響きが、いかにも「英国王室で親しまれている紅茶」という感じで、高貴な雰囲気がありますね。
実はこの「ロイヤル」+「ミルクティ」は、日本人が作った和製英語(造語)だそうです。
煮出す方法は英国式ではなく、むしろインド式のミルクティー(チャイ)が源流だとか。

なるほど。牛乳で抽出した珈琲を「ロイヤルミルク珈琲」と名付けようと思ったのですが。
むしろ「チャイ風珈琲」と呼んだ方が、良さそうですね。でも何となく「ロイヤル・・・」の方が慣れているので、そのまま行き たいと思います。
 

ロイヤルミルク珈琲の作り方

牛乳とコーヒーだけで作るので、とてもコクがあります。茶こしで濾すので、少しコーヒー粉がカップに残りますが、細かいこと は「気にしない♪」のが最大のポイント。
よろしかったらお試し下さい。
—————–
<材料 1人分>
牛乳 160cc
新鮮な深煎りのコーヒー粉10g(中挽き)
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<作り方>
1.鍋に牛乳を入れて弱火にかけ、沸々してきたら火を止めてコーヒー粉を入れる。
2.スプーンで10秒ほど混ぜた後、1~3分置く。
3.茶こしで濾しながらカップに注げば、出来上がり!
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<ポイント>
※牛乳を温めるのは、電子レンジでもできます。鍋を洗うのが面倒な時はお試し下さい。
※10秒混ぜるのは、コーヒー粉と牛乳を混ぜ合わせるためです。混ぜずにコーヒー粉が浮いたままだと、十分抽出できませんのでご注意下さい。
※長く置くと濃くなります。置く時間は、お好みで調整して下さい。
※お好みで、砂糖を加えてお召し上がり下さい。
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カップの底にコーヒー粉が残るため、後半は「ロイヤル」というよりもむしろ「ワイルド」という言葉がピッタリの味わいになります。
ということで「ワイルドミルク珈琲」の方が、良いかも知れませんね。
あと、火を付けたままコーヒー粉を煮出すと上品な味わいが消えてしまうので、あまりおすすめではありません。
珈琲の香りは繊細なので、くれぐれもお気を付け下さい。

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コーヒーの渋味は健康的な味。

渋みの正体

コーヒーの渋み成分は、何でしょう?
コーヒーポリフェノール「クロロゲン酸」が主な渋味の成分になります。そしてその多くは、生豆表面の薄皮(シルバースキン)部分に存在しているそうです。

クロロゲン酸は、生豆の状態で非常に多く含まれており、焙煎が深くなるにつれて減少していきます。
そのため、浅めの焙煎豆(中煎り~深め中煎り)では渋みを感じやすく、深煎りの焙煎豆(やや深煎り~ごく深煎り)では感じにくくなります。
#コーヒー成分による渋味の他に、ミルの性能によっても微粉が出て渋み・苦味が比較的強く感じられる場合もあります。

渋みから生まれる効果

渋味の原因であるクロロゲン酸ですが、実はアンチエイジング効果や様々な成人病予防効果があると言われています。
例えば、2型糖尿病や肝疾患、高血圧や大腸がん予防等々。「この予防効果を期待してコーヒーを飲んでいる!」という方も、少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

最近は、いろいろと処理を施して薄皮を排除し「渋くないコーヒー」を求める傾向もあるようです。せっかく健康的なのに、勿体ないですね。

浅め焙煎のかすかな渋味も、複雑なコーヒーの香味と厚みのある絶妙な味わいを演出してくれます。「コーヒーの渋味は、ちょっと苦手」という方も、健康維持も兼ねて渋味と仲良くなってみてはいかがでしょうか。
深煎りとはまた違った美味しさに気付いていただけると思います。

注)浅め焙煎の場合は、できるだけ抽出する直前に挽きましょう。挽いてから時間が経つと、酸化による酸味が強く出てしまうためです。

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生豆屋(きまめや)

簡単!美味しい!コーヒーかんの作り方

寒天について

以前、ゼラチンを使った簡単!美味しい!コーヒーゼリーの作り方をご紹介しましたね。
今日ご紹介するのは、海草由来の寒天を使った作り方です。
寒天は、食物繊維が豊富でほとんどカロリーが無く、また腸内での油・糖分の吸収を妨げるため、ダイエット食品や健康食品としても注目されています。
しかしゼラチンに比べると、食感が固めで敬遠されがちです。また、鍋で1~2分煮る必要があるので、珈琲に直接寒天を入れると香りが飛んでしまいます。

珈琲かん
でも、ちょっと工夫すれば・・・
コーヒーの香りが豊かで、ゼラチンに負けない「ぷるぷる、つるん!」とした清涼感のある食感に仕上げることができます。
下記レシピで、ぜひお試し下さい。

ひと手間かけて、美味しく!

原材料は、コーヒー、水、そして粉寒天だけ。
甘みを加えた方が召し上がりやすいですが、ブラックのままでも新鮮な深煎り珈琲をドリップすれば美味しく出来ます!

<作り方> 約700cc分(5~6人分)
(1)鍋に粉寒天2gと水150ccを合わせて火にかけ、かき混ぜながら煮溶かす。沸騰したら弱火にして、1~2分間煮た後に火を止める。

寒天を煮溶かす 

(2)新鮮な深煎り豆50gを使って、コーヒーを550cc抽出する。
※甘味をゼリーに付けたい時は、ここで砂糖を適量入れて溶かす。
深煎り珈琲を抽出する 

(3)(2)を(1)の中に入れてよく混ぜる。
※写真は、寒天の鍋に抽出した深煎り珈琲を入れているところ。
寒天にコーヒーを入れる

(4)型に注ぎ入れて粗熱を取り、冷蔵庫で冷やして出来上がり!
型に注ぐ
 
 
型から外して出来上がり!
※型から外す時は、お湯で少し温めると外れやすいです。

面倒くさがり屋な私でも、コーヒーかん作りは苦になりません。なぜなら「室温で固まってくれる」からです。
ゼラチンだと何時間も冷蔵庫に入れないと固まらないですが、寒天は室温でも固まります。ですから、冷蔵庫では冷やすだけでOK!
短時間でできるので、私みたいなせっかちな人にはピッタリですね。

○注意事項
・2gずつに小分けされている粉寒天を使用したため、合計700ccとなりました。半分の量で作ることもできますが、その場合は粉寒天を正確に半分(1g)になるよう計量して下さい。
粉寒天の量が多いと固くなり、「ぷるぷる、つるん!」の食感ではなくなってしまいます。

・粉寒天を煮た後に、コーヒーの抽出を開始して下さい。そうすると、抽出している間に粉寒天の温度がコーヒー抽出後と同じくらいになり、香りが飛びません。
※煮立った寒天にコーヒーを入れたり、コーヒーも一緒に煮てしまうと、香りが飛んでしまうのでご注意下さい。

・冷やしすぎて凍らすと、水分が抜けてボソボソした食感になってしまいます。くれぐれも冷やしすぎないようにお気を付け下さい。

・お好みにより、純生クリーム(植物性は×)をかけて下さい。 植物性クリームをおすすめできない理由は、コーヒークリーム(フレッシュ)の実態をご覧下さい。  

・ガムシロップを添えたい時には、手作りしてみましょう!
砂糖と水を同量ずつ耐熱容器に入れ、よく混ぜてから電子レンジで温めます。(長期保存する場合は、砂糖の方を多めにして下さい)
砂糖と水を混ぜる

沸騰してきたらすぐに止めて、冷ますだけでOKです。
写真は「きび砂糖」で作ったので、茶色のガムシロップになっています。

ガムシロップ出来上がり!

先日、「研究のため!」と市販の某コーヒーゼリーを買って食べました。味わいは・・・ご想像におまかせします・・・。
なお原材料は、糖類(砂糖・異性化液糖・水飴・ぶどう糖)、コーヒー、ゼラチン、食塩、ゲル化剤(増粘多糖類)香料、ph調整剤が入っていました。
本当は、コーヒー、ゼラチン(または寒天)、砂糖だけで十分なのですけど。
流通経路が長い上に、原料代を安価に済ませようとすると、どうしても食品添加物が多くなってしまうのでしょうね。

・秘伝!美味しいコーヒーの入れ方は、こちらから。

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生豆屋(きまめや)

簡単!美味しいコーヒーゼリーの作り方(ゼラチン編)

コーヒーゼリー

ゼラチンについて

コーヒーをゼリー状に固めるには、いくつか方法があります。
今日ご紹介するのは、鍋で煮る必要が無くて手軽にできるゼラチンを使った作り方です。
ゼラチンは、コーヒー抽出後の温度でも十分溶かすことができるので、香りをそのまま封じ込めることができます。
また、柔らかくて口溶けの良い仕上がりになるので、市販のゼリーに近い食感に。

しかしゼラチンは、以前問題になったことがありましたね。
そう、牛皮・牛骨から作られるため狂牛病(牛海綿状脳症:BSE)感染の恐れが指摘されたことがありました。
現在は牛由来であっても、狂牛病の牛を使用しない、または特定危険部(脳、脊髄、眼球等)を使用しない、無害になるよう処理を施す等により「問題無い!」という意見が多いようです。
しかし念のため、ここでは「豚由来」のゼラチンを使いたいと思います。
※寒天を使った簡単!美味しい!コーヒーかんの作り方もご覧下さい。


とにかく簡単!美味しい!

コーヒーゼリーの作り方は、とっても簡単。 だからこそ、素材の善し悪しで、大きく味わいに差が出てきます。
 新鮮で美味しい深煎りコーヒーをドリップすれば、名パティシエでも真似のできない味わいに・・・!

<作り方> 約240cc分(2~3人分)

(1)ゼラチン小さじ2杯弱を、大さじ3杯の水でよく溶いておく。
ゼラチンをふやかす

(2)新鮮な深煎り豆を使って、コーヒーを200cc抽出する。
※甘味をゼリーに付けたい時は、ここで砂糖を適量入れて溶かす。
深煎り珈琲を抽出する

(3)(1)を(2)の中に入れてよく混ぜる。
※写真は、コーヒーサーバにゼラチンを入れているところ。
コーヒーにゼラチンを入れる
 

(4)型に注ぎ入れ、冷蔵庫で3時間以上冷やして出来上がり!
型に注ぐ
  
型から外して出来上がり!
※型から外す時は、お湯で少し温めると外れやすいです。 

朝のコーヒーを多めに作ったら、冷めないにうちにゼラチンを溶かし入れて冷蔵庫に入れておくと・・・
夜には美味しいコーヒーゼリーを楽しめます!
面倒だったら、カップや耐熱グラスに入れたままで固めても面白いですね。
ぜひ、お試し下さい。

注意事項
・ゼラチンは、種類によって水に溶いておく(ふやかす)時間や加え方が異なります。袋や箱に書いてある説明をよく読みましょう。
#水に溶かす必要のないゼラチンもありますが、一応溶かした方がダマになりにくくおすすめです。

・冷蔵庫内の温度によって、ゼリーが固まるまでの時間が異なります。特に暑い時期は長くかかる場合がありますので、ご注意下さい。

・お好みにより、純生クリーム(植物性は×)をかけて下さい。 植物性クリームをおすすめできない理由は、コーヒークリーム(フレッシュ)の実態をご覧下さい。  

・ガムシロップを添えたい時には、手作りしてみましょう!
砂糖と水を同量ずつ耐熱容器に入れ、よく混ぜてから電子レンジで温めます。(長期保存する場合は、砂糖の方を多めにして下さい)

砂糖と水を混ぜる

沸騰してきたらすぐに止めて、冷ますだけでOKです。
写真は「きび砂糖」で作ったので、茶色のガムシロップになっています。

ガムシロップ出来上がり!

砂糖控えめにすれば、糖質の少ない素敵なデザートになります。ぜひお試し下さい。
 

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生豆屋(きまめや)

エチオピア産コーヒー豆(モカ)の有機塩素系殺虫剤残留について

有機塩素系殺虫剤が検出

平成20年(2008年)5月9日付けで、エチオピア産コーヒー豆検査命令の実施が発表されました。
これは、基準値を超える有機塩素系殺虫剤γ-BHC(リンデン)、クロルデン、ヘプタクロルが、エチオピア産コーヒー生豆から検出されたため、だそうです。
厚生労働省:輸入食品に対する検査命令の実施について(報道発表資料)

以前、ブラジル産コーヒー豆の残留農薬・ジクロルボスが発覚した時は、ニュースで大変な騒ぎになりましたね。
今回は何故か静かで・・・知らない人の方が多いのでは?と思い、とりあえずお知らせしました。
なお、イエメン産コーヒー豆についても残留農薬が検出された事例があり、モニタリング検査強化が実施されているということです。
※エチオピア産、イエメン産コーヒー豆: モカ(+α)の名で呼ばれているコーヒー豆

不思議な数字

上記報道発表資料で、ちょっと不思議に思ったのは下記の部分。

注7) 日本人の一日当たりのコーヒーの摂取量は、コーヒー豆(生豆)に換算すると2.6gです。

毎日レギュラーコーヒーを1杯飲めば、生豆換算で13gくらい消費してしまいます。日本人の一日当たりの消費量2.6gだとすると・・・0.2杯(5分の1杯)分ですね。
でもカップ1/5杯だけを毎日飲む人は、たぶんとても少ないでしょう。
この中途半端な2.6gという数字は、子供も大人も全部混ぜて平均した、ということでしょうか?そうだとすると、あまり意味の無い数字だなぁ、と思いました。

とりあえず、「体重60kgの人が当該違反のコーヒー豆を毎日飲んでも、健康に及ぼす影響はありません。」とのことです。

一昔前(私がコーヒー豆屋を始めた頃)は、「モカ系は有機栽培じゃなくても、農薬使ってないから大丈夫!」というのが定説でした。しかし今は、そう言えなくなってしまったようですね・・・残念なことです。

<コーヒーの農薬について>
γ-BHC(リンデン)
毒性の強いβ-BHCの残留性が問題となり、現在は多くの国で殺虫剤としての使用が禁止されている。農薬として使用した場合、動物が食物から摂取して、脂肪、肝臓、腎臓などに蓄積する危険がある。
(日本では1971年に失効)


クロルデン・ヘプタクロル
かつて殺虫剤、シロアリ防蟻剤として用いられていたが、現在は製造・輸入が禁止されている。非常に高い残留性を持っており、環境ホルモンとしての疑いがもたれている。
(日本では1968年に失効)

<参考>
モカの時間

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コーヒー豆 スプーン1杯何グラム?

深煎りの方が豆が大きくなる

お客様から、「中煎りと深煎りの豆を注文したけど、深煎りの方は沢山入っていたみたい。これはサービス?」とお問い合わせがありました。
当店では、すべてのお客様が同じ条件で購入できることを目指していますので、一部のお客様に増量サービス・・・ということは行っていません。
それでは、なぜ同じ重さなのに深煎りは沢山入っていると感じたのでしょう?

スプーン一杯何グラム?

それは、浅煎りよりも深煎りにした方が、体積が増えるためです。
コーヒー豆は深く炒ると、水分が蒸発したり成分が気化して軽くなる一方、体積は増えていくのでした。
軽くなって体積が増えるといえば・・・ポップコーンを思い出していただければ分かりやすいかと思います。

ふつう珈琲豆屋では「焙煎後」の重さをはかって販売するので、同じ重さだと深煎りの方が袋の中身(豆の容積)が増える訳です。
具体的には、中煎りは生豆の1.3~1.4倍、深煎りなら1.5~1.7倍程度に体積が増えるそうです。

カリタ製のドリッパーについている計量スプーンだと、すり切り1杯で中煎りなら10g~11gくらい。深煎りなら、9~10gくらいになります。
1杯あたりだと誤差範囲ですが、500g袋になるとだいぶ違って見えます。もちろん、粒の大きさによって、どのくらい粒ぞろいかによっても、多少違いはあるかと思いますが。

ちなみに珈琲一杯(120cc)で使用する豆は、器具メーカーによって推奨する量が違います。
でも、「このメーカーだから、この量で」と厳密に計量する必要はありません。自分好みの味わいが見つかれば、それが一番ではないでしょうか。
※メーカー別一杯あたりのコーヒー豆量
———————————
カリタ 10g(3つ穴)
メリタ 8g(1つ穴)
ハリオ 12g(円錐形、1つ穴)
———————————
最後に、生豆と中煎り、深煎りをそれぞれ10gをはかったとき、カリタ製計量スプーンだとどのくらいの量になるか、写真でご紹介したいと思います。
写真上から、生豆、中煎り豆、深煎り豆 各10gずつです。

生豆10g
中煎り10g
深煎り10g

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生豆屋(きまめや)

コーヒーサーバーとは?

一人分だけ抽出でも必需品

ドリップしたコーヒーを受ける、ガラス製の容器のことです。
カップに直接抽出すれば不要ですが、2人分以上抽出する場合はコーヒーサーバーに一度抽出してから各々のカップに注ぐ方が味わいが安定します。
詳しくは、実験!前半と後半をご覧下さい。

カリタ・コーヒーサーバー
1人分しか抽出しない場合でも、コーヒーサーバーの目盛りに合わせて抽出し、温めたカップに注げば、いつも安定した味わいを楽しめます。
「一人分だけなのに、面倒臭い!」という時は、カップのどの辺で抽出を止めるか決めておくと良いでしょう。(お湯の量については、コーヒー豆量と湯量の関係をご覧ください)
・・・
なぜ面倒くさがり屋の私が、味わいの安定のためにこだわるかというと。いつも同じ条件で抽出することで、コーヒー豆の味わいの変化を楽しむことができるからです。

コーヒー豆は、焙煎日~焙煎後2週間くらいまで味わいの変化を楽しむことができます。
焙煎日当日が一番透明感のある味わい、2~3日後が一番香りが強くなり、その後ゆっくり時間をかけて変化をしていきます。詳しくはコーヒー焙煎豆の飲み頃をご覧ください。
せっかく味わいの変化を楽しめるのに、意識しないで抽出するなんて勿体ないですね。だから面倒くさがり屋の私でも、コーヒーサーバーは必需品なのでした。

長く使うために

コーヒーサーバーは普通、耐熱ガラスでできています。メーカーによっては直火OKのものや、電子レンジOKのものもありますので、購入時にはチェックしておきましょう。温め直しができるコーヒーサーバーですと、冷めてしまった時に便利ですね。
※底に水滴がついていたり、小さなヒビのある場合は、温め直しの際に割れる恐れがありますのでご注意下さい。
※温め直しや保温をすると、香り・味わいが格段に落ちてしまいます。酸化も進みますので、できるだけ抽出したての新鮮なものを飲みましょう。

なお耐熱ガラスは、強化ガラスではありません。他のガラス製品同様、衝撃に弱く、小さな傷が付けば割れやすくなります。
そのため、洗浄の時も金属タワシは使わずに、スポンジ等で優しく洗ってあげて下さい。
※一方、強化ガラスは急激な温度変化に弱いです。破損のおそれがあるので、強化ガラスを使ってコーヒーを抽出するのは避けましょう。

もう一点。
耐熱ガラスは、熱さには強いですが急冷にはとても弱いです。直火で使った熱々のコーヒーサーバーを冷水に浸すようなことは避けましょう。
・・・
ガラス製で壊れやすいコーヒーサーバーですが、ドリップには欠かせません。上手に管理して、長く使っていただければと思います。

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ペーパーフィルターの湯通し効果

あれ・・・紙臭い?

新入荷のコーヒー豆の焙煎加減を決めるために、いろいろな焙煎加減を試していた時のこと。
スタッフ達と浅めの焙煎加減を試飲したら、なぜか違和感がありました。
「あれ・・・紙臭い?」

私が抽出すると紙臭さが気にならないのですが、某スタッフが入れたコーヒーは何故か気になりました。 (※口うるさい店長で恐縮です)
早速抽出方法について確認したところ、湯通しに使う湯の量が少ないことが判りました。でも今まで気にならなかったのに、なぜ突然紙臭く感じたのでしょう?

焙煎加減で違いがわかる

浅い焙煎加減で紙臭かったということは・・・。
「焙煎加減によって、感じ方が違うのかも?」と思いつき、さっそく実験してみました。
以下は、湯通し無しのペーパーと、十分湯通ししたペーパーの味わいの違いについての結果です。
——
1)中煎り豆(ミディアムロースト)使用の場合
湯通し無し:かすかに紙臭さがあり、酸味・苦味が強く感じられた。
湯通し有り:豆本来の香りで、まろやかな酸味・苦味が感じられた。

2)ごく深煎り豆(イタリアンロースト)使用の場合
湯通し無し:苦味が強く、紙の臭いは無し。
湯通し有り:苦味が強いが、比較的まろやかな口当たり。紙の臭いは無し。
——
以上のことから、紙臭さは浅めの焙煎の方が感じやすいことが分かりました。
深煎り豆は強い苦味・コクが前面に出て濃い味わいになるので、紙臭さを感じにくくするようです。
ちなみに、ごく深煎り豆の場合でも、サーバに残ったコーヒー液の香りを調べたら・・・湯通し無しの方は「これは紙臭い!」という意見で一致しました。冷めると、深煎りでも紙臭さが感じられるようです。
※湯通し有りの方は両方とも、冷めても紙臭さはありませんでした。

あと、意外なことも判明しました。
それは「十分湯通しすると、まろやかな味わいになる」ということです。
その理由はよく分かりませんが、湯通しすることでペーパーの繊維が膨張し、よりまろやかな口当たりになるのかも・・・知れません。
この味わいの違いについて、また何か分かりましたらお知らせしたいと思います。

<実験の条件>
・中煎り豆、ごく深煎り豆 各48g(細め中挽き)で、それぞれ4人分抽出(1人分は120cc)。
・抽出時の蒸らし時間は1分間。湯温は90℃とした。
・ハリオドリッパー&無漂白ペーパーフィルター(円錐形)使用。
・「湯通し有り」は、約600ccの熱湯で行い、1分間湯気を蒸発させた後にコーヒー粉を入れて抽出開始した。
・「湯通し無し」は、ドリッパーを湯で温める時もペーパーを外し、抽出開始まで一切湯がかからないように注意した。

湯通しをしているところ。

<参考>
ペーパーフィルターの紙臭さを消す方法
ペーパーフィルターの無漂白と酸素漂白、どちらが良い?


きまめや
生豆屋(きまめや)

コーヒーの木に農薬が必要な理由(シェードツリーvs農薬)

シェードツリーとは?

日陰用の樹木のことです。
ご自宅で育てている方はご存知かと思いますが、コーヒーの木は直射日光に当たり続けると葉が日焼けしてしまいます。
そのため、産地の農園ではバナナやマンゴー等の背の高い樹木をコーヒーの木と一緒に植えて、適度な日陰をつくっています。

でもシェードツリーと一緒に植えると、単位面積当たりの収穫量が少なくなり、コーヒーの実の収穫にも大変手間がかかります。
なぜなら、シェードツリーと混在しているため安易に機械を使うことができず、手摘みで収穫することになるからです。

とても手間がかかる作業ですが、農園には様々な樹木が茂り、昆虫や鳥も沢山生息していて自然環境には最適です。
そして、シェードツリーの落ち葉は良質な肥料となり、力強い土壌を作ってくれます。
生豆屋のコーヒー豆達は、シェードツリーと一緒に育てられています。

単一栽培の落とし穴

一方、市場に出回っている多くのコーヒーは、シェードツリーの要らない品種に改良されたものになります。直射日光に強いため、他の木々と一緒に植える必要がありません。
広大な森林を伐採して作られた大規模なプランテーションで単一栽培され、単位面積当たりの収穫量も多いです。
そこでは余計な樹木等はすべて排除されるので、機械を使って容易に収穫でき、手間もかかりません。

しかし、森林伐採により土地は枯れていきました。
単一栽培のため、大量の農薬と化学肥料を投入する必要もでてきました。
その結果、自然環境は破壊され、小さな生物達も激減してしまったのです。
#単一栽培だとコーヒーの木が弱くなるため、病害虫による全滅を避けるために大量の農薬を使用する必要があります。

大量生産を目指した結果、自然環境が破壊され、生産者達の健康をも脅かす状況になっているそうです。
現実は、厳しいですね。

<参考>
コーヒー豆屋を始めた理由(コーヒー嫌いなのに)
店長の紹介
モカの有機塩素系殺虫剤検出
コーヒー豆に住む害虫の秘密

きまめや
生豆屋(きまめや)