コーヒーの残留農薬「ジクロルボス」再び

とうとうコロンビア産からも・・・

厚生労働省は10月17日、コロンビア産コーヒー豆の輸入時検査で、残留基準を超える有機リン系殺虫剤「ジクロルボス」が2回にわたって検出されたと発表しました。

1回目は9月1日で、残留農薬の基準値(0.2ppm)の約5倍の0.96ppm、2回目は10月14日で、0.57ppmがそれぞれ横浜検疫所で検出されました。これにより、厚生労働省から「検査命令」が出て、今後輸入されるコロンビア産豆は全量を検査するよう義務付けられます。
#コロンビア産豆は、昨年1年間に約86000トンが輸入され、全輸入量の約21%を占めています。

なお、先月発覚したブラジル産豆の残留農薬問題については、はすでに同様の措置がとられています。

原因不明のまま

とうとうコロンビア産豆も、2回目の検出で全量検査になりましたね。ブラジル産豆の残留農薬で大騒ぎだったので「コロンビアはもう違う農薬を使うだろうなぁ」予想していましたが。まさか再びジクロルボスで問題になるとは、思いませんでした。

やはり農薬に対する「ずさんな管理体制」が、根底にあるのでしょうか。以前ブラジル産豆から検出されたジクロルボスについても、原因は特定できないまま。「有機栽培(オーガニック)豆」では無いので、原因追求は足踏み状態。

他の有機リン系農薬に比べて蒸気圧が高く「残留しにくい農薬なのに、しっかり残留していた」という事実だけが宙ぶらりん。なかなか難しい問題です。

※ジクロルボス:発ガン性及び変異原性が確認されており、イギリスでは販売などが一時制限されています。また、白血病や非ホジキンリンパ腫・前立腺ガンとの関連が報告されています。
#当店で扱っている有機栽培コーヒー豆は、燻蒸処理も農薬も使用していない豆だけを扱い、店舗保管時も殺虫剤を一切使用しておりませんので、ご安心下さい。

<参考>
燻蒸(くんじょう)ってどんなもの?
コーヒーの残留農薬「ジクロルボス」ってどんなもの?

きまめや
生豆屋(きまめや)

コーヒーの残留農薬「ジクロルボス」ってどんなもの?

先日(2003/9/5)新聞やニュースで取り上げられた、コーヒーの残留農薬「ジクロルボス」についてお話したいと思います。

ブラジル産とコロンビア産のコーヒー豆から

厚生労働省は9月4日、ブラジル産コーヒー豆の輸入時検査で、残留基準を超える有機リン系殺虫剤「ジクロルボス」が2回にわたって検出されたと発表しました。

1回目は2003年6月で、残留農薬の基準値を超える0.29ppmが検出、そして今回(9月)は0.44ppmが検出されました。2回基準値を超えると、厚生労働省から「検査命令」が出て、今後輸入されるブラジル産豆は全量を検査するよう義務付けられます。

また、ほぼ同じ時期にコロンビア産コーヒー豆からも0.96ppmというかなり
高い値が検出されました。

まだ1回しか検出されていないので問題になっていませんが、このまま2
回目の検出があった場合は、ブラジル産豆と同様の措置がとられることに
なるそうです。

残留農薬「ジクロルボス」とは?

発ガン性及び変異原性が確認されており、イギリスでは販売などが一時制限されています。 また、白血病や非ホジキンリンパ腫・前立腺ガンとの関連が報告されています。

吐き気・おう吐・胃けいれん、下痢等の急性毒性が強く、「劇物」に指定。くり返し、または長期にわたって被ばくした場合は、頭痛、記憶と集中力の障害、眠気や不眠症、倦怠感等の症状が現れます。 

他の有機リン系農薬に比べて蒸気圧が高く、燻蒸(くんじょう)剤や燻煙(くんえん)剤に使われたり、様々な農薬と混合して製剤化されています。

#ゴキブリやノミ用殺虫剤、家庭菜園用殺虫剤に使われているものもあります。室内で使用する場合は、気づかないうちに被ばくすることもあるので、くれぐれもご注意下さい。

問題点

(1)世界には500種類以上の農薬があると言われているのに、1種類だけの調査で終わるのは「焼け石に水」。同様の効果がある農薬は、いくらでも存在する。さらに残留しやすくて強い農薬も存在する。それらについては、どのように対応するか?

(2)残留農薬が基準値0.2ppm「未満」であれば、上記のジクロルボスが残留していても問題無く輸入されており、今後も日本に入ってくるということ。

店長の考察

この農薬は、燻蒸(くんじょう)時によく使用されるほか、残留性が少ないので、収穫直前まで使用しても大丈夫な農薬だとか・・・
#「大丈夫」というのは、人体に影響無いという意味ではなく、数値として出ない、という意味です。

残留しにくい農薬ですから、収穫前に使ったものがずっと残っていた、とは考えにくいですね。船上のコンテナに入っている間中、「ジクロルボス」で燻蒸(くんじょう)し続けたためか? それとも現地で燻蒸された結果か?

いずれにしても、氷山の一角が現れた・・・という所でしょうか。

#当店で扱っている有機栽培コーヒー豆は、燻蒸処理も農薬も使用していない豆だけを扱い、店舗保管時も殺虫剤を一切使用しておりませんので、ご安心下さい。

<参考>
燻蒸(くんじょう)ってどんなもの?
産地燻蒸の話
有機栽培(オーガニック)コーヒー豆に害虫が見つかったら?
ブラジルの農薬中毒事件
ブラジルで人気のコーヒー農園

きまめや
生豆屋(きまめや)

くんじょう(燻蒸)ってどんなもの?

具体的にどんなもの?

皆さんの身近なもので、「燻蒸(くんじょう)」に非常によく似て いるものは何でしょうか?  
ダニやゴキブリ退治の時に使用する「バルサン」等、煙がモクモク出てくる家庭用殺虫剤が、よく似ています。 

こういった殺虫剤は、部屋を閉め切って薬剤を充満させることによって 
虫を退治します。 
もちろん、「食品や布団、おもちゃ等に薬剤がかからないように」と 
指示されているので、対象はあくまで家具等に隠れたゴキブリ達です。 

一方、コーヒー豆の「燻蒸(くんじょう)」はどうでしょうか? 
燻蒸(くんじょう)用の倉庫の中にコーヒー豆を麻袋ごと入れて、バルサンよりも 
毒性が強い臭化メチルやリン化アルミニウムで殺虫します。 

しかも、 
「薬剤がかからないように・・・」ではなくて 
「薬剤が浸透して豆の中の虫まで殺せるように」 
という前提で行われます。 
つまり対象はコーヒー豆そのものになるわけです。 

コーヒーを飲む人の健康を考えたら、こういうことはやらないで欲しい 
ところですが。 
どうして、燻蒸(くんじょう)する必要があるのでしょうか? 
 

燻蒸(くんじょう)の必要性

燻蒸は国内の農産物を守るのが目的なので、臭化メチル、リン化アル 
ミニウム、青酸ガス(バナナ等に多用)、など強力なものが使われます。 

問題なのは、国内の「植物」を病害虫から守るために行われているので 
あって、決して「人への安全(健康)」のためでは無いという点です。 

もちろん、国内の農作物を守る必要があるので、今の状態で突然 燻蒸を廃止するわけにはいかない、ということもわかります。 
だからといって、このままの状態で安心してコーヒーが飲めるのでしょうか。

もしかしたら私は心配しすぎなのかも知れません。
でも私みたいな心配症の方でも安心して飲める、本当に安全で新鮮なコーヒーを日々生豆屋からお届けできたらと思っています。

<参考>
燻蒸その1 コーヒー豆は植物だった
燻蒸その2 臭化メチルとは
燻蒸その3 残留基準は無し
燻蒸その4 臭化メチルに代わるもの
燻蒸その5 安全な燻蒸?
燻蒸その6 産地燻蒸の話
有機栽培(オーガニック)豆に害虫が見つかったら?

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生豆屋(きまめや)

臭化メチルに代わるもの(燻蒸その4)

リン化アルミニウム

これは、民間の燻蒸(くんじょう)(消毒)業者さんに直接伺った時のお話です。 
「コーヒー豆を燻蒸する時は、まず臭化メチルを使います。それでも 病害虫が死ななかった場合は、リン化アルミニウムでもう一度燻蒸します。 だから、絶対虫は生きてないから大丈夫!」 
・・・ということでした。 

リン化アルミニウムの特徴は、空気とほぼ同じ比重なので低い所にたまらず ガス抜きがしやすい、という点です。 
また、臭化メチルに比べて食品に与える薬害も少ないので、海外では多く 使用されています。 

しかし日本では、リン化アルミニウムの方が燻蒸に時間がかかって 
しまうため、あまり積極的に使われていないようです。 
 
 

リン化アルミニウムとは?

特定毒物に指定されている殺虫剤で、取り扱い注意です。 
大気中の水分と反応してきわめて毒性の強い「リン化水素ガス」を出します。 

具体的な中毒症状については、ここでは述べませんが、 臭化メチルよりも、はるかに毒性が高いことは確かです。 

リン化アルミニウムは、燻蒸(くんじょう)によって輸入農産物を化学変化させ、 成分を変質させたり、リン酸化合物として残留したりするそうですが、 残留基準はありません。 

何だか暗い話になってきましたが・・・。 
私が申し上げたいのは、こういう過程を経てきたコーヒー豆が店頭に並んでいる可能性もあるということなのです。 

それが、燻蒸の心配が無い「オーガニック認証コーヒー」を強くお勧めする理由の1つになっています。

<参考>
燻蒸その1 コーヒー豆は植物だった
燻蒸その2 臭化メチルとは
燻蒸その3 残留基準は無し
燻蒸その5 安全な燻蒸?
燻蒸その6 産地燻蒸の話
燻蒸ってどんなもの?
有機栽培(オーガニック)豆に害虫が見つかったら?

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燻蒸による残留基準は無し(燻蒸その3)

残留しててもフリーパス?

コーヒー豆の害虫を殺すために燻蒸(くんじょう)(消毒)する場合もある、という話を以前しましたね。
その燻蒸で使用される「臭化メチル」の残留基準は、残念ながらありません。
米と小麦についてだけは、燻蒸による臭素(有毒)残留を調べるために、無機臭素の基準が決められていますが・・・。
つまりコーヒー豆に関しては基準もなく、フリーパスで市場に出回っているのが現状のようです。

どんな形で残留するか

臭化メチルは気化しやすいので「作物中には残留しません」 と言われてきました。
しかし実際には、作物中の成分である水分やタンパク質と反応してしまい、別の物質として残留することが知られています。
ここで、コーヒー生豆の成分を調べると・・・・
水分‥‥‥‥12~15%程度、
タンパク質‥11%程度、を含んでいるそうです。

つまり、燻蒸されたコーヒー豆の中にも、臭化メチルが別の物質として残っている可能性が考えられます。具体的には、臭化メチルの「臭素」部分は、有機臭素塩として「メチル」部分は、メタノールやメチル化合物として残るそうです。

ところで、先進諸外国では「臭化メチル」は
農作物に薬害が出やすく、
発ガン性疑惑があり、
さらにオゾン層を破壊する物質であるために、
使用が激減しています。

日本でも、段階的に使用を減らしてはいますが、まだまだ食物検疫の消毒では 遅れをとっているのが現状です。

<参考>
燻蒸その1 コーヒー豆は植物だった
燻蒸その2 臭化メチルとは
燻蒸その4 臭化メチルに代わるもの
燻蒸その5 安全な燻蒸?
燻蒸その6 産地燻蒸の話
燻蒸ってどんなもの?
有機栽培(オーガニック)豆に害虫が見つかったら?

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臭化メチルとは(燻蒸その2)

臭化メチルって何?

別名「メチルブロマイド」。
殺虫剤でもあり、殺菌剤でもあります。常温で気体になるので、 
燻蒸(くんじょう)(消毒)する時に使われます。 

コーヒーのような輸入農作物だけでなく、米などの穀物の燻蒸(くんじょう)、 畑地やハウス栽培の土壌燻蒸(くんじょう)剤としても使われています。 

結構すごい毒性

急性毒性評価に基づく「毒劇法」による劇物指定を受けています。 
また、発ガン性の疑いもオランダ政府から報告されています。 

臭化メチルを使って倉庫燻蒸(くんじょう)や土壌燻蒸(くんじょう)を行う作業者に、 中毒死者や次のような症状を示す患者が見られます。 
悪心、嘔吐、めまい、頭痛、肺水腫、呼吸困難、チアノーゼ、 
四肢けいれん等。 
皮膚に直接触れた場合は、灼熱感や水疱を起こす等。

こういう薬剤で消毒されたものが、実は身近にゴロゴロしている可能性があることを知り、とても残念でした。

<参考>
燻蒸その1 コーヒー豆は植物だった
燻蒸その3 残留基準は無し
燻蒸その4 臭化メチルに代わるもの
燻蒸その5 安全な燻蒸?
燻蒸その6 産地燻蒸の話
燻蒸ってどんなもの?
有機栽培(オーガニック)豆に害虫が見つかったら?

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コーヒー豆は植物だった(燻蒸その1)

コーヒー生豆は植物扱い

コーヒー豆は生きている豆(生豆)として輸入されるのはご存じでしょうか? つまり、輸入する時点では「食品」ではなくて「植物」扱いになります。 

ここで、「あっそう」と納得してはいけません。 
「食品」であれば、輸入時に検疫を受けずに日本国内に入ることもありますが、「植物」であるために、サンプリング検査を受けなければなりません。 
この検査で日本に居ない有害な虫が見つかると、一体どうなるでしょう? 
 

こわい消毒

病害虫を殺すために、薬剤で消毒(くんじょう)することになります。 
消毒といっても「ケガしたから消毒しときましょうね」 というレベルのものではありません。 
コーヒー豆の中にいる病害虫を、じわりじわりと殺す・・・ 
これは消毒というよりも殺虫と言う方が正しいですね。 

ここで主に使用される薬剤は、「臭化メチル」というもの。
一体どんな薬で、どのようにくんじょうされるのでしょうか。

<参考>
燻蒸その2 臭化メチルとは
燻蒸その3 残留基準は無し
燻蒸その4 臭化メチルに代わるもの
燻蒸その5 安全な燻蒸?
燻蒸その6 産地燻蒸の話
燻蒸ってどんなもの?
有機栽培(オーガニック)豆に害虫が見つかったら?

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