臭化メチルに代わるもの(燻蒸その4)

リン化アルミニウム

これは、民間の燻蒸(くんじょう)(消毒)業者さんに直接伺った時のお話です。 
「コーヒー豆を燻蒸する時は、まず臭化メチルを使います。それでも 病害虫が死ななかった場合は、リン化アルミニウムでもう一度燻蒸します。 だから、絶対虫は生きてないから大丈夫!」 
・・・ということでした。 

リン化アルミニウムの特徴は、空気とほぼ同じ比重なので低い所にたまらず ガス抜きがしやすい、という点です。 
また、臭化メチルに比べて食品に与える薬害も少ないので、海外では多く 使用されています。 

しかし日本では、リン化アルミニウムの方が燻蒸に時間がかかって 
しまうため、あまり積極的に使われていないようです。 
 
 

リン化アルミニウムとは?

特定毒物に指定されている殺虫剤で、取り扱い注意です。 
大気中の水分と反応してきわめて毒性の強い「リン化水素ガス」を出します。 

具体的な中毒症状については、ここでは述べませんが、 臭化メチルよりも、はるかに毒性が高いことは確かです。 

リン化アルミニウムは、燻蒸(くんじょう)によって輸入農産物を化学変化させ、 成分を変質させたり、リン酸化合物として残留したりするそうですが、 残留基準はありません。 

何だか暗い話になってきましたが・・・。 
私が申し上げたいのは、こういう過程を経てきたコーヒー豆が店頭に並んでいる可能性もあるということなのです。 

それが、燻蒸の心配が無い「オーガニック認証コーヒー」を強くお勧めする理由の1つになっています。

<参考>
燻蒸その1 コーヒー豆は植物だった
燻蒸その2 臭化メチルとは
燻蒸その3 残留基準は無し
燻蒸その5 安全な燻蒸?
燻蒸その6 産地燻蒸の話
燻蒸ってどんなもの?
有機栽培(オーガニック)豆に害虫が見つかったら?

きまめや
生豆屋(きまめや)

燻蒸による残留基準は無し(燻蒸その3)

残留しててもフリーパス?

コーヒー豆の害虫を殺すために燻蒸(くんじょう)(消毒)する場合もある、という話を以前しましたね。
その燻蒸で使用される「臭化メチル」の残留基準は、残念ながらありません。
米と小麦についてだけは、燻蒸による臭素(有毒)残留を調べるために、無機臭素の基準が決められていますが・・・。
つまりコーヒー豆に関しては基準もなく、フリーパスで市場に出回っているのが現状のようです。

どんな形で残留するか

臭化メチルは気化しやすいので「作物中には残留しません」 と言われてきました。
しかし実際には、作物中の成分である水分やタンパク質と反応してしまい、別の物質として残留することが知られています。
ここで、コーヒー生豆の成分を調べると・・・・
水分‥‥‥‥12~15%程度、
タンパク質‥11%程度、を含んでいるそうです。

つまり、燻蒸されたコーヒー豆の中にも、臭化メチルが別の物質として残っている可能性が考えられます。具体的には、臭化メチルの「臭素」部分は、有機臭素塩として「メチル」部分は、メタノールやメチル化合物として残るそうです。

ところで、先進諸外国では「臭化メチル」は
農作物に薬害が出やすく、
発ガン性疑惑があり、
さらにオゾン層を破壊する物質であるために、
使用が激減しています。

日本でも、段階的に使用を減らしてはいますが、まだまだ食物検疫の消毒では 遅れをとっているのが現状です。

<参考>
燻蒸その1 コーヒー豆は植物だった
燻蒸その2 臭化メチルとは
燻蒸その4 臭化メチルに代わるもの
燻蒸その5 安全な燻蒸?
燻蒸その6 産地燻蒸の話
燻蒸ってどんなもの?
有機栽培(オーガニック)豆に害虫が見つかったら?

きまめや
生豆屋(きまめや)

臭化メチルとは(燻蒸その2)

臭化メチルって何?

別名「メチルブロマイド」。
殺虫剤でもあり、殺菌剤でもあります。常温で気体になるので、 
燻蒸(くんじょう)(消毒)する時に使われます。 

コーヒーのような輸入農作物だけでなく、米などの穀物の燻蒸(くんじょう)、 畑地やハウス栽培の土壌燻蒸(くんじょう)剤としても使われています。 

結構すごい毒性

急性毒性評価に基づく「毒劇法」による劇物指定を受けています。 
また、発ガン性の疑いもオランダ政府から報告されています。 

臭化メチルを使って倉庫燻蒸(くんじょう)や土壌燻蒸(くんじょう)を行う作業者に、 中毒死者や次のような症状を示す患者が見られます。 
悪心、嘔吐、めまい、頭痛、肺水腫、呼吸困難、チアノーゼ、 
四肢けいれん等。 
皮膚に直接触れた場合は、灼熱感や水疱を起こす等。

こういう薬剤で消毒されたものが、実は身近にゴロゴロしている可能性があることを知り、とても残念でした。

<参考>
燻蒸その1 コーヒー豆は植物だった
燻蒸その3 残留基準は無し
燻蒸その4 臭化メチルに代わるもの
燻蒸その5 安全な燻蒸?
燻蒸その6 産地燻蒸の話
燻蒸ってどんなもの?
有機栽培(オーガニック)豆に害虫が見つかったら?

きまめや
生豆屋(きまめや)

コーヒー豆は植物だった(燻蒸その1)

コーヒー生豆は植物扱い

コーヒー豆は生きている豆(生豆)として輸入されるのはご存じでしょうか? つまり、輸入する時点では「食品」ではなくて「植物」扱いになります。 

ここで、「あっそう」と納得してはいけません。 
「食品」であれば、輸入時に検疫を受けずに日本国内に入ることもありますが、「植物」であるために、サンプリング検査を受けなければなりません。 
この検査で日本に居ない有害な虫が見つかると、一体どうなるでしょう? 
 

こわい消毒

病害虫を殺すために、薬剤で消毒(くんじょう)することになります。 
消毒といっても「ケガしたから消毒しときましょうね」 というレベルのものではありません。 
コーヒー豆の中にいる病害虫を、じわりじわりと殺す・・・ 
これは消毒というよりも殺虫と言う方が正しいですね。 

ここで主に使用される薬剤は、「臭化メチル」というもの。
一体どんな薬で、どのようにくんじょうされるのでしょうか。

<参考>
燻蒸その2 臭化メチルとは
燻蒸その3 残留基準は無し
燻蒸その4 臭化メチルに代わるもの
燻蒸その5 安全な燻蒸?
燻蒸その6 産地燻蒸の話
燻蒸ってどんなもの?
有機栽培(オーガニック)豆に害虫が見つかったら?

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生豆屋(きまめや)