ストロングコーヒーって本当にストロング?

ストロングの定義

先日、お客様から「ストロングコーヒーが好きなんですけど、どんな豆が良い?」とご相談を受けました。

「ストロング(strong)って・・・どういう意味でしょうか?」と思わ
ず聞き返してしまいました。別に、英語が分からなかった訳ではないのです。
 
実は「ストロングコーヒー」の定義には、「一般的なもの」と「”世界
のコーヒー業界”共通のもの」があります。
普通、「ストロングコーヒー」を、「強い」→「苦い・濃いコーヒー」の意味で使いますね。
でもコーヒー業界(取り引きされる過程)では、「ブラジル産のコーヒー」を意味します。つまり、「ストロング」は味わいを意味するのではなく、ブラジルを中心とした産地の違いを区別する言葉になる訳です。
 

ストロング以外は?

それでは、ブラジル以外の国でとれた豆は何と呼ばれているのでしょう?
ガテマラ、コロンビア等、ブラジル以外は全部「マイルドコーヒー」です。

だからガテマラをごく深煎りにして、苦いコーヒーを作っても、やっぱり「マイルドコーヒー」です。

「マイルドコーヒー」を「まろやか・軽いコーヒー」の意味で使っている私達には、ちょっとなじみにくいですね。 

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コーヒー香料の必要性

コーヒー飲料やコーヒーゼリー等コーヒー加工食品のほとんどに、コーヒーの「香料」が入っていると考えて良いかと思います。でも、コーヒー本来の香りがあるのに、どうして香料が必要なのでしょう?
 

香料の必要性

ご自分で豆を挽いて抽出される方ならご存じかと思いますが、コーヒー本来の香りはとても繊細です。挽いた瞬間に半分の香りは飛ぶと言われ、挽いた後は時間の経過とともに香りがどんどん消えていきます。
まず、こんなにデリケートな香りが、加工食品として長持ちするはずがありませんね。

さらにコーヒー加工食品は流通経路が長い上に、長期間店に陳列されることになります。つまり、腐らないように殺菌が必要になります。殺菌は加熱殺菌が普通ですが、その加熱によってさらにコーヒーの香りが飛び、独特の臭いがついてしまうそうです。これを「香料」で補う必要があるわけです。

ここで「香料」を添加しないで販売することも可能ですが、味が悪くなるので売れません。売れないものをメーカー側が作る訳ないですね。
 

なぜ一括表示?

コーヒー本来の香りは、数百種類の化学物質から構成されていて、未だに解明されていない成分もあると言われています。

この複雑な香りを真似して「香料」を作るとなると、ただ一種類の成分で作ることはできません。数十ないし百数十種の合成香料を選んで調合するそうです。

そうなってくると、使用した香料すべてを表記するのは殆ど不可能になります。それで一括表示をして「香料」だけで良いですよ、ということになっているのです。

でも一括表示をしていると、許可されていない香料が使われていても全然消費者には分からないですね。香料から配合内容を調べることは無理ですし、問い合わせてみても企業秘密の壁でよく分からないのが現状です。

コーヒー本来の香り。
その命は短く、はかなく。そして決して真似の出来ないものだから、私達は魅了されるのかもしれません。

<参考>
コーヒークリームの話
コーヒークリーム(フレッシュ)の実態
カフェオレの話(コーヒー牛乳の着色)

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コーヒー酒の作り方

材料と作り方

コーヒーとお酒? 別々に飲んだ方が美味しいのでは?
・・・と考えたのは私だけでしょうか。
でも、このコーヒー酒。焙煎したての豆で作ると、香り高くてとっても美味しいそうです。コーヒーとお酒が好きな方、試してみてはいかがでしょう?

< 材料 >
(1)焙煎したてのコーヒー豆 100g(焙煎豆のまま)
(2)ホワイトリカー  1.8リットル
(3)好みで氷砂糖100g~200g

< 作り方>
清潔な容器にコーヒー豆とホワイトリカーを入れます。3日~3週間ほどで飲み頃になります。

注意事項

(1)コーヒー豆について
焙煎後3日以内程度の、深煎りでないコーヒー豆が良いそうです。深煎りを使うと、アルコールはしっかりとコーヒーを抽出するため、苦すぎてしまうとか。 あと、深煎り豆の表面に出てくる油分も気になるかもしれないですね。

(2)ホワイトリカー(35度 甲類焼酎)について
廃糖蜜から作った粗留アルコールを輸入・精製したもの。薬局で売られている消毒用エチルアルコールと同じですが、消毒用よりもアルコール度が低い(35度)です。
・・・え?! 消毒用アルコールと同じ?ちょっとビックリしました。ウチの梅酒も消毒用アルコールと仲間だったのか、と思うと複雑な心境です。
ちなみに、ウオッカやブランデーを使ってもOKです。

(3)氷砂糖について
入れなくてもOKです。あとで甘さを調節しながら入れるのも良いですね。

(4)作り方について
豆を漬けておく時間が3日~3週間と書きましたが、漬けたままにしておくのも良いそうです。ただ、長く漬けるほど味が濃くなってきて、雑味も出てくるという情報もあります。
その辺は、味見をしながら適当に調節していただければと思います。

よかったら、コーヒー酒の楽しみ方もご覧下さい。

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驚異!インスタントコーヒー再利用

先日の朝日新聞で、インスタントコーヒー最大手が在庫品を溶かし、原材料として再利用していることが取り上げられていました。
未開封で賞味期限内(3年間)の製品をお湯で戻し、新しいコーヒー抽出液に混ぜて再利用しているとか。

安全面では問題無い、とのことですが、新品だと思っている消費者にとってはかなりショックではないでしょうか。

この再利用が始まったのが60年代後半からということですから、今までよくバレなかったなぁ、という意味でも驚きです。
 

在庫品を捨てずに、素晴らしい(?)技術で再利用しよう!という心意気は見事です。無駄が無くて良いと思います。ただ、再利用していることを消費者に知らせないのはやっぱりいけないと思います。
「新品」と「新品同様」では、全く意味が異なりますよね。
 

しかし、お湯で溶き直すというのがちょっと・・・。
いかにも不味くなる製法のような気がします。
たとえば、そのまま熱風で消毒してから再利用した方がまだ良いのでは?
と思いました。こんな心配、大きなお世話ですね。

<参考>
インスタントコーヒーで胸焼け?

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カフェラテの話

カフェラテはエスプレッソ牛乳。

カフェ・オレとの違い

カフェオレとコーヒー牛乳の話の中で、「カフェオレ」は「コーヒー牛乳のフランス版」というお話をしましたね。
それでは「カフェ・ラテ」は、どういう意味でしょう?
イタリア語で、
カフェ→ 深煎り豆で抽出したエスプレッソ
ラテ → ミルク入りの
という意味だそうです。

カフェ・オレとの大きな違いは「普通にドリップしたコーヒー」ではなく「エスプレッソ」を使う所のようです。ですから「エスプレッソ牛乳」という呼び名が、ピッタリですね。

カプチーノとは?

よく似たもので「カプチーノ」もあります。
これは、「エスプレッソ牛乳」の上にふんわりと泡立てた牛乳をのせたものです。
その名前の由来は、「泡の形がイタリアのカプチン修道士がかぶる頭巾に似ているから」とか、「エスプレッソとミルクの混ざった色が、カプチン修道士の修道服の色と似ているから」と言った説があるようです。

ちなみに日本で命名されているカフェラテやカプチーノは、作る人(店)によって全然別物になっているようですね。調べれば調べるほど、頭が混乱してきました。
まぁ、イタリアの家庭で毎朝のように作られているものですから、家によっても味が違うのは当然ですね。日本の味噌汁も、家によって作り方や味わいが全然違いますし。

ということで、上記の区分はあくまで参考までに・・・。

追記(2020年4月16日)
エスプレッソマシンに付属しているスチームワンドでミルクを温めると、ミルクに泡が入りやすいです。ミルクを小鍋で温めるよりもクリーミーになるので、店によってはラテアートもできるのかなと思いました。

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カフェオレとコーヒー牛乳の話

ミルクとコーヒー、同時に注ぐのは本場っぽいけど大変。

カフェオレの意味

フランス語で、
カフェ → 深煎り豆(フレンチロースト)で抽出したコーヒー
オ・レ → ミルク入りの
という意味だそうです。
まぁ、コーヒー牛乳のフランス語版といった所でしょうか。

正式な飲み方は、コーヒーと牛乳を別々のポットに入れて、飲む前にカップに合わせるそうです。 もちろん、コーヒーが入っているカップに牛乳を注いでも、味に変わりはありません。
コーヒーと牛乳の割合は、半々という意見もあれば、1/3コーヒー、2/3牛乳、という意見もあり、この辺は好みの問題と解釈して良さそうです。

コーヒー牛乳の着色料

ところで、コーヒー牛乳といえば・・・・。
やけに茶色いコーヒー牛乳を、良く見かけますね。そのコーヒー色を演出するために使われる着色料は、カラメル色素が代表的です。
カラメル色素は、糖類から作られますが、製造方法によって4タイプに分けられます。
加熱処理だけのカラメル色素は1タイプだけで、それ以外は化学物質を加えて熱処理するため、毒性の疑いがあります。
具体的には、亜硫酸やアンモニウム化合物などの化学物質です。どれを加えたかで、危険度も違ってくるそうですが、表示はすべて「カラメル色素」。これじゃあ、判断に困りますね。
私はてっきりプリンのカラメルを作る時のように、糖分を加熱しているだけだとばかり思っていましたが・・・大違いでした。

しかし、新鮮な深煎り豆でいれたコーヒー牛乳(カフェオレ)の味を知ってしまうと、市販のコーヒー牛乳が飲めなくなりますね。
子供の頃は、ビン入りコーヒー牛乳が好きだったのですが・・・。

<参考>
コーヒークリームの話
コーヒー香料の必要性
コーヒークリーム(フレッシュ)の実態

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薄いコーヒーに合う豆

本来のアメリカンじゃダメ

薄いコーヒーの代名詞でもある「アメリカンコーヒー」は、浅めの焙煎豆 をたっぷりのお湯でいれたコーヒーのことですが・・・。
コーヒーを薄めて飲むなら、むしろ深めの焙煎豆を使った方がずっと美味しく出来上がります。だから、お客様から「薄いコーヒーが好きだけど、どの豆が良い?」と聞かれれば、「やや深めの焙煎」または「深煎り」をおすすめします。

そして、たっぷりのお湯で抽出するのではなく、定量で抽出してからお湯で割るのが美味しい薄いコーヒーの条件になります。
※詳細は、「お湯割り一つ!」をご覧下さい。

もし浅めの焙煎豆を薄めると・・・

日本はアメリカと違って、酸味の出やすい軟水が主流です。この軟水をたっぷり使って、酸味の強い「浅めの焙煎豆」を抽出するとどうなるでしょう?
本場アメリカで飲むよりもずっと酸味が強く出る上に、お湯をたっぷり入れるため浅煎り豆の「えぐみ」や「渋み」が出てきます。せっかく良質な豆を使っても、美味しくない「薄いコーヒー」になったら残念ですね。
そういう訳で、日本で浅めの焙煎豆を美味しく飲むなら、やはり粗めに挽いて普通~濃いめに抽出するのがおすすめです。
そして、日本の軟水で「薄いコーヒー」を入れるなら、迷わず「やや深め~深煎り豆」を選ぶようにしましょう。

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キリマンジャロコーヒーの実体

Kilimanjaro=キリマンジャロ=キリマ(山)+ンジャロ(名前)=「ンジャロ山」
Kilimanjaro=キリマンジャロ=キリマ(山)+ンジャロ(名前)=「ンジャロ山」の意味。
このンジャロ山で採れたコーヒー豆だけがキリマンジャロと呼べるはずなのに、日本ではなぜか・・・

奇妙な現象

キリマンジャロは、赤道直下にありながら万年雪に覆われている山の名前(ンジャロ山)で、タンザニアという国にあります。

そしてキリマンジャロと呼ばれる豆は、国際的にはキリマンジャロ地区でとれたものに限られます。
でも何故か日本だけは、タンザニア全土(一部地域を除く)の豆をすべて「キリマンジャロ」と呼ぶことができます。
その結果、実際に輸入されているキリマンジャロの何倍、何十倍ものキリマンジャロ(偽)が日本で販売されているという奇妙な現象が起きています。
 

日本は変

なぜそんなことが起きているのでしょう?
理由は簡単。「キリマンジャロ」という名前を付けると売れるからです。
同じ豆でも「タンザニア」と名付けると全然売れないから「キリマンジャロ」って呼んでも良いよーってことになったとか。

この奇妙な現象を、富士山の湧き水でたとえてみましょう。
富士山の湧き水を「富士の名水」と名付けて売ったとします。
あまりにもよく売れるので、日本中の水を全部「富士の名水」と呼んでもいいよ、と決めました。

・・・そんなバカな! と言いたくなりますね。
そう、キリマンジャロ地区の人々も、「そんなバカな!」って言っているそうです。

もちろん、こんな決まりを作ったのは日本だけ。
欧米の人々が首をかしげてしまうのは当然かもしれませんね。

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コーヒーの「コク」の話

「コク」を考える

よくお客様から「コクのあるコーヒーってどれ?」と聞かれます。
コク・・・はコーヒーの味わいの中でも重要視されるポイントの一つですね。でも実は「コク」というのは、皆さん共通の感覚ではないのです。 だから、お答えするときにちょっと困ってしまうこともあります。

「苦い」「酸っぱい」は、ほとんど共通の感覚といっても過言では無いでしょう。
例えば思いっきり「深煎り」の豆で「酸っぱい!」という人は居ないはずです。なぜなら、深煎りになるほど酸味が消えていくからです。

でも「コク」は違います。浅めの焙煎で「コク」と感じる人と、深めの焙煎で「コク」と感じる人と、両極端です。
これはもう、どっちが正解?ということではなくて、飲む人の感覚の問題になります。例えば深煎りの「コク」が好きな人に、浅めの焙煎の「コク」をいくら強調しても、全く理解できない場合がよくあります。

自分の好きな「コク」を見つける

とりあえず、同じ種類の豆で2種類の焙煎度合いを試してみると良くわかります。 当店の豆だと「きまめやブレンド」&「きまめやブレンド深煎り」、「コロンビア」&「コロンビア深煎り」等です。
これらを比較すれば、どちらが「コク」を感じるかだいたい分かります。自宅焙煎の方だったら、もっと色々な焙煎度合いで試せますね。

次に、コーヒーの濃度も多少影響してきます。どうも濃くいれた方が「コク」を感じる、という人が多いようです。「濃く(こく)」と「コク」で似ているから、という訳ではありませんが・・・。

あと、豆の挽き加減についても、大きく好みが分かれます。
粗く挽いて多めに豆を使うことで引き出す「コク」と、細かく挽くことで引き出す「コク」。 同じコクでも全然違ってきます。
ちょっと意識して、自分好みの「コク」探してみてはいかがでしょうか。

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焙煎日と賞味期限

皆さんにとって「(飲める)コーヒー」とは、どんなものでしょう?
色が黒ければコーヒー、苦ければコーヒーという人もいれば、
焙煎してから1週間以内のものだけがコーヒー、
挽きたてを抽出してから5分以内のものだけがコーヒー、オーガニックのものだけがコーヒーという人まで様々です。
今日は、こだわりの一つ「鮮度」に関するお話です。

賞味期限って?

当店の焙煎豆を通信販売でお買いあげいただくと、焙煎日(発送日)と保存方法が書いてある紙が同梱されてきます。そこには、賞味期限は焙煎後6ヶ月間とも書かれています。
この賞味期限とは品質保持期限のことで「ちゃんと保存方法に従ってくれれば十分保存できますよ」ということを意味しています。

ただ、コーヒーを美味しく飲める期限かどうかは、全く別の問題になります。「美味しさの期限」は、飲む人の価値観によって決まるからです。その判断材料の一つとして、「焙煎日」がとても大事になってくるのです。

でも、すでに焙煎してある豆を購入すると、焙煎日の表示義務が無いため「いつ焙煎したか分からない」という場合が殆ど。これじゃあ、どのくらい古いのか分からないですね。
自家焙煎のお店で買うなら「いつ焙煎したの?」と思い切って聞いてみましょう。良心的な店ならば正直に教えてくれるかも知れません。

おすすめの飲み頃

店長おすすめの飲み頃は、以前お話しした通り「焙煎直後~翌々日」くらい。そこから1~2週間くらいかけて味の変化を楽しむのもまた良いですね。
※詳しくは「コーヒーの飲み頃」からご覧ください。

ちなみに「当店の豆を半年冷凍保存した豆」と「他店の焼きたて豆」なら、どっちが良い? と聞かれれば、迷わず「当店の冷凍豆!」と元気に答えるでしょう。
自分の豆を信頼しきっている店長は、殆ど親ばか状態かも知れませんね。
※でも「あんしん・おいしい・新鮮」にこだわるなら、当店の豆達は絶対にオススメです!

当店のように味わいに直接影響してくる「鮮度」や「安全性」「欠点豆の除去」にこだわるのも一つ。
徹底的に低価格にこだわるのも一つ。
十人十色、色々な好みがあって良いと思います。

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