コーヒーメーカーvsハンドドリップ

安定した味わいが魅力のコーヒーメーカー

コーヒーメーカーは、スイッチひとつで「いつものコーヒー」を作ってくれる優れもの。忙しい朝には、とっても助かりますね。
さて、ここで問題。
機械任せのコーヒーメーカーでは「美味しいコーヒー」を入れることができないのでしょうか?

スイッチひとつで作れるということは、湯温や蒸らし、抽出速度などを工夫することができません。
多少工夫できる機種でも、手でドリップ(ハンドドリップ)するのに比べたら融通がきかないと言えるでしょう。
でもそれが「美味しくないか?」というと、別の問題になります。

まず飲む人にとっての「美味しい」が何を意味するかによって、違ってきます。
「いつでも熱々コーヒー」が飲みたい方なら、コーヒーメーカーで保温できるのが一番ですね。
また「このコーヒーメーカーの味わいがお気に入りで、毎回同じ味わいを楽しみたい」という方にもおすすめです。
珈琲豆と水の分量さえ間違えなければ、「いつものコーヒー」を気軽に飲めるのが魅力ですね。

ハンドドリップだからできること

一方、ハンドドリップだと下記のようなことができます。
(1)焼きたての珈琲豆を購入(または自家焙煎)し、日を追って味わいの変化を楽しめる。
(2)その日の気分や体調、一緒に食べるもの等に合わせて、挽き加減~抽出速度まで変えることができる。
(3)毎日コーヒー豆の鮮度を確かめることができる等々。

普段、上記のようなことを気にしながら抽出している方は「そうそう!」と共感して下さるかと思います。
でも全然気にしていない方は「え~、本当にそんなに違うの?」と疑われるかも知れませんね。

例えば・・・
当店では毎朝&午後の珈琲タイムに、スタッフ達が日替わりで珈琲を入れてくれます。
そのとき、全く同じ豆・器具を使って、別々のスタッフに入れてもらうことがあるのですが・・・予想通り全然違う味わいになります。

挽き加減や豆の量、湯温や湯量、蒸らし時間も同じなのに、一体何が違うのでしょう?
答えは「抽出速度」です。
Aさんは、ゆっくりじっくりとお湯を注ぐので「コクのあるまったりした余韻のある味わい」を作ってくれます。
一方、Bさんは速く注ぐので「あっさりした味わいで、後味スッキリの味わい」を作ってくれます。
どちらも香り豊かで美味しいのですが、抽出速度だけで全然違う味わいになるのが面白いですね。

ちなみに個人的には、コーヒータイムに飲む時はAさんの「コクのある味わい」が好きで、食後に飲む時はBさんの「後味あっさりの味わい」が好きです。
・・・というように、ちょっとした違いで性質の異なる味わいに変わるのがハンドドリップの特徴と言えるでしょう。

一度違いを知ると戻れない

またハンドドリップだと、珈琲の鮮度がよく分かります。
蒸らした時に、どのくらい膨らむか?毎日挽いている方なら、余計はっきりと違いが分かるでしょう。その鮮度によって味わいが違うことを知ると、抽出直前に挽かないと気が済まなくなってしまうかも知れません。
そうなると、私のように旅行にもミル持参・・・という面倒なことになりますので、鮮度が味わいに与える影響については知らない方が良い場合もあります。
これは「ペーパーフィルターの臭いを知ってしまうと、気になって仕方がない!」と同じですね。

でも「新鮮な豆の挽きたての味わい」を、ぜひ皆さまに知って頂きたい!という気持ちは、いつも持っております。それほど、味わいの違いは明らかなので・・・。
ミルが買えない、挽くのが面倒臭い等、いろいろ事情はあるかと思いますが、「とっておきのコーヒータイム」には是非!挽きたての味わいを試して頂きたいと思います。

<参考>
蒸らしで豆を知る
実験!蒸らしの極意
コーヒーの香りと炭酸ガスの関係

きまめや
生豆屋(きまめや)