ネル再考

布事情

茶こし布ドリップ法で、以前は普通のソフトデニムを使っていました。でもお客様から「コーヒーが有機なんだから、布も有機にして!」とご要望をいただき、考え直すことにしました。

確かにそうですね。ところで普通の布と有機栽培製の布では、どのくらい違うのでしょうか。
有機栽培の綿を扱う会社の方にお話を伺ったところ、綿の収穫から布地になるまで、色々と化学的な処理をされているということでした。
逆に言うと、有機栽培で育てられた綿であっても加工段階で化学的処理をされている場合もよくある、ということです。

そこで、有機栽培で育てられ、かつ化学的処理を施されていない布地のサンプルを何枚かいただき、味を見てみました。

布が使われてきた理由

色々試した結果、「ネル」と「デニム」がほとんど同じ「コクのある、まろやかな味わい」になることが分かりました。保水性があって、よく蒸れるためだと思われます。
#まろやかさがアップしているのは、有機栽培のせいでしょうか。

で。どちらが安価かというと・・・意外にも「ネル」の方でした。
#一般的には、デニムの方が入手しやすいです。

これは、有機栽培だと希少価値が高く、加工料よりも綿の使用量がそのまま価格に反映してくるためです。
「ネル」は少ない綿量でも「起毛」を利用して保水性を維持することができるので、より安価になっている訳です。

昔から、貴重な綿を最小限に使って、保温性を高めるために起毛加工されてきた「ネル」。
保温性だけでなく「保水性」にも着目し、コーヒー分野でも活躍してきた理由が、ようやく理解できました。

<参考>
有機栽培製ネルのすすめ

きまめや
生豆屋(きまめや)

正統派ネルの保管方法

ネルドリップ
一般的なネルドリップ

今日は、本格ネルドリップにこだわる喫茶店の店長さんにご協力いただき、正統派のネル保管方法をご紹介したいと思います。

毎日煮て、冷蔵庫へ

「お店(喫茶)では、使用のたびにお湯洗い、水洗いをしています。使用前は、よく絞るだけでなく、タオルなどで挟んでたたき、水分をよく取り除きます。」

「閉店後は、ネルを20分程煮て、冷蔵庫で水につけて保存しています。まめに煮ると、衛生面だけでなく、目詰まりしにくいような気がします。」

なるほど。毎日閉店後に煮沸しているのはポイントですね。
お手入れや保管が大変なので、ネルを使っている喫茶店は意外と少ないです。毎日閉店後に煮沸しているところはさらに少ないのはないでしょうか。

茶こし布ドリップの「布」も、たまに煮沸してあげるとより長持ちするかもしれないですね。

冷凍保存も・・・

「自宅では、よく洗って、絞ったらジッパー付きの袋に入れて冷凍しています。使うときは、水かお湯をかけて解凍してから使っています。今のところ、冷凍庫臭くもならずに快適です。」

これは、冷蔵庫にいれて水を取り替える必要もなく、たまに使う方にも便利ですね!
干すよりも、冷凍庫へ入れた方が都合が良い方にもおすすめです。
#冷凍臭が付かないように、しっかりと密閉しましょう。

自分に合った方法を選ぶ

ネル(布)でドリップすると、ペーパー臭が無く、コクが出て美味しくできあがります。おまけに環境にも優しい!

保管方法も、今までご紹介した「干す」「水に浸す」「冷凍する」と色々な方法があります。
ぜひ自分にピッタリの保管方法を選んで、気軽にお試しいただければと思います。

初めて使う時は、布についたコーヒー粉を洗い落とす時に抵抗を感じるかもしれません。
でも、慣れれば大した手間ではありません。

落としたコーヒー粉は、よく乾燥させると脱臭剤にもなります。良かったらご活用下さい。

きまめや
生豆屋(きまめや)