あけましておめでとうございます♪

旧年中は大変お世話になり、誠にありがとうございました。
本年もどうぞよろしくお願い致します[E:shine]
なお、新年の発送業務は1月7日から順次行います。
ご注文のお返事メールも1月7日以降となりますので、予めご了承下さい・・・と言いつつ、年末年始休業中も時間を見つけてはお客様にご注文のお返事メールを差し上げております^^;
現時点(1月1日午後11時30分)でご注文いただきますと、最短で1月8日または9日発送となる予定ですので、どうぞよろしくお願い致します。
なぜ日付がはっきり決められないかというと・・・焙煎量や生豆量によってその日の発送件数が異なるため、全部ご注文内容を書き出さないと決められないのでした。
近日中に書き出したいと思いますので、恐れ入りますが今しばらくお待ち下さい。
さて。年末はお店の手伝いで大忙し!でしたが、お正月はのんび~り、ゆっく~りと過ごしております。
コタツ&みかんの組み合わせは、やっぱり最高ですね(*^^*)
でも、あんまりのんびりすると風邪引いちゃうので、適当に緊張感を持ちつつ楽しみたいと思います。緊張感・・・とりあえず、明日は買い物したりお友達と会ったり忙しいから大丈夫かな[E:shine]

きまめや
生豆屋(きまめや)

プランジャーポット(フレンチプレス)を買う前に必見

プランジャー(フレンチプレス)

ペーパーフィルターが売って無い!

生豆屋姉妹店があるニュージーランドでは、ペーパードリップして抽出するコーヒーはあまり見かけません。カフェでも、家で入れる時も。
そのため、ペーパフィルターやドリッパー、コーヒーサーバーも滅多に売っていないです。
日本ならスーパーやコンビニ等どこでも手に入りますが、そういう習慣自体が無いので仕方ないですね。

それでは、家でどうやってコーヒーを入れるのでしょう?
一番よく見かけるのは、プランジャーポットです。日本でもポピュラーなこの器具はフレンチプレス、ティーサーバー、メリオール、カフェプレス等と呼ばれていますが、これで紅茶を作る方も多いのではないでしょうか。

入れ方は簡単。ポットの中にコーヒー粉を入れ、その上からお湯を注ぎ抽出。プランジャーと呼ばれる軸(先端には金属やナイロン製のフィルター付き)を押し下げて、上澄み部分をカップに移せば出来上がり。
ペーパーフィルターも不要なので、環境にも優しいコーヒーと言えるでしょう。

とりあえず「郷に入っては郷に従え」ということで。私も早速プランジャーポットを極めることにしました。

プランジャーポットを買おうか迷ったら?

いつもペーパーやネルでドリップしていると、濁ったコーヒーに出会うことはあまり無いですね。
でも、このプランジャーポットで入れると見事に濁りますし、少しトロッとした感じのコクも楽しめます。
もちろん豆の挽き加減や抽出時間によって濁り方や、味の濃さも調節できますので、その日の気分に合わせてみるのも良いですね。

ただお茶を飲む習慣がある日本人にとって、この「濁りコーヒー」は賛否が分かれるところではないでしょうか?
もしプランジャーポットに興味があるけど口に合うかどうか不安な場合は、家で同じような味わいを試してみてから購入しましょう。
下記の方法で簡単にできますので、よかったらお試し下さい。

茶こし抽出法(濁りコーヒーの作り方)

【1】 コーヒーサーバ(または大きめのマグカップ)に、コーヒー粉1人前(10~12g程度)を入れて、その上から120~150cc程度のお湯を注ぎフタをする。

【2】 お好みの時間(30秒~3分程度)置いてから、目の細かい大きめの茶こしでゆっくり濾しながらカップに注ぐ。もし茶こしにコーヒーかすが一杯になってしまったら、一度コーヒーかすを捨てて、残りのコーヒー液を濾す。

—–
以上です。
この方法はプランジャーでギュッと押さない(圧力がかからない)ので、比較的すっきりした味わいに仕上がります。
むしろこっちの方がプランジャーポットより美味しいかも?という(私の)意見もありますが、茶こしの大きさの都合上一人分がベストで二人分以上はちょっと大変かな、というのが辛いところですね。
でも、お試しいただく価値は十分あると思いますので、ぜひどうぞ。

私もすっかりプランジャーポットに慣れて、今ではドリップと半々くらいで楽しんでいます。
でも友人(特に日本人)が来た時は、無難にペーパーかネルドリップコーヒーをお出ししています。
やっぱり日本人は茶の文化ですからね。
プランジャーポット(フレンチプレス)

きまめや
生豆屋(きまめや)

おいしいハウスブレンドを作ろう!

ハウスブレンドの作り方

一昔前のはなし

一昔前は、ハウスブレンドといえばその店の看板ブレンドで、「店側が沢山売りたいブレンド」の代名詞でした。
沢山売りたい・・・というのは、仕入れの都合だったり、焙煎の都合だったり、安い豆(ロブスタ種)を混ぜて利幅が大きくしたり等々。
お客様側も、看板ブレンドの方が回転が速くて新鮮な豆が手に入りやすい、おすすめブレンドだから安心できる、お得に買える、等の利点がありました。
もちろん、当時から看板ブレンドの名にふさわしい「とっておきブレンド」として頑張っているお店もありましたが、主流では無かったと記憶しています。

でも今はどうでしょう?むしろ「看板ブレンドこそ最高のものを!」という傾向があるのではないでしょうか。
個性を前面に出して頑張っているお店が、生き残っていける時代になったのかも知れませんね。
もちろん、当店のブレンド達も店長お勧めの「最高のもの」になっています。

ストレートとブレンド、どっちが良い?

とはいっても、ストレート豆は相変わらず根強い人気があります。特に自宅で焙煎される方は、ストレートで味わいの違いを楽しむ方が多いようです。
一方、焙煎済みの豆を買う方からは「ストレートよりもブレンドの方が安心して飲める」というご意見をよく伺います。理由は「味わいのバランスがとれているから」「複雑な香味を楽しめるから」「そのお店の一押しだから」「選ぶのが面倒だから」等々。
確かに、お気に入りのお店で美味しいハウスブレンドが見つかれば、それが一番安心ですね。

美味しいハウスブレンドを作ろう!

でも、もしピッタリの味わいが見つからなかったら・・・
自分のお家ブレンド(ハウスブレンド)を作ってみてはいかがでしょう?
「興味はあるけど、ブレンドの方法がよく分からない」という方のために、下記の通り簡単なガイドを書いておきますね。よかったらお試し下さい。

【1】遠回りしても「自分好みのオリジナルブレンド」を作りたい場合
(1)お気に入りのお店で、片っ端からストレート豆を試してみる。
(2)好きな順番から2~4種類ほど選んで、色々な配合を試してみる。

最初に配合する時は、一番好きだった豆の配合を一番多くしてみるのがポイントです。
あと少し異なった焙煎加減のものを選ぶと「もうちょっと苦みが欲しい」「もうちょっと酸味が欲しい」という時に、配合を変えるだけで調整ができて楽しいです。また、その日の気分や抽出方法で少しずつブレンドの配合を工夫しても面白いですね。
これは「大好きな豆だけでブレンドしたら、ぜったい美味しいブレンドができる!」法則(勝手に命名)によるブレンド方法です。

【2】簡単に「自分好みのブレンド」を作りたい場合
(1)ブレンドにこだわったお店で一押しのハウスブレンドを買ってみる。
(2)足らない味わいや香りを、他の豆で補う。例えば、苦みが少し足らないなら深煎り豆を1~2割増やしてみる等。
焙煎加減の違うブレンド2種を好みの配合でさらにブレンドしてみても、新しい発見があると思います。

この方法は「お店のこだわりブレンドだったら、よっぽどのことが無い限り失敗は無いだろう」・・・という前提でアレンジするお手軽ブレンドです。
もちろん「こだわりブレンド」を作る店によってこだわる部分が違うので、事前に確認する必要がありますね。

例えば当店の場合なら、無農薬・有機栽培だけを使ったり、ストレート豆の状態で最適な焙煎加減で仕上げてからブレンドしたり、発送日焙煎で鮮度にこだわったり・・・等々、こだわりのポイントがいくつかあります。
他のお店でも、配合豆や焙煎日、おすすめのポイントを聞いてみると、色々教えてくれるのではないでしょうか。

生豆屋のハウスブレンド事情

当店のハウスブレンド「きまめやブレンド」も、もちろん「こだわったブレンド」の一つです。
美味しいオーガニック豆(有機無農薬豆)だけを使用し、それぞれ適正に焙煎した後にブレンド(4種類)、さらに発送日焙煎を徹底しています。
もう販売する側からすると「本当に面倒臭い!」ブレンドになっています。そのため、大量にご注文いただくとスタッフ達の負担が大きくなるので、あまり今週のおすすめ(特価)になりません。
きまめやブレンドを気に入って下さっているお客様には大変申し訳ございませんが・・・。

その他、きまめやブレンド深煎りほろまろさわやかブレンドヨーロピアンブレンド長寿ブレンドが当店のオリジナルブレンドになります。どれも個性的で、こだわりの逸品ですので、この機会に是非お試し下さい。

きまめや
生豆屋(きまめや)

食後にコーヒーが飲みたくなる理由

以前お話ししたようにコーヒーは「口臭予防効果」があるせいか、食後に飲むと口の中がサッパリします。
特に、ミルクやクリームを入れないで飲むとサッパリ感が増すような気がします。

また食事と一緒にお酒を飲んだ場合は、最後にコーヒーを飲むと効果的です。
コーヒーに含まれるカフェインには、肝臓でのアルコール分解を促す働きがあり、さらに利尿作用もあるので、アルコール分解後の老廃物も体外へ排出されやすくなるそうです。
詳しくは「アルコール性肝硬変とコーヒー」からご覧下さい。

その他「もう一品欲しい時に、コーヒーを飲むと食欲が落ち着く」という意見や、お腹一杯の時に「これで食べ終わり!」と締めくくるのにも役立つという意見もよく伺います。

また「食後には甘いモノを食べないと気が済まない!」という方は、お菓子の甘味を引き立たせるために苦味のあるコーヒーを選ぶことも多いです。
食後のコーヒーの理由は、本当に色々とありますね。

<参考>
コーヒーのダイエット効果(血糖値を抑える)
コーヒーと糖尿病 その1(色々な研究結果)
コーヒーと糖尿病 その2(予防と飲むときの注意)
コーヒーと糖尿病 その3(発症後に楽しむ方法)

きまめや
生豆屋(きまめや)

エスプレッソと栄養ドリンク

イタリア人はなぜ立ち飲みしてまでエスプレッソを飲みたいのでしょう?
その理由を探るべく・・・まずは日本で「立ち飲みエスプレッソ」に似ているものを探してみました。

「立ち飲みしてまで飲みたい!」・・・その理由は?

理由は、単に「カウンターで、お気に入りのバリスタさんと楽しい会話をしたい」だけかも知れません。他にも、「その方が美味しいから」とか「立ち飲みだと安いから」など、理由は色々考えられます。
しかし、今日はあえて「エスプレッソの効能」という観点から考察したいと思います。

エスプレッソに似たもの・・・例えば「栄養ドリンク」はどうでしょう?バールで「クイッ」と飲むエスプレッソは、効能だけで考えると栄養ドリンクに近いかも知れません。
※もちろん、味わいや飲むときの雰囲気等は全然違いますので、あくまで体内に吸収される際の効能・・・ということでご了承下さい。

—-
まず「栄養ドリンク」に含まれている「カフェイン」について考えてみましょう。
覚醒作用がある「無水カフェイン(人工的に精製されたもの)」は、多いものではコーヒー数杯分も含まれている場合があるそうです。
さらに、糖分が加わって血糖値が上がり「元気が出る」「疲労回復」となります。
#もちろんビタミンや生薬等の有効成分も入っていますが、カフェインほどの即効性は期待できないそうです。

次に「エスプレッソ」の「カフェイン」を考えてみましょう。
エスプレッソのカフェインは、ドリップしたコーヒーよりも高濃度になりますが、少量しか飲まないので総量はむしろ少ないかも知れません。
しかし高濃度カフェイン&砂糖といった組み合わせで、血糖値が上がりやすくなり、結果として栄養ドリンクに似た効果が得られるのでは?
・・・と推測してみました。
ちょっと飲んで元気を出したい時、疲れた時に立ち寄って飲みたいエスプレッソは、まさに天然の栄養ドリンクなのかなと。

もちろん少量で、かつ天然の成分なので、栄養ドリンクよりもずっと緩やかな効能だと思います。
その分、効能が切れた時の反動も緩やかなので、むしろ安心かも知れませんね。

ちなみに「エスプレッソは深煎り豆を使うから、カフェインが少なくなる」という意見もありますが、実際には焙煎加減による違いは殆どありません。その点については、下記ページからご覧下さい。
深煎りと浅煎り、カフェイン量は同じ?」

食後のエスプレッソは「コーヒー」

日本で「立ち飲み」は殆ど見かけませんが、「立ち食いソバ」は駅でよく見かけます。 でもソバは、お腹が空いたから必要に迫られて食べるはず。 では、エスプレッソの必要性は? ・・・そんな素朴な疑問から強引に理由を探してみましたが、いかがでしたでしょうか。
ちなみに、食後に飲むエスプレッソは当然ながら「栄養ドリンク」の役割は果たしていないと思われます。 食後で十分栄養が取れているので、また別の需要がある訳ですね。 これは、私達が「食後にコーヒーを飲みたい!」と思うのと、同じ感覚だと思いました。イタリアは、コーヒー=エスプレッソですからね。

きまめや
生豆屋(きまめや)

エスプレッソ・レポート(7)「日本人とエスプレッソ」

そもそもエスプレッソって日本人好み?

「どちらかと言えば日本人好みではない」と思います。特にカフェで提供するには不向きかと・・・。
もちろん日本人にも色々な人が居るので、ひとくくりに言うのは適切ではありませんね。濃いコーヒーが大好きな方は、カフェでエスプレッソを注文して「すごく美味しい!」と感じるかも知れません。

でも、もし当店が豆を卸している全国のカフェ・レストラン様から「イタリアのバール形式にしようと思うけど?」とご相談いただいたら、たぶん「やめておいた方が無難です」とお答えするでしょう。
その理由は・・・

まず「一気にクィッと飲むべきエスプレッソ」は、ゆっくりまったりとお茶を飲むのが好きな日本人には合わないと思います。
その証拠に、日本ではセルフサービスのカフェでも「一気に飲んで早々に立ち去るお客さん」は、殆ど見かけません。
これは「カフェでコーヒーを飲む」ということは、そこで休んだり、本を読んだり、同席の人と話したり・・・という目的も含まれているからではないかと思います。
その場所代金も含まれているので、同じエスプレッソ(セルフサービス)でも日本の方が高い値段に設定されているような気がしました。

かくゆう私もカフェでエスプレッソを頼むときは、一緒にカプチーノやカフェラテなどを注文しています。
もちろん研究のためでもありますが、エスプレッソだけだとすぐに飲み終わってしまい物足らない、ゆっくり飲みながら一休みしたい、といった理由もあるからです。エスプレッソは、本当に2~3口で飲み終わってしまいますからね。


濃いコーヒーは好き?キライ?

次に、コーヒーの「濃さ」が日本人に合うか?という問題です。
以前ハワイ島のコーヒー農園巡りをした時、「日本人?それなら濃い珈琲をいれますね。」と言われ続けたことがありました。
どうやら日本人は、アメリカ人と比べると「濃い珈琲が好き」な傾向があるようです。

「濃い珈琲が好きな日本人」・・・イタリアへ行くまでは、私もそう思っていました。
しかしエスプレッソの本場へ行って、もっと濃い珈琲が普通に飲まれていることを実感しました(もちろん濃くても量が少ないので、コーヒー成分量は変わらないかも知れません)。
この濃さが、果たして日本で一般的に好まれるか?ちょっと難しいと思いました。慣れれば大丈夫だと思いますが・・・。

イタリアへ行く前、ローマ在住の知人(日本人)から「深煎りじゃない豆を、できるだけ沢山持ってきて!いくらでも買うから!」と頼まれて驚いたのを覚えています。これは「ローマでドリップ用の中煎り豆が売っていないから」だそうです。
確かにどこに行ってもエスプレッソが基本なので、中煎りの(日本では普通の)ドリップコーヒーが恋しくなる訳ですね。
私もローマで毎日エスプレッソを飲み歩き、コンドミニアムでもマキネッタで入れていたので、持参したドリップコーヒーが妙に美味しく感じたのを覚えています。


ミルクと合わせて日本人好み

その日本人好みとは言い難いエスプレッソも、ミルクと合わせると急に日本人好みの味わいになります。
ミルクたっぷりのカプチーノやカフェラテは、ゆっくり飲んで冷めても味わいの変化が少ないです。つまり温かいうちに飲む必要がありません。

また濃い味わいのエスプレッソが入っていても、殆どがミルクなので大変飲みやすいです。それはコーヒーというよりも、コーヒー風味のミルクと言った方がピッタリかも知れません。
飲みやすさで言えば、ミルクとコーヒーを半々で入れるカフェオレよりも上ではないでしょうか。

そういう訳で、前回お話ししたような「エスプレッソが滅多に注文されないシアトル系カフェ」が日本に定着したのかな・・・と思った次第です。
ちなみにシアトル系カフェは、私も概ね入るのが好きです。だけど、使い捨てカップ(コップ?)だけは勘弁して欲しい、というのが正直なところ。
カプチーノやカフェラテを陶磁器のカップで飲まないなんて「信じられない!」と思ってしまう私は、保守的なのかも知れませんね。

—–
以上、たった一週間しか滞在していないので、あまり的確な考察ではなかったかも知れません。
また何か現地エスプレッソ事情等ご存知でしたら、ぜひ教えていただければ嬉しいです。どうぞよろしくお願い致します。

きまめや
生豆屋(きまめや)

エスプレッソ・レポート(6)「本場エスプレッソの味わいは?」

本場エスプレッソの味わいは・・・

「どうだったの?」ということは、まず日本のカフェ、それもエスプレッソが飲めるシアトル系カフェと比較した方が良いですね。
答えは、当たり前ですが「バールによる」です。
日本でも、美味しいカフェもあれば「あれ?」な味わいのカフェもありますね。それはローマでも全く同じだと思います。
ただ全体的な印象としては、やはり本場の方が一枚上手で「エスプレッソ」そのものの味わいを楽しめる、と感じました。

まず日本では、「ミルクたっぷり入りエスプレッソ」が基本なので、「エスプレッソ」単品で注文する人は少ないですね。店内を見回しても、小さなデミタスカップで「エスプレッソ」を飲んでいる人は殆ど見かけません(少なくとも私は見たことがありません)。

そもそも「エスプレッソ」がメニューにない場合もあり、「エスプレッソできます?」と聞くと「え?!」と動揺する店員さんもいました(某最大手シアトル系カフェにて)。
このことから、カフェの方も滅多に「エスプレッソ」単品で出さないのだろう、ということが想像できます。

一方、ローマのバールでは「コーヒー=エスプレッソ」で、客も当たり前のように「エスプレッソ」を注文します。バール内を見回しても、デミタスカップを持っている人が多く、日本のカフェとは全然違う光景でした。 バリスタさんも「エスプレッソ」の味わいに自信を持って作ってくれるので、安心して楽しむことができました。
その辺の技術や意識の違いが、「一枚上手」という印象を引き出しているのかも知れません。


自分がいれるエスプレッソと比べると?(個人的な感想)

私はコーヒー豆屋なので、どうしても「クレマの下のエスプレッソ液の味わい」を最優先でチェックしてしまいます。さらにルール違反を承知で「砂糖無し」で飲むので、私の意見はあまり参考にならないかも知れません。

ただ、今回の旅行で大収穫があったのは確かです。
それは、手前味噌で大変恐縮ですが「当店の豆でいれたエスプレッソ」より右に出る味わいは無かった、ということです。
本当にずうずうしい発言ですが、これが判ったことが一番の収穫でした。むしろこれを調べるためにイタリアへ行った、といっても過言ではありません。
帰国後、エスプレッソ用の豆をご入り用のお客様に、自信を持ってオススメすることができるようになりました。自信を持てる、ということは私にとってとても大切なことなのです。

エスプレッソの味わいを決める要素は沢山あります。それは高性能のミルだったり、立派なエスプレッソマシーン、抽出技術、厚いクレマ、素敵なデミタスカップ、お店の雰囲気、そしてバリスタさんとの楽しいお話だったり・・・。
でも「クレマの下のエスプレッソ液の味わい」だけは、コーヒー豆次第です。
豆の鮮度(焙煎後・挽いた後の経過時間)と品質が一発で判る「エスプレッソ」。ミルクで誤魔化せないからこそ、違いが分かって魅力的なのかも知れませんね。


大規模店舗の規制に守られて

ところで、「ローマにシアトル系カフェがあったか?」というと、全然ありませんでした。
シアトル系カフェのようなチェーン店は全然見あたらないし、デパート等の大規模店舗もありません。
これは、イタリアでは大規模店舗参入に対する政治的抵抗が非常に強く、小さな店舗が優遇されているから、ということでした。

観光地なのに、見慣れた店が無いなんて・・・と最初はビックリしましたが、少しずつ馴染みの店を開拓していくうちにその方が良いことに気付きました。
だから市場に人が集まるし、小さな雑貨店やバールが繁盛するし、町全体が活気付くのだな、と。
日本の商店街にしてみれば、羨ましい限りですね。
でも、なぜかマクドナルドはありました。どうしてマクドナルドだけOK??

私としては、イタリアのバールは均一化されないまま、個性的なままで居て欲しいなと思います。
世界に一つだけしかないお気に入りのバールって、良いですよね。
日本でも、そんな素敵なカフェが増えて欲しいです。

きまめや
生豆屋(きまめや)

エスプレッソ・レポート(5)「カプチーノとカフェラテの違い」

レオナルド・ダ・ヴィンチ国際空港内バールのカプチーノ

カプチーノとカフェラテの違い

ローマのバールで、エスプレッソと一緒によく注文していたのがカプチーノ。イタリア語の発音は「カップッチーノ」に近く、エスプレッソに泡立てた牛乳を注いだものです。
イタリアでコーヒーといえば、エスプレッソのこと。つまり「コーヒーに泡立て牛乳を注いだもの」という感じですね。

ちなみにエスプレッソに泡立ててない牛乳を注いだのが、カフェラテ(イタリアでの発音はカッフェラッテが近いです)。ラッテは牛乳という意味なので、まさにイタリア版「コーヒー牛乳」ですね。
カプチーノとカフェラテの違いは、ミルクを泡立てたか、泡立ててないか・・・だけでした。口当たりは、泡が無いのでさっぱりした感じになります。
なお、カフェラテがメニューに無い場合は「泡無しのカプチーノと注文すれば大丈夫!」だそうです。
※カフェラテのコーヒーがエスプレッソ→ドリップになると、カフェオレです(フランス風)。

ここでちょっとまとめてみましょう。
————-
カプチーノ =エスプレッソ+泡立てた牛乳(イタリア)
カフェラテ =エスプレッソ+牛乳(イタリア)
カフェオレ =ドリップコーヒー+牛乳(フランス)

————-

カプチーノは「朝」限定?

カプチーノは、朝に飲むものらしいです。らしい・・・と断言を避けたのは、昼でも夕方でもバールで注文できたからです。日本の某ファストフード店のように「限定!朝メニュー」ではありませんでした。

カプチーノをいつ飲むか知らなかった私は、昼夜を問わず元気に「カップッチーノ!」と注文しておりました。それがどのくらい変なことだったのか、実はよく分かっていません。

バリスタさんは全然気にしていない様子だったので、たぶん大丈夫なのかなと・・・。次イタリアへ行ったら「なぜ昼飲まないの?」と、聞いてみたいと思います。

ところで、日本のカフェで「カフェラテ」を注文すると「カプチーノでは?」と思える飲み物が出てくることがあります。
特にアメリカ出身のシアトル系コーヒー店では、カフェラテでも泡立てた牛乳を使う場合が多いですね。
その内容は、温めただけの牛乳と組み合わせたり、泡立て方が違ったりと、お店によって様々。

とりあえず「カフェラテ=コーヒー(エスプレッソ)牛乳」ですから、どれでも誤りでは無いと思います。
ただ注文する前に、出てくるコーヒーがどういうものか?予め店員さんに聞いておくと安心ですね。

きまめや
生豆屋(きまめや)

エスプレッソ・レポート(4)「クレマについて」

エスプレッソ表面に浮かぶクレマ。

クレマとは?

私達がカフェでエスプレッソを頼んだときに気にするクレマ(エスプレッソに浮かぶ泡)。その正体は、新鮮なコーヒー豆に含まれる「炭酸ガス」です。
※ドリップで蒸らす時に、新鮮なコーヒー豆だとプクッと膨らみますね?あの膨らみも、そしてコーヒーの香りも、「炭酸ガス」が関係しているのは以前お話しした通りです。

そのクレマは、
「新鮮な豆」を、
「抽出直前にパウダー状」に挽き、さらに
「適正なマシンと抽出技術」があってできる泡、と言えます。

ただし「クレマが厚い=美味」とは限りません。
高品質で新鮮な豆を使えばクレマの厚い美味しいエスプレッソができますが、低品質の豆を使えばクレマがあっても美味しさの追求は難しいです。
また最近では、古い豆でも強制的にクレマを作るエスプレッソマシンが出回っており、残念ながら美味しさの基準とは言えなくなってきているようです。

意外と薄かったクレマ

このクレマが、ローマのバールではどうなんだろう?と大変期待して行ったのですが・・・
意外にも、クレマが薄いエスプレッソを出された方が多かったです。
薄いどころか、コーヒー液が半分くらい見えているエスプレッソも。
(※クレマが厚くて美味しいエスプレッソを出すバールも、少数派ですがありましたので予めご了承下さい。)

クレマの薄さが、エスプレッソマシンの問題か、豆の鮮度の影響か、私が行った時期が悪かったのか、偶然そういうバールにばかり入ってしまったのか?・・・残念ながら、詳細は分かりません。
ただバリスタさん達は、接客態度と同様、クレマの厚さについても「全然気にしない♪」という感じだったのは確かです。

日本では「クレマが大事!」と、強制的にクレマを作る機能付きマシンまで出回っているに、ローマではあまり気にしていないのかぁ…と、少々拍子抜けしました。

日本人は見た目重視?

このとき、ふと紅茶の「ジャンピング」を思い出しました。
「紅茶を抽出する時には、茶葉がポット内で上下(ジャンピング)するのが大事!」と日本で言っているのに、本場英国では全然そんなこと気にしていなかったこと、そして「ジャンピング」と言う言葉自体、本場では使われていなかったことを。
日本では、味わいよりもむしろ「見た目」にこだわってしまう傾向があるのかも知れませんね。

ちなみに、イタリア家庭で親しまれている直火式エスプレッソメーカー(マキネッタ)では、クレマは出来ません。マシンほど圧力がかからないため、泡立たないのでした。
でも、だからと言って味わいが劣るということはありません。マシンとはまた違った、直火式エスプレッソメーカーならではの美味しさを楽しむことができます。

直火式エスプレッソメーカー・イルサ
直火式エスプレッソメーカー

ローマ滞在中、一度だけ直火式のエスプレッソをイタリア人家庭でいただく機会がありました。エスプレッソマシンとはまた違った、素朴な美味しさがとても印象的だったのを覚えています。
また、私が滞在したコンドミニアムにも3種類の直火式エスプレッソメーカーが用意されていて、さらに直火式エスプレッソ専用のガス台まであり驚きました。
小さなキッチンでも、エスプレッソ専用のガス台があるのが一般的のようです。

クレマにこだわっていないからこそ、直火式が「家庭の味わい」として愛され続けているのかな…と思いました。

きまめや
生豆屋(きまめや)

エスプレッソ・レポート(3)「鮮度と砂糖」

コーヒー豆の鮮度について

残念ながら、新鮮な豆から抽出されたエスプレッソには、あまり出会えませんでした。
持ち帰り用のコーヒー豆も、挽いた状態で販売されているのが普通でしたし、バールは沢山あっても自家焙煎店は見かけませんでした。
※単に、私が行った所が偶然そうだっただけかも知れませんので、予めご了承下さい。

「自宅でミルを使って焙煎豆を挽く、という習慣は殆ど無い」という現地情報(ローマ在住の方)もあり、もしかしたら鮮度は気にしない傾向があるのかな?と思いました。
もちろん日本でも、鮮度を全然気にしない方はいらっしゃいますね。
むしろ、気にする人の方がずっと少ないかも・・・。

ちなみに「缶コーヒー」は売っていませんでした。自動販売機も街中では見かけなかったです。
そういえば1つだけ、ヴァチカン美術館の出口付近にジュースが出てくる販売機があったような・・・でも、コーヒー類は無かったです。
やはり「コーヒー=エスプレッソ」の国なんだなぁ、と思いました。

エスプレッソと砂糖の関係

「新鮮かどうか」は、エスプレッソでは分かりにくいと思います。なぜならエスプレッソには砂糖を必ず入れるため、微妙な味わいの違いが見逃されやすいからです。
さらにミルクをたっぷり入れたら・・・殆ど分からなくなりますね。
もちろん体質的に古いコーヒーが無理な方もいるので、味だけの問題ではありませんが。

ところで、なぜ必ず砂糖を入れるのでしょう?
以前「エスプレッソを無糖で飲むのは、日本人ぐらい」という話を聞いたことがありました。砂糖を入れないでエスプレッソを飲むのは、どうやらとても変なことのようです。
どのくらい変かというと・・・たとえば「砂糖を入れないで飲むココア」や「無糖のチョコレート」はどうでしょう?
無糖のココアやチョコレートに慣れていない方だと、結構辛い味わいになるかと思いますが・・・いかがでしょうか。
きっと、そんな切っても切れない関係なのかな?と思いました。

私も、バールでエスプレッソを飲むときに「やっぱり砂糖を入れるべきだろうな」とは思ったのですが・・・どうしても味を見たかったのでブラックで飲んでいました。
さらに、一人でエスプレッソとカプチーノの両方を注文することも多々あったので、相当変な日本人に見えたと思います。
とりあえず誰にも迷惑はかけていなかったので良いかなと、開き直っておりましたが・・・。

次回は、エスプレッソのクレマについてお話ししたいと思います。
——–
・・・レポート(4)に続く。

きまめや
生豆屋(きまめや)