コーヒーメーカー考

コーヒーメーカー(coffee maker)とは?

広い意味では、コーヒーを抽出する器具のことです。つまり手動で抽出する時に使う「ドリッパー
+ペーパーフィルター+サーバ」も広義ではコーヒーメーカーになります。

一般的には、電動でドリップしてくれる(コーヒーを落としてくれる)機械のことを言います。
水と豆をセットして、スイッチ1つで勝手に作ってくれるコーヒーメーカー。手軽にいつもの味わいが楽しめるのは嬉しいですね。

店長おすすめのコーヒーメーカーは?

・・・と、よく聞かれます。
これは、とても難しい質問です。
なぜかというと、おすすめのコーヒーメーカーが特に「無い」からです。

当店ではどこかのメーカーさんを強く押しているとか全然ありませんので正直に申しますが。
手で丁寧に抽出する方が、ずっと美味しいと思います。

<理由1>蒸らすことができない。
コーヒーメーカーで蒸らし機能が付いているものもありますので一概には言えません。
でもコーヒー粉全体にちゃんとお湯を行き渡らせるには、やはり手でしっかり注ぎたいところです。「1分間の蒸らし」が有るか無いかで、全然味わいが違ってきます。


<理由2>湯の温度が調節できない。
沸騰したての湯が落ちてくるものが多いので、雑味が出やすく香りも飛びやすいです。
香り、まろやかさを出すなら、ちょっとだけ冷ましたお湯(約90℃)で落としたいところ。

<理由3>プラスチックが多用されている。
沸騰した湯が通る部分に、意外とプラスチックが使われているのはご存知でしょうか。
せっかくのコーヒーの香りに、プラスチック臭が加わるのはちょっと悲しいですね。

一度お湯だけを通してみて、プラスチック臭が許せる範囲かチェックしてみるのも良いでしょう。(※)
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・・・とは言っても。
忙しい時には、やっぱりお世話になりたい気持ちも良く分かります。

手が回らない時にはコーヒーメーカー、とっておきのコーヒータイムには手でじっくり落とす、と使い分けるのも良いですね。

(※)プラスチックは、生産効率や品質向上のために、可逆剤、安定剤等の化学物質が添加されています。プラスチック臭は、これらの物質によるものと考えられます。


<参考>
実験!蒸らしの極意 
実験!古い豆でも蒸らす?
蒸らしで豆を知る
湯の質と温度

きまめや
生豆屋(きまめや)

実験!古い豆でも蒸らすの?

無反応でも待つべき?

「プックリ膨らんで、ピキッと固まって、1分待つ!」が蒸らしの基本です。
※軽めの味わいなら30秒前後でもOK。

でも古い豆だと、お湯を注いでも膨らまず「シーン」としていて寂しいですね。
「こんなに無反応で、果たして1分間も待つ価値があるのだろうか?」
「1分間って、短いようで結構長いし。面倒くさいから、注いじゃえ!」・・・となる場合も、あるのではないでしょうか。そこで、古い豆を使って「蒸らし」の実験をしてみました。

実験結果

1ヶ月前に焙煎、ポリ袋(密閉度が低い)に入れて常温で保存した豆を挽いて、実験しました。豆は当店の「メキシコ・シエラモレーナ」です。
結果は・・・やっぱり違いました!
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時間  味の特徴
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 0秒 やや刺激的な、苦みと喉ごし。
60秒 やわらかな苦み、まろやかな口当たり。
120秒 苦み酸味が強く、バランスが崩れた感じ。
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保存状態が悪かったため、酸化が進んでいて、喉ごし・甘み・香りはイマイチでした。
でも、ちゃんと1分蒸らせば「まろやかさ」は健在でした!これだったら「待つ価値あり」だと思います。

朝の1分は貴重ですが、砂時計を使うなり工夫すれば無駄な時間には なりません。豆が古くなってしまった時にも、あきらめず是非おためしください。
※美味しさと健康のためには、できるだけ新鮮な豆を使いましょう!

<参考>
実験!蒸らしの極意

きまめや
生豆屋(きまめや)

蒸らしで豆を知る

コーヒー豆の鮮度を知る

この豆は古いか? 新しいか?
鮮度を知る一つの目安に「蒸らし」があります。豆が新鮮なほど、蒸らしている時に「おまんじゅう」のようによく膨らむからです。
また、豆の焙煎度合いによっても膨らみ方が違ってきます。浅煎りよりも、深煎りにした方がよく膨らみます。

以前お話した通り、蒸らしは「プックリ膨らんで、1分間待つ!」が基本です。時間は「湯を注いだ後~蒸らし終了まで」を1分間としてください。膨らみ終わった所から1分だと、新鮮な豆なら1分20秒くらい経過してしまうので、要注意です。
※新鮮な豆ほど、膨らみ終わるまでに時間がかかります。

膨らまない原因

なんだか膨らまないなぁ・・・の原因として、次のような理由があげられます。
(1)挽き豆で購入している。
すでに挽いた状態で店頭販売している豆だと、この膨らみを体験することはかなり難しいです。
※購入時に「新鮮な豆」を挽いてもらえば、しばらくは大丈夫です。

(2)豆が古い。
古い豆だと、仮に購入時に挽いてもらっても全然膨らみません。心配な時は、お店の人に焙煎日を聞いてみましょう。

(3)湯の温度が低い。
お湯の温度が低いと、よく膨らみません。逆に、沸騰しているお湯を入れると、蒸らしている時にポコポコ泡が出てきて、香りが飛んでしまいます。
沸騰した湯をちょっと冷ました90℃くらいがベストです。
※やかんで沸騰させた湯を細口ポットに移したら、ちょうど良い加減になります。

「今日の豆はこんな感じかぁ。」なんて観察しながら抽出すると、コーヒーをいれるのが楽しくなります。
毎日プクッと蒸らすためには・・・・焙煎したての新鮮な豆を購入すること、もしくは自宅で焙煎して新鮮な豆を使うこと、そして、ミル(豆挽き)を入手することも大事ですね。

追記(2020年4月18日):
エスプレッソマシン専用の極細挽き(パウダー状)にすると、挽きたての豆でも膨らまない可能性があります。超微粒子になって、ガスが一気に抜けてしまうためです。

<参考>
実験!蒸らしの極意

きまめや
生豆屋(きまめや)

実験!蒸らしの極意

蒸らしとは?

コーヒー粉の表面を湯で湿らせて、しばらく置く状態のことです。主に、ペーパードリップやネルドリップで抽出し始める時に行います。
でも、早くコーヒーを飲みたいのに何でわざわざ蒸らすのでしょう?

1)全体を均一に湿らせることで、偏った湯の通り道を作らず、均一に抽出できるようになるため。
しっかり均一に蒸らすことができれば、抽出時に真ん中にだけお湯を注いでも、ちゃんと全体から抽出されます。

2)コーヒー粉が湿ることで膨張し、湯に触れる面積が増え、さらに湯が浸透しやすくなって成分がしっかりと抽出されるため。
抽出時間が短いと、軽くてコクの足らない薄っぺらな味わいに。逆に長すぎると、苦み・酸味が出過ぎてキツイ味わいになります。

最適な蒸らし時間

では、どのくらい蒸らすと一番美味しいのでしょうか?早速、焙煎後1日経過した豆で実験してみました。

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時間  味の特徴
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 0秒 軽くてコク・香りが少ない。
30秒 コクと香りが出てくるが、やや軽め。
60秒 コクと香りが出ていて、まろやかさと甘みあり。
90秒 コクと香りが出ていて、苦み酸味がハッキリ。
120秒 香りが少なく、味わいのバランスが崩れキツイ感じ。
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私は「1分前後」が一番味わいとして完成度が高いように感じました。酸味・苦みのバランスも良く、それぞれの味が突出していません。甘みも一番強く感じられました。 そして、まろやかな口当たりで、喉ごしも雑味が残りません。
※上記時間は「湯を注いだ直後~蒸らし終了まで」を1分間としています。膨らみ終わった所から1分だと、新鮮な豆なら1分20秒くらい経過してしまうので、要注意です。
※新鮮な豆ほど、お湯を注いでから膨らみ終わるまでに時間がかかります。

ただ、あまり美味しくない豆で1分蒸らして「なんだ、美味しくないなぁ!」と怒らないでください。あくまでも、美味しい豆を「より」美味しくする手段であり、マズイ豆が美味しく変身!・・・という訳ではありません。
美味しい豆を入手した時、コーヒータイムを満喫したい時に是非やってみていただきたいと思います。

<参考>
実験!古い豆でも蒸らす?
蒸らしで豆を知る

きまめや
生豆屋(きまめや)