最適なコーヒー豆の保存場所

前回は、「「最適なコーヒーの保存容器」についてでしたね。なぜコーヒー豆の真空パックや缶詰がダメなのか、についてもお話ししました。

今回は、最適な保存場所についてお話ししたいと思います。
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以前にも保存場所について提案しましたが、焙煎度合いや季節については言及しませんでした。
あまり複雑なことを書くと、混乱を招いてしまうから、、、との判断でした。
しかし焙煎加減によって豆の状態は異なります。
また真夏と真冬では全く気温が異なるこの国では、やはり季節の違いも無視できないと思いました。

それでは、最適な保存場所について考えてみましょう。

「できるだけ酸化させたくない!」なら・・・

せっかく新鮮なコーヒー豆を入手したら、できるだけ鮮度を保持したいですね。
鮮度の保持を一番に考えたら、季節を問わず「密閉」して「冷蔵」保存が一番です。
※寒い地域で、庫内と温度が変わらない(またはそれ以下)でしたら、もちろん常温で大丈夫です。

特にお店で挽いてもらった場合は、粉々になって豆の表面積が大幅に増えていますので、酸化が一気に早まります。
粉々になっている場合は、焙煎加減や季節にかかわらず、できるだけ「密閉」して「冷蔵」保存しましょう。

冷蔵庫ではなく、冷凍庫の方が低温で良いのですが・・・
夏季に冷凍庫に入れると、密閉容器を開けた時に一気に焙煎豆が結露してしまい豆が湿気ってしまうので要注意。
酸化が遅れても、湿気って豆がよく蒸れないのは残念ですね。
ということで、湿気が少なくなるように、ここでは無難に「冷蔵庫」をお勧めしています。
※密閉して冷凍保存し、開封する前に常温に近くなるまで待てば、冷凍でも結露を最小限に防ぐことができます。

深煎りコーヒー豆の保存場所

深煎り豆ですと、時間の経過とともに豆の表面に油が沢山出てきます。
この油はもともとコーヒー豆に含まれているもの(コーヒーオイル)で、香りやコクを演出してくれる優れものです。

しかし浅めの焙煎豆と違って表面に出てきてしまっているので、酸化も進みやすいのは確か。
そのため夏季は特に、「冷蔵庫」で密閉保存した方が安心です。

深煎り豆

浅煎りコーヒー豆の保存場所

浅煎り豆ですと、コーヒー豆の中に油がとどまっているため、表面の油についてはあまり心配する必要がありません。
本当に浅い焙煎だと、仮に1年経っても油は全く出てきません。
そのため、一週間から10日くらいで飲みきる分は「常温保存」で大丈夫です。
それ以降に飲む分は、冷蔵保存しましょう。

浅煎り豆

話は脱線しますが。
見た目が新鮮かどうか分からないので、スーパー等で売られている焙煎豆は浅煎りが多いですね。
これは常温で長い期間流通させる場合は、どうしても浅煎りの焙煎豆が便利だからです。

浅煎りなら、鮮度が不明なだけでなく、袋や器具が油で汚れないので清掃が簡単。
また焙煎が浅ければ浅いほど、水分がコーヒー豆に残っているため重量が減らず、コーヒー豆代も節約できます。
製造・販売するメーカー側にとっては、嬉しいことばかりですね。

しかし、焙煎が浅いほどコーヒー豆成分の刺激が強くなるのも確か。
私はとても浅い焙煎のコーヒーを飲むと、刺激で胃が痛くなります。そのため、当店の豆は全てやや浅め(中煎り)かそれより深い焙煎加減になっています。
自分が飲めない豆を、お客様に売ることはできませんので。

深煎り豆(濃い茶色)の方が苦くて体への刺激が強そうですが、実際には浅煎り豆(薄い茶色)の方が強いのは面白いですね。
もし「コーヒー飲むと胃が痛くなる」と感じている方がいたら、それは鮮度や農薬の問題だけでなく、焙煎加減が合っていないのかも知れません。

鮮度による味わいの違いを知りたいなら・・・

私だけかも知れませんが、焙煎豆なら常温保存した方が「焙煎日からの味わいの変化」を楽しめるような気がします。
到着した日の味わいと香り、その次の日の味わいと香り・・・
そういう変化を楽しみたいなら、焙煎加減にかかわらず「密閉」して「常温」がお勧めです。
一番違いが分かる期間(3日間~一週間)に飲み切れる分だけを目安にして、常温保存するのはいかがでしょうか。
※それ以降に飲む分は、密閉して冷蔵保存しましょう。


どのように保存するかは、お客様次第。
仮に袋のまま常温で置いておいても、香りは日々落ちていきますが美味しい豆はそれなりに美味しいものです。
できるだけ酸化を遅らせて香りを保持することも大事ですが、まずは新鮮で美味しい豆を入手することから始めましょう。

きまめや
生豆屋(きまめや)