コーヒーの残留農薬「ジクロルボス」ってどんなもの?

先日(2003/9/5)新聞やニュースで取り上げられた、コーヒーの残留農薬「ジクロルボス」についてお話したいと思います。

ブラジル産とコロンビア産のコーヒー豆から

厚生労働省は9月4日、ブラジル産コーヒー豆の輸入時検査で、残留基準を超える有機リン系殺虫剤「ジクロルボス」が2回にわたって検出されたと発表しました。

1回目は2003年6月で、残留農薬の基準値を超える0.29ppmが検出、そして今回(9月)は0.44ppmが検出されました。2回基準値を超えると、厚生労働省から「検査命令」が出て、今後輸入されるブラジル産豆は全量を検査するよう義務付けられます。

また、ほぼ同じ時期にコロンビア産コーヒー豆からも0.96ppmというかなり
高い値が検出されました。

まだ1回しか検出されていないので問題になっていませんが、このまま2
回目の検出があった場合は、ブラジル産豆と同様の措置がとられることに
なるそうです。

残留農薬「ジクロルボス」とは?

発ガン性及び変異原性が確認されており、イギリスでは販売などが一時制限されています。 また、白血病や非ホジキンリンパ腫・前立腺ガンとの関連が報告されています。

吐き気・おう吐・胃けいれん、下痢等の急性毒性が強く、「劇物」に指定。くり返し、または長期にわたって被ばくした場合は、頭痛、記憶と集中力の障害、眠気や不眠症、倦怠感等の症状が現れます。 

他の有機リン系農薬に比べて蒸気圧が高く、燻蒸(くんじょう)剤や燻煙(くんえん)剤に使われたり、様々な農薬と混合して製剤化されています。

#ゴキブリやノミ用殺虫剤、家庭菜園用殺虫剤に使われているものもあります。室内で使用する場合は、気づかないうちに被ばくすることもあるので、くれぐれもご注意下さい。

問題点

(1)世界には500種類以上の農薬があると言われているのに、1種類だけの調査で終わるのは「焼け石に水」。同様の効果がある農薬は、いくらでも存在する。さらに残留しやすくて強い農薬も存在する。それらについては、どのように対応するか?

(2)残留農薬が基準値0.2ppm「未満」であれば、上記のジクロルボスが残留していても問題無く輸入されており、今後も日本に入ってくるということ。

店長の考察

この農薬は、燻蒸(くんじょう)時によく使用されるほか、残留性が少ないので、収穫直前まで使用しても大丈夫な農薬だとか・・・
#「大丈夫」というのは、人体に影響無いという意味ではなく、数値として出ない、という意味です。

残留しにくい農薬ですから、収穫前に使ったものがずっと残っていた、とは考えにくいですね。船上のコンテナに入っている間中、「ジクロルボス」で燻蒸(くんじょう)し続けたためか? それとも現地で燻蒸された結果か?

いずれにしても、氷山の一角が現れた・・・という所でしょうか。

#当店で扱っている有機栽培コーヒー豆は、燻蒸処理も農薬も使用していない豆だけを扱い、店舗保管時も殺虫剤を一切使用しておりませんので、ご安心下さい。

<参考>
燻蒸(くんじょう)ってどんなもの?
産地燻蒸の話
有機栽培(オーガニック)コーヒー豆に害虫が見つかったら?
ブラジルの農薬中毒事件
ブラジルで人気のコーヒー農園

きまめや
生豆屋(きまめや)