コーヒーの「コク」の話

「コク」を考える

よくお客様から「コクのあるコーヒーってどれ?」と聞かれます。
コク・・・はコーヒーの味わいの中でも重要視されるポイントの一つですね。でも実は「コク」というのは、皆さん共通の感覚ではないのです。 だから、お答えするときにちょっと困ってしまうこともあります。

「苦い」「酸っぱい」は、ほとんど共通の感覚といっても過言では無いでしょう。
例えば思いっきり「深煎り」の豆で「酸っぱい!」という人は居ないはずです。なぜなら、深煎りになるほど酸味が消えていくからです。

でも「コク」は違います。浅めの焙煎で「コク」と感じる人と、深めの焙煎で「コク」と感じる人と、両極端です。
これはもう、どっちが正解?ということではなくて、飲む人の感覚の問題になります。例えば深煎りの「コク」が好きな人に、浅めの焙煎の「コク」をいくら強調しても、全く理解できない場合がよくあります。

自分の好きな「コク」を見つける

とりあえず、同じ種類の豆で2種類の焙煎度合いを試してみると良くわかります。 当店の豆だと「きまめやブレンド」&「きまめやブレンド深煎り」、「コロンビア」&「コロンビア深煎り」等です。
これらを比較すれば、どちらが「コク」を感じるかだいたい分かります。自宅焙煎の方だったら、もっと色々な焙煎度合いで試せますね。

次に、コーヒーの濃度も多少影響してきます。どうも濃くいれた方が「コク」を感じる、という人が多いようです。「濃く(こく)」と「コク」で似ているから、という訳ではありませんが・・・。

あと、豆の挽き加減についても、大きく好みが分かれます。
粗く挽いて多めに豆を使うことで引き出す「コク」と、細かく挽くことで引き出す「コク」。 同じコクでも全然違ってきます。
ちょっと意識して、自分好みの「コク」探してみてはいかがでしょうか。

きまめや
生豆屋(きまめや)

コーヒー豆量と層の厚み

コーヒー層の厚み

ドリップコーヒー1杯あたり、コーヒー豆約10g(豆用計量スプーンで約1杯)が一般的です(メーカーにより多少違います)。
でも、もし1杯分だけを抽出する場合、10gだと少ないかも知れません。どうして少ないのでしょう?

ペーパードリップもネルドリップも、コーヒー豆の「層」に湯を通して抽出する方法です。そのため豆の量が少ないと、「層」も薄くなってしまいます。
つまり、ドリッパーやネルの底面部分の大きさや角度は決まっているため、豆の量で「層」の厚みが決まってしまうということです。
だから、1杯分のコーヒーを作るのに10gしか使わないと「層」の厚みが少なくコクが足らない薄いコーヒーになりやすいのです。

では、約3杯分を作る時はどうでしょうか。カリタ式なら30g、ハリオ式なら36gの豆量を推奨しているので、「層」としては申し分ありません。しっかりと抽出できますし、コクも出てくると思います。
つまり、一人分あたりの豆量は同じでも、作る分量によってコーヒーの濃さやコクが全然違ってくるということです。

たくさん作るとコクがある美味しいコーヒーに

それでは、一人分でコクを出すなら何グラムくらいが適当でしょう。これは好みによりますので何とも言えませんが、15~20g程度が無難かと思います。
でも実際、私が自分のためだけに作るとすれば、1杯あたりの豆量は増やさずに2杯分抽出してしまいます。おかわり用に1杯多く作る、ということです。
なぜなら、コーヒーの層ができていれば、余計にコーヒー豆を使わなくても美味しく作ることができるからです。

ちなみに、私がコーヒーをいれるのに一番好きな量は、3~4杯分です。そのため、だれかを道連れにしてコーヒーを飲むことがほとんどです。
職場にも常時3~4人のスタッフがいるので、一人分だけをいれることはまずありません。これくらいの量だと、あまり神経を使わなくても美味しくできるので良いですね。

逆に15~20gで一人分をおいしくいれるには、ちょっと技術が必要です。細口ポットを使って慎重にゆっくりとお湯を注ぐ必要がありますので・・・

きまめや
生豆屋(きまめや)