甘くて苦い大人の味わい「アフォガート」の作り方

アフォガート・・・エスプレッソに溺れたアイスクリーム
美味しいエスプレッソとアイスクリームで、簡単アフォガート。

アフォガートとは?

アフォガート(affogato)は、イタリア語で「溺れた(アイスクリーム)」という意味だそうです。
バニラ風味のアイスクリームにエスプレッソをかけて食べるのが基本のスタイルで、他にもエスプレッソにココアやチョコレートパウダーを混ぜてモカ風にしたり、バニラ以外のアイスクリームを使ったり、色々アレンジを楽しめます。

基本のアフォガートをマスターすれば、いろいろとアイデアも広がりますね。
ということで、超簡単「アフォガート」を作ってみましょう!

簡単!アフォガートの作り方

【材料】一人分
エスプレッソ 30cc-60ccくらい
アイスクリーム(バニラ味) 100g-200gくらい
※数量は、お好みに合わせて変更して下さい。

【作り方】
よく冷えたアイスクリームに、熱いエスプレッソをかけて、出来上がり!

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とても簡単ですね。
数量は、適当で大丈夫です。
ほろ苦さがお好きなら、エスプレッソ多めでお試し下さい。

ポイントは「新鮮で美味しいエスプレッソ」に「お気に入りのアイスクリーム」を使うこと。
素材が良ければ、絶対に美味しくなりますから!

エスプレッソが無い時は、濃く入れたコーヒーで代用しても良いですね。
細かく挽いて少なめの湯量で入れてみて下さい。

その他、以前ご紹介した「コーヒー粉をアイスクリームにかける」のも大変美味しいです。
挽きたてコーヒー粉のパリパリした食感と、香り、苦味、アイスクリームの甘さが絶妙です。
「熱々のコーヒーでアイスクリームが溶けてしまうのが嫌」という方にもお勧めです。

どれも、甘くて苦い大人の味わいを楽しめます。ぜひお試し下さい。

きまめや
生豆屋(きまめや)

エスプレッソと栄養ドリンク

イタリア人はなぜ立ち飲みしてまでエスプレッソを飲みたいのでしょう?
その理由を探るべく・・・まずは日本で「立ち飲みエスプレッソ」に似ているものを探してみました。

「立ち飲みしてまで飲みたい!」・・・その理由は?

理由は、単に「カウンターで、お気に入りのバリスタさんと楽しい会話をしたい」だけかも知れません。他にも、「その方が美味しいから」とか「立ち飲みだと安いから」など、理由は色々考えられます。
しかし、今日はあえて「エスプレッソの効能」という観点から考察したいと思います。

エスプレッソに似たもの・・・例えば「栄養ドリンク」はどうでしょう?バールで「クイッ」と飲むエスプレッソは、効能だけで考えると栄養ドリンクに近いかも知れません。
※もちろん、味わいや飲むときの雰囲気等は全然違いますので、あくまで体内に吸収される際の効能・・・ということでご了承下さい。

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まず「栄養ドリンク」に含まれている「カフェイン」について考えてみましょう。
覚醒作用がある「無水カフェイン(人工的に精製されたもの)」は、多いものではコーヒー数杯分も含まれている場合があるそうです。
さらに、糖分が加わって血糖値が上がり「元気が出る」「疲労回復」となります。
#もちろんビタミンや生薬等の有効成分も入っていますが、カフェインほどの即効性は期待できないそうです。

次に「エスプレッソ」の「カフェイン」を考えてみましょう。
エスプレッソのカフェインは、ドリップしたコーヒーよりも高濃度になりますが、少量しか飲まないので総量はむしろ少ないかも知れません。
しかし高濃度カフェイン&砂糖といった組み合わせで、血糖値が上がりやすくなり、結果として栄養ドリンクに似た効果が得られるのでは?
・・・と推測してみました。
ちょっと飲んで元気を出したい時、疲れた時に立ち寄って飲みたいエスプレッソは、まさに天然の栄養ドリンクなのかなと。

もちろん少量で、かつ天然の成分なので、栄養ドリンクよりもずっと緩やかな効能だと思います。
その分、効能が切れた時の反動も緩やかなので、むしろ安心かも知れませんね。

ちなみに「エスプレッソは深煎り豆を使うから、カフェインが少なくなる」という意見もありますが、実際には焙煎加減による違いは殆どありません。その点については、下記ページからご覧下さい。
深煎りと浅煎り、カフェイン量は同じ?」

食後のエスプレッソは「コーヒー」

日本で「立ち飲み」は殆ど見かけませんが、「立ち食いソバ」は駅でよく見かけます。 でもソバは、お腹が空いたから必要に迫られて食べるはず。 では、エスプレッソの必要性は? ・・・そんな素朴な疑問から強引に理由を探してみましたが、いかがでしたでしょうか。
ちなみに、食後に飲むエスプレッソは当然ながら「栄養ドリンク」の役割は果たしていないと思われます。 食後で十分栄養が取れているので、また別の需要がある訳ですね。 これは、私達が「食後にコーヒーを飲みたい!」と思うのと、同じ感覚だと思いました。イタリアは、コーヒー=エスプレッソですからね。

きまめや
生豆屋(きまめや)

エスプレッソ・レポート(7)「日本人とエスプレッソ」

そもそもエスプレッソって日本人好み?

「どちらかと言えば日本人好みではない」と思います。特にカフェで提供するには不向きかと・・・。
もちろん日本人にも色々な人が居るので、ひとくくりに言うのは適切ではありませんね。濃いコーヒーが大好きな方は、カフェでエスプレッソを注文して「すごく美味しい!」と感じるかも知れません。

でも、もし当店が豆を卸している全国のカフェ・レストラン様から「イタリアのバール形式にしようと思うけど?」とご相談いただいたら、たぶん「やめておいた方が無難です」とお答えするでしょう。
その理由は・・・

まず「一気にクィッと飲むべきエスプレッソ」は、ゆっくりまったりとお茶を飲むのが好きな日本人には合わないと思います。
その証拠に、日本ではセルフサービスのカフェでも「一気に飲んで早々に立ち去るお客さん」は、殆ど見かけません。
これは「カフェでコーヒーを飲む」ということは、そこで休んだり、本を読んだり、同席の人と話したり・・・という目的も含まれているからではないかと思います。
その場所代金も含まれているので、同じエスプレッソ(セルフサービス)でも日本の方が高い値段に設定されているような気がしました。

かくゆう私もカフェでエスプレッソを頼むときは、一緒にカプチーノやカフェラテなどを注文しています。
もちろん研究のためでもありますが、エスプレッソだけだとすぐに飲み終わってしまい物足らない、ゆっくり飲みながら一休みしたい、といった理由もあるからです。エスプレッソは、本当に2~3口で飲み終わってしまいますからね。


濃いコーヒーは好き?キライ?

次に、コーヒーの「濃さ」が日本人に合うか?という問題です。
以前ハワイ島のコーヒー農園巡りをした時、「日本人?それなら濃い珈琲をいれますね。」と言われ続けたことがありました。
どうやら日本人は、アメリカ人と比べると「濃い珈琲が好き」な傾向があるようです。

「濃い珈琲が好きな日本人」・・・イタリアへ行くまでは、私もそう思っていました。
しかしエスプレッソの本場へ行って、もっと濃い珈琲が普通に飲まれていることを実感しました(もちろん濃くても量が少ないので、コーヒー成分量は変わらないかも知れません)。
この濃さが、果たして日本で一般的に好まれるか?ちょっと難しいと思いました。慣れれば大丈夫だと思いますが・・・。

イタリアへ行く前、ローマ在住の知人(日本人)から「深煎りじゃない豆を、できるだけ沢山持ってきて!いくらでも買うから!」と頼まれて驚いたのを覚えています。これは「ローマでドリップ用の中煎り豆が売っていないから」だそうです。
確かにどこに行ってもエスプレッソが基本なので、中煎りの(日本では普通の)ドリップコーヒーが恋しくなる訳ですね。
私もローマで毎日エスプレッソを飲み歩き、コンドミニアムでもマキネッタで入れていたので、持参したドリップコーヒーが妙に美味しく感じたのを覚えています。


ミルクと合わせて日本人好み

その日本人好みとは言い難いエスプレッソも、ミルクと合わせると急に日本人好みの味わいになります。
ミルクたっぷりのカプチーノやカフェラテは、ゆっくり飲んで冷めても味わいの変化が少ないです。つまり温かいうちに飲む必要がありません。

また濃い味わいのエスプレッソが入っていても、殆どがミルクなので大変飲みやすいです。それはコーヒーというよりも、コーヒー風味のミルクと言った方がピッタリかも知れません。
飲みやすさで言えば、ミルクとコーヒーを半々で入れるカフェオレよりも上ではないでしょうか。

そういう訳で、前回お話ししたような「エスプレッソが滅多に注文されないシアトル系カフェ」が日本に定着したのかな・・・と思った次第です。
ちなみにシアトル系カフェは、私も概ね入るのが好きです。だけど、使い捨てカップ(コップ?)だけは勘弁して欲しい、というのが正直なところ。
カプチーノやカフェラテを陶磁器のカップで飲まないなんて「信じられない!」と思ってしまう私は、保守的なのかも知れませんね。

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以上、たった一週間しか滞在していないので、あまり的確な考察ではなかったかも知れません。
また何か現地エスプレッソ事情等ご存知でしたら、ぜひ教えていただければ嬉しいです。どうぞよろしくお願い致します。

きまめや
生豆屋(きまめや)

エスプレッソ・レポート(6)「本場エスプレッソの味わいは?」

本場エスプレッソの味わいは・・・

「どうだったの?」ということは、まず日本のカフェ、それもエスプレッソが飲めるシアトル系カフェと比較した方が良いですね。
答えは、当たり前ですが「バールによる」です。
日本でも、美味しいカフェもあれば「あれ?」な味わいのカフェもありますね。それはローマでも全く同じだと思います。
ただ全体的な印象としては、やはり本場の方が一枚上手で「エスプレッソ」そのものの味わいを楽しめる、と感じました。

まず日本では、「ミルクたっぷり入りエスプレッソ」が基本なので、「エスプレッソ」単品で注文する人は少ないですね。店内を見回しても、小さなデミタスカップで「エスプレッソ」を飲んでいる人は殆ど見かけません(少なくとも私は見たことがありません)。

そもそも「エスプレッソ」がメニューにない場合もあり、「エスプレッソできます?」と聞くと「え?!」と動揺する店員さんもいました(某最大手シアトル系カフェにて)。
このことから、カフェの方も滅多に「エスプレッソ」単品で出さないのだろう、ということが想像できます。

一方、ローマのバールでは「コーヒー=エスプレッソ」で、客も当たり前のように「エスプレッソ」を注文します。バール内を見回しても、デミタスカップを持っている人が多く、日本のカフェとは全然違う光景でした。 バリスタさんも「エスプレッソ」の味わいに自信を持って作ってくれるので、安心して楽しむことができました。
その辺の技術や意識の違いが、「一枚上手」という印象を引き出しているのかも知れません。


自分がいれるエスプレッソと比べると?(個人的な感想)

私はコーヒー豆屋なので、どうしても「クレマの下のエスプレッソ液の味わい」を最優先でチェックしてしまいます。さらにルール違反を承知で「砂糖無し」で飲むので、私の意見はあまり参考にならないかも知れません。

ただ、今回の旅行で大収穫があったのは確かです。
それは、手前味噌で大変恐縮ですが「当店の豆でいれたエスプレッソ」より右に出る味わいは無かった、ということです。
本当にずうずうしい発言ですが、これが判ったことが一番の収穫でした。むしろこれを調べるためにイタリアへ行った、といっても過言ではありません。
帰国後、エスプレッソ用の豆をご入り用のお客様に、自信を持ってオススメすることができるようになりました。自信を持てる、ということは私にとってとても大切なことなのです。

エスプレッソの味わいを決める要素は沢山あります。それは高性能のミルだったり、立派なエスプレッソマシーン、抽出技術、厚いクレマ、素敵なデミタスカップ、お店の雰囲気、そしてバリスタさんとの楽しいお話だったり・・・。
でも「クレマの下のエスプレッソ液の味わい」だけは、コーヒー豆次第です。
豆の鮮度(焙煎後・挽いた後の経過時間)と品質が一発で判る「エスプレッソ」。ミルクで誤魔化せないからこそ、違いが分かって魅力的なのかも知れませんね。


大規模店舗の規制に守られて

ところで、「ローマにシアトル系カフェがあったか?」というと、全然ありませんでした。
シアトル系カフェのようなチェーン店は全然見あたらないし、デパート等の大規模店舗もありません。
これは、イタリアでは大規模店舗参入に対する政治的抵抗が非常に強く、小さな店舗が優遇されているから、ということでした。

観光地なのに、見慣れた店が無いなんて・・・と最初はビックリしましたが、少しずつ馴染みの店を開拓していくうちにその方が良いことに気付きました。
だから市場に人が集まるし、小さな雑貨店やバールが繁盛するし、町全体が活気付くのだな、と。
日本の商店街にしてみれば、羨ましい限りですね。
でも、なぜかマクドナルドはありました。どうしてマクドナルドだけOK??

私としては、イタリアのバールは均一化されないまま、個性的なままで居て欲しいなと思います。
世界に一つだけしかないお気に入りのバールって、良いですよね。
日本でも、そんな素敵なカフェが増えて欲しいです。

きまめや
生豆屋(きまめや)

エスプレッソ・レポート(5)「カプチーノとカフェラテの違い」

レオナルド・ダ・ヴィンチ国際空港内バールのカプチーノ

カプチーノとカフェラテの違い

ローマのバールで、エスプレッソと一緒によく注文していたのがカプチーノ。イタリア語の発音は「カップッチーノ」に近く、エスプレッソに泡立てた牛乳を注いだものです。
イタリアでコーヒーといえば、エスプレッソのこと。つまり「コーヒーに泡立て牛乳を注いだもの」という感じですね。

ちなみにエスプレッソに泡立ててない牛乳を注いだのが、カフェラテ(イタリアでの発音はカッフェラッテが近いです)。ラッテは牛乳という意味なので、まさにイタリア版「コーヒー牛乳」ですね。
カプチーノとカフェラテの違いは、ミルクを泡立てたか、泡立ててないか・・・だけでした。口当たりは、泡が無いのでさっぱりした感じになります。
なお、カフェラテがメニューに無い場合は「泡無しのカプチーノと注文すれば大丈夫!」だそうです。
※カフェラテのコーヒーがエスプレッソ→ドリップになると、カフェオレです(フランス風)。

ここでちょっとまとめてみましょう。
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カプチーノ =エスプレッソ+泡立てた牛乳(イタリア)
カフェラテ =エスプレッソ+牛乳(イタリア)
カフェオレ =ドリップコーヒー+牛乳(フランス)

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カプチーノは「朝」限定?

カプチーノは、朝に飲むものらしいです。らしい・・・と断言を避けたのは、昼でも夕方でもバールで注文できたからです。日本の某ファストフード店のように「限定!朝メニュー」ではありませんでした。

カプチーノをいつ飲むか知らなかった私は、昼夜を問わず元気に「カップッチーノ!」と注文しておりました。それがどのくらい変なことだったのか、実はよく分かっていません。

バリスタさんは全然気にしていない様子だったので、たぶん大丈夫なのかなと・・・。次イタリアへ行ったら「なぜ昼飲まないの?」と、聞いてみたいと思います。

ところで、日本のカフェで「カフェラテ」を注文すると「カプチーノでは?」と思える飲み物が出てくることがあります。
特にアメリカ出身のシアトル系コーヒー店では、カフェラテでも泡立てた牛乳を使う場合が多いですね。
その内容は、温めただけの牛乳と組み合わせたり、泡立て方が違ったりと、お店によって様々。

とりあえず「カフェラテ=コーヒー(エスプレッソ)牛乳」ですから、どれでも誤りでは無いと思います。
ただ注文する前に、出てくるコーヒーがどういうものか?予め店員さんに聞いておくと安心ですね。

きまめや
生豆屋(きまめや)

エスプレッソ・レポート(4)「クレマについて」

エスプレッソ表面に浮かぶクレマ。

クレマとは?

私達がカフェでエスプレッソを頼んだときに気にするクレマ(エスプレッソに浮かぶ泡)。その正体は、新鮮なコーヒー豆に含まれる「炭酸ガス」です。
※ドリップで蒸らす時に、新鮮なコーヒー豆だとプクッと膨らみますね?あの膨らみも、そしてコーヒーの香りも、「炭酸ガス」が関係しているのは以前お話しした通りです。

そのクレマは、
「新鮮な豆」を、
「抽出直前にパウダー状」に挽き、さらに
「適正なマシンと抽出技術」があってできる泡、と言えます。

ただし「クレマが厚い=美味」とは限りません。
高品質で新鮮な豆を使えばクレマの厚い美味しいエスプレッソができますが、低品質の豆を使えばクレマがあっても美味しさの追求は難しいです。
また最近では、古い豆でも強制的にクレマを作るエスプレッソマシンが出回っており、残念ながら美味しさの基準とは言えなくなってきているようです。

意外と薄かったクレマ

このクレマが、ローマのバールではどうなんだろう?と大変期待して行ったのですが・・・
意外にも、クレマが薄いエスプレッソを出された方が多かったです。
薄いどころか、コーヒー液が半分くらい見えているエスプレッソも。
(※クレマが厚くて美味しいエスプレッソを出すバールも、少数派ですがありましたので予めご了承下さい。)

クレマの薄さが、エスプレッソマシンの問題か、豆の鮮度の影響か、私が行った時期が悪かったのか、偶然そういうバールにばかり入ってしまったのか?・・・残念ながら、詳細は分かりません。
ただバリスタさん達は、接客態度と同様、クレマの厚さについても「全然気にしない♪」という感じだったのは確かです。

日本では「クレマが大事!」と、強制的にクレマを作る機能付きマシンまで出回っているに、ローマではあまり気にしていないのかぁ…と、少々拍子抜けしました。

日本人は見た目重視?

このとき、ふと紅茶の「ジャンピング」を思い出しました。
「紅茶を抽出する時には、茶葉がポット内で上下(ジャンピング)するのが大事!」と日本で言っているのに、本場英国では全然そんなこと気にしていなかったこと、そして「ジャンピング」と言う言葉自体、本場では使われていなかったことを。
日本では、味わいよりもむしろ「見た目」にこだわってしまう傾向があるのかも知れませんね。

ちなみに、イタリア家庭で親しまれている直火式エスプレッソメーカー(マキネッタ)では、クレマは出来ません。マシンほど圧力がかからないため、泡立たないのでした。
でも、だからと言って味わいが劣るということはありません。マシンとはまた違った、直火式エスプレッソメーカーならではの美味しさを楽しむことができます。

直火式エスプレッソメーカー・イルサ
直火式エスプレッソメーカー

ローマ滞在中、一度だけ直火式のエスプレッソをイタリア人家庭でいただく機会がありました。エスプレッソマシンとはまた違った、素朴な美味しさがとても印象的だったのを覚えています。
また、私が滞在したコンドミニアムにも3種類の直火式エスプレッソメーカーが用意されていて、さらに直火式エスプレッソ専用のガス台まであり驚きました。
小さなキッチンでも、エスプレッソ専用のガス台があるのが一般的のようです。

クレマにこだわっていないからこそ、直火式が「家庭の味わい」として愛され続けているのかな…と思いました。

きまめや
生豆屋(きまめや)

エスプレッソ・レポート(3)「鮮度と砂糖」

コーヒー豆の鮮度について

残念ながら、新鮮な豆から抽出されたエスプレッソには、あまり出会えませんでした。
持ち帰り用のコーヒー豆も、挽いた状態で販売されているのが普通でしたし、バールは沢山あっても自家焙煎店は見かけませんでした。
※単に、私が行った所が偶然そうだっただけかも知れませんので、予めご了承下さい。

「自宅でミルを使って焙煎豆を挽く、という習慣は殆ど無い」という現地情報(ローマ在住の方)もあり、もしかしたら鮮度は気にしない傾向があるのかな?と思いました。
もちろん日本でも、鮮度を全然気にしない方はいらっしゃいますね。
むしろ、気にする人の方がずっと少ないかも・・・。

ちなみに「缶コーヒー」は売っていませんでした。自動販売機も街中では見かけなかったです。
そういえば1つだけ、ヴァチカン美術館の出口付近にジュースが出てくる販売機があったような・・・でも、コーヒー類は無かったです。
やはり「コーヒー=エスプレッソ」の国なんだなぁ、と思いました。

エスプレッソと砂糖の関係

「新鮮かどうか」は、エスプレッソでは分かりにくいと思います。なぜならエスプレッソには砂糖を必ず入れるため、微妙な味わいの違いが見逃されやすいからです。
さらにミルクをたっぷり入れたら・・・殆ど分からなくなりますね。
もちろん体質的に古いコーヒーが無理な方もいるので、味だけの問題ではありませんが。

ところで、なぜ必ず砂糖を入れるのでしょう?
以前「エスプレッソを無糖で飲むのは、日本人ぐらい」という話を聞いたことがありました。砂糖を入れないでエスプレッソを飲むのは、どうやらとても変なことのようです。
どのくらい変かというと・・・たとえば「砂糖を入れないで飲むココア」や「無糖のチョコレート」はどうでしょう?
無糖のココアやチョコレートに慣れていない方だと、結構辛い味わいになるかと思いますが・・・いかがでしょうか。
きっと、そんな切っても切れない関係なのかな?と思いました。

私も、バールでエスプレッソを飲むときに「やっぱり砂糖を入れるべきだろうな」とは思ったのですが・・・どうしても味を見たかったのでブラックで飲んでいました。
さらに、一人でエスプレッソとカプチーノの両方を注文することも多々あったので、相当変な日本人に見えたと思います。
とりあえず誰にも迷惑はかけていなかったので良いかなと、開き直っておりましたが・・・。

次回は、エスプレッソのクレマについてお話ししたいと思います。
——–
・・・レポート(4)に続く。

きまめや
生豆屋(きまめや)

エスプレッソ・レポート(2)「バールで注文する時」

国民性の違い?

私は、ローマのバールではいつもカウンターで飲んでいました。テーブル席に比べて価格が半分~3分の1で済む上、バリスタさんの動きがよく見えて楽しいからです。
でも、「日本じゃコレは無いだろうなー」と気になった点がありました。

それは、バリスタさん達がとってもマイペースな場合が多かったことです。
具体的にどういう感じかというと・・・
注文を受けても、自分が今までやっていた作業(皿洗いや整理整頓など)を優先し、その間に他のお客さんと楽しそうに話したりしています。
特に急ぐ様子もなく、一通りの作業が終わるまで抽出には取りかかりません。5分以上待たせても(無視しても)平気。つまりお客さんを待たせることについて「全く気にしていない♪」という感じです。一方お客さんの方も、それを全然気にしていない様子でした。

「バリスタの仕事は、お客さんと楽しくおしゃべりすることも含まれる」と予習はしていたものの・・・
最初の頃はあまりの遅さに「このバリスタさん、私の注文すっかり忘れているのでは?!」とよく不安になりました。
帰る頃には「ま。こんなもんかな。」と思えるようになりましたけど。
日本なら「少々お待ち下さい」「お待たせして申し訳ございません」の言葉が出そうな所ですが、この辺は国民性の違いなんだろうな、と納得しました。

イタリアへ行く前に読んだ本では「受注→抽出→出てくるまで50秒、飲んで5秒、お会計5秒で、合計1分間あれば一連の動作が終了!」と書いてあったのですが・・・
実際にカウンターで注文してみると、上記の通り5分以上かかることも多かったです。
単に私が人気のバールや、混んでいるバールを選んで入ってしまったからかも知れませんね。空いているバールなら、もっと早かったかも?

ちなみに一度も注文を忘れられたことは無かったので、カウンターで待つ時は心配無用です。
バリスタさんの気が向けば(順番さえ回ってくれば)すぐに抽出して持ってきてくれるので、ご安心下さい。
#せっかちな方は要注意。郷に入っては郷に従え
・・・まさに “When in Rome do as the Romans do.”ですね。

受注済みの合図

バリスタさんが数人いるバールだと、受注済みの合図が決まっている場合が多いです。
たとえば、お客さんが出したレシートに手で切り込みを入れて合図としたり、ソーサを先に置いて合図としたりします。

そのソーサの合図で、「ガチャン!」とカウンターに勢いよく置かれた時には、かなりビックリしました。
私が入ったバールでは、そこまで凄くなくても作業がやけにダイナミックなお店が多かったのは確かです。
それは、バールに限らず、ジェラテリア(ジェラートのお店)でも同様でした。

大胆かつ素速く抽出してもらったエスプレッソやカップチーノを恐る恐る飲むと・・・これがまた「美味しい!」ことが多かったです。
気のせいかも知れませんが、ダイナミックなお店ほど美味しかったような?豆の回転が早く、新鮮だからでしょうか??
※ちなみに、ジェラートも最高に美味しかったです。

日本に帰ってきて、改めてサービスのきめ細かさ・心遣いに感動しました。
ただ、どっちが良いかは分からないですね。結局日本の場合は、店員さんが沢山気を遣っている訳ですから、お店側のストレスが少ないマイペースの方が精神衛生上良いのかも・・・と思ったりもしました。

——–
・・・レポート(3)に続く。

きまめや
生豆屋(きまめや)

エスプレッソ・レポート(1)「値段の違いと飲み頃」

先月、はじめてイタリア(ローマ)に行ってきました。
8月後半ということもあり観光客が多い時期でしたが、とりあえずエスプレッソがどういうものか雰囲気はつかめたと思います。そして、日々私達が提供しているコーヒー豆達が「エスプレッソにも最適だった!」と自信を持つこともできました(これが一番の収穫でした)。
やはり、自分の目で見て確かめるのが大事だなぁ・・・と、づくづく思った次第です。
—–
・・・ということで。
ここでは「コーヒー本」の受け売りは一切せず、私が見たまま、感じたままを何回かに分けてレポートしてみたいと思います。もし本場エスプレッソをよくご存知の方で「レポートの内容は違う!」等ご意見ございましたら、お手数ですがご一報下さい。

飲む場所によって異なる価格

徒歩圏内に古代遺跡がゴロゴロあるローマ市内。順に遺跡を回ると、自然と小さなバール(Bar)があちこちで目に入ります。エスプレッソは、そのバールと呼ばれる喫茶店で飲めるのですが、まず価格の設定が面白いです。

日本のカフェではカウンターでもテーブルでも同じ価格ですが、バールではテーブル席の方が2~3倍高いのが普通です。
例えばエスプレッソなら、カウンターで飲むと0.8~1ユーロ(90円~110円程度、2010年8月現在)、テーブル席で飲むと2~3ユーロ(220円~330円程度)でした。
はっきりと価格が違うので、カウンターは混んでいてもテーブル席はガラガラ・・・ということも多かったです。
※セルフサービスのバールは、カウンターでもテーブル席でも同じ価格のようです。

ちなみに上記の価格は、小さなデミタスカップの半分くらい、約30ccあたりの価格になります。30ccといえば、2~3口で飲めてしまうほどの量なので、初めて飲む方は「これだけっ?!」と驚かれるかも知れませんね。

ゆっくり飲まないエスプレッソ

カウンターで立ち飲みだと、ゆっくりコーヒータイムを楽しめないのでは?と考えた方もいるのではないでしょうか。
実は、エスプレッソは「ゆっくり・少しずつ」飲むものではありません。なぜなら、ゆっくり飲んでいると、どんどん味が劣化していくからです。

新鮮な豆で入れたエスプレッソは、豊かな香りと香ばしさ+独特のまろやかさを堪能できますが、時間の経過に伴い刻々と不味くなってしまいます。
その劣化具合は、「美味しくない」ではなく「なにこれ不味い!」と言いたくなるレベルです。
新鮮な豆でいれたドリップコーヒーなら冷めても「美味しさが落ちた」程度で済みますので、この違いはかなり大きいと思います。

そういう意味では、日本のカフェのようにテーブル席でエスプレッソを飲むより、バリスタに抽出してもらったものをすぐに飲む・・・というカウンター式の方が、理にかなっているなと思いました。

※バリスタ:バールのカウンターに立ち、注文を受けてエスプレッソ等を作り提供する人。
——–
・・・レポート(2)に続く。

きまめや
生豆屋(きまめや)

コーヒーはブラック派?それとも・・・

最初の一口だけは

もし美味しいコーヒー豆で、とっておきの一杯をいれたら・・・
最初の一口だけは、ぜひブラックで召し上がっていただきたいと思います。

なぜならコーヒーの繊細な味わいは、ミルクやクリームを入れることで消えてしまうからです。
また砂糖を入れることによって、コーヒーの持つ本来の甘さを堪能することもできません。
それはちょっともったいないなー、と思います。

もちろん、細かいことはどうでも良い人にとっては迷惑な話ですね。
「どんな風に飲もうと、勝手でしょ!」というお気持ちも良く分かります。

ただ、「これ美味しいコーヒーなんだよ」というウンチクを聞きながらご馳走になる時は、ちょっとだけ気をつけましょう。
ご馳走した方が、がっかりしないように。

それに本当に新鮮で美味しいコーヒーだと、意外と何も入れない方が飲みやすいかも知れません。
健康のことを考えれば、ブラックで飲むのが一番ですしね。

エスプレッソは別

いつも豆の味わいや焙煎加減を吟味する職業柄、ついついブラックで飲んでします。
でも、エスプレッソだけは別!とイタリアのエスプレッソメーカーの方から教えてもらいました。

エスプレッソに砂糖を入れないで飲むのは、日本人くらいだ! とも。イタリアでブラックで飲むと、かなり「変な人」に見られるそうです。
つまり、砂糖を入れることで初めてエスプレッソの味わいになる、という感じです。

しかし。変だと言われながらも、やっぱり一口目だけはブラックでエスプレッソを飲んでしまいます。
どうしてもブラックの味わいを知りたい、という探求心は抑えられないからです。

だから、「どんな風に飲もうと、勝手でしょ!」というお気持ちは、とても良く分かるのでした。
たぶん私にとってのコーヒーは、いつも研究材料なんだと思います。

話が脱線しました。
エスプレッソは、スプーン2~3杯の砂糖をサラリと入れて飲むのが基本です。スプーンで混ぜて砂糖を溶かしても良いですし、混ぜずにそのまま飲むのも粋だとか。
混ぜない時はカップの底に砂糖が残るので、それをスプーンで食べるのもOKだそうです。

確かに、苦みだけが突出したエスプレッソが砂糖を入れた瞬間にバランスのとれた味わいに変化する様は、感動的ですらあります。
エスプレッソには砂糖!これもイタリアへ行った時のために覚えておきましょう。

<参考>
コーヒーの甘味を見つける
エスプレッソレポート(1)値段の違いと飲み頃
エスプレッソレポート(2)バールで注文する時
エスプレッソレポート(3)鮮度と砂糖
エスプレッソレポート(4)クレマについて
エスプレッソレポート(5)カプチーノとカフェラテの違い
エスプレッソレポート(6)本場エスプレッソの味わいは?
エスプレッソレポート(7)日本人とエスプレッソ

きまめや
生豆屋(きまめや)