超善玉ホルモン・アディポネクチン(2)タバコとコーヒーの関係

タバコを吸う→コーヒー好き?

「タバコを吸う方にコーヒー好きが多い」という話は、開店当初からよく聞きます。理由は「コーヒーがあると、よりタバコが美味しく感じられるから」、「タバコを吸うと嫌な後味が残るけど、コーヒーを飲めば口がサッパリするから」等々。

また、コーヒーにはリラックス&ストレス解消効果があるので、ちょうど一服するには最適な組み合わせのかも知れませんね。
私はタバコを吸わないので、よく分からないのですが・・・

あと、お客様のお好みのコーヒーを伺って気付いたのは、タバコ好きな方は「深煎りの苦いコーヒーが好き」という傾向があるということ。
もちろん「浅煎り好き」なヘビースモーカーの方もいたので一概には言えませんが、ギフト贈答先の方がタバコを吸う場合は、とりあえず「一番深煎り」をお勧めするようにしています。

喫煙によるアディポネクチンの低下をコーヒーで補う

さて、以前お話しした「アディポネクチン」について、覚えていますか?
「超善玉ホルモン」とも呼ばれていて、血中濃度が高くなると成人病にかかりにくいというお話しでしたね。
そして、コーヒーにはアディポネクチンを増やす働きがあり、コーヒーを飲む量が多いほど血中アディポネクチンも多くなる傾向がありました。

一方最近の研究で、タバコを吸うと血中アディポネクチンが低下し、一日に吸う本数が多いほど血中濃度が低くなる傾向があることが分かりました。また女性よりも男性の方が血中アディポネクチンが低いため、「喫煙する男性」は要注意と言えます。
※禁煙すると、血中アディポネクチン濃度が回復し、20年以上禁煙を続ければ初めから吸わない人と同程度に戻るそうです。

ということは・・・
喫煙する人は「減ったアディポネクチンを増やすためにコーヒーを飲みたくなるのかも?」と勝手に想像してみました。健康を維持するために、自然と体が必要なものを欲することはよくあることですので。

例えば、お酒を飲んだ後にコーヒーを飲みたくなるのも、コーヒーによってアルコールが分解される効果が期待できるからでは、という考察をしたことがありましたね。
※コーヒーに含まれるカフェインには、肝臓でのアルコール分解を促す働きがあり、さらに利尿作用もあるので、アルコール分解後の老廃物も体外へ排出されやすくなります。

もちろん、健康のためにはタバコを吸わないのが一番良いかと思います。
タバコを吸う方は、くれぐれもお体にお気を付け下さい。

【参考】
Smoking status and adiponectin in healthy Japanese men and women.(英文 Prev Med. 2007 Dec;45(6):471-5. Epub 2007 Jul 14.)
喫煙は血中アディポネクチンを低下させる(愛知職域コホート)
超善玉ホルモン・アディポネクチン(1)
アルコール性肝硬変とコーヒー(秘蔵!コーヒー豆知識)

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超善玉ホルモン・アディポネクチン(1)コーヒーを飲んで増やす

アディポネクチンとは?

アディポネクチンは、脂肪細胞から分泌されるホルモンで血中に豊富に存在しています。別名「超善玉ホルモン」とも呼ばれ、下記のような特徴があります。

1)内臓脂肪が増えると、アディポネクチン血中濃度が低くなる。
 →アディポネクチンの減少は、メタボリックシンドロームと深く関係。

2)アディポネクチン血中濃度が低いと、将来の2型糖尿病発症リスクが高くなる傾向。

3)アディポネクチン血中濃度が低いと、高脂血症(脂質異常症)や心筋梗塞の発症との関連も指摘。

4)女性より男性の方が、アディポネクチン濃度が低い傾向。
——–
アディポネクチンという言葉自体が分かりにくいかも知れませんね。
とりあえず、「アディポネクチンの血中濃度が、高いと安心。低いと心配。」という解釈で大丈夫だと思います。

しかし、脂肪細胞から分泌されるホルモンなのに「脂肪が増えると(肥満になると)減る」というのは変な感じですね。あと、逆に脂肪が少なすぎても減るそうです。つまり、太りすぎ&痩せすぎだと、アディポネクチンが減ってしまうということですね。

コーヒーを飲むとアディポネクチンが増える!

最近の研究で、アディポネクチン血中濃度はコーヒー摂取量に伴って増加することが分かりました。
また、全身の炎症の指標である高感度CRP、中性脂肪、肝機能マーカーは、コーヒー摂取量が増えると、それぞれ減少することが分かりました。

つまり、コーヒー摂取量が増えるとアディポネクチンも増え、それを介して中性脂肪と炎症反応の減少、肝機能マーカーの減少をもたらす可能性を示したことになります。

コーヒーが2型糖尿病や高脂血症、心筋梗塞等の予防になることについて、以前からお話ししていますね。
その研究結果が、このアディポネクチンと関係しているのか、それともまた他に要因があるのか?私の勉強不足のせいかも知れませんが、未だに不明です。
また何か情報がありましたら、お知らせしたいと思います。


コーヒーの摂取量について

なお、「コーヒー摂取量が増えるとアディポネクチン増える」・・・についてですが、飲めば飲むほど良いか?については不明です。
この研究では、「一日4杯以上飲む人」が一番良い結果が出ていますが、それが4杯なのか5杯なのか、それとも10杯なのかは分かりません。

あと、この研究では最後に「因果関係を証明するには、さらなる研究が必要」とし、「現時点では無理してコーヒーを飲む量を増やす必要は無い」と言っています。でも「コーヒーを飲みながらほっと一息つく時間をとるのは、心身共に良い効果が期待できる」と。

私も同感です。
コーヒーは無理して飲んでも美味しくありませんね。
飲みたい時に美味しいコーヒーを飲んで、一息つく。この幸福感が一番大切ではないでしょうか。

ところで、男性よりも女性の方が、アディポネクチンの血中濃度が高いのは興味深いですね。
「だから女性の方が平均寿命が長いのかな??」とちょっと思いました。
男性方も、美味しいコーヒーを飲んでリラックスするついでに、アディポネクチンを増やしてみてはいかがでしょう?

※すでに持病がある方、お薬を飲んでいる方は、必ず担当の医師にコーヒーを飲んでも大丈夫か相談しましょう。現在服用している薬との相性もありますので、くれぐれもご注意下さい。

【本レポートの参照元】
コーヒー摂取による生活習慣病予防効果のメカニズム -アディポサイトカインを介した影響(愛知職域コホート)
アディポネクチンと糖尿病・心血管病の分子メカニズム(第128回日本医学会シンポジウム)

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